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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
執筆篇〜わかりやすく書くための心得
303/1500

303.執筆篇:時代を写す鏡

 今回は「小説は現実の出来事から影響を受ける」ことについて述べました。

 それにより読み手には「需要」が発生します。

 この「需要」は時代性に現れてくるのです。

時代を写す鏡


 小説は執筆した当時の時流によって内容に影響が及びます。

 1968年に発生した「府中三億円事件」はいまだに解決を見ていませんが、当時の小説界隈では当事件を題材にしたもしくはインスピレーションを得た作品が頻出していたそうです。

「トリカブト保険金殺人事件」や「和歌山毒物カレー事件」が起こったときも、やはり同様に作品に取り入れる書き手が増えました。

 かなりヒドい言い方ですが、小説は世の人に「ウケる要素」を持たなければ大ヒットしません。

 人々がなにを読みたいと思っているのか。

 書き手には事件や出来事などを先取りしていく「情報感度の鋭さ」が求められます。




現実の出来事に作品が影響を受ける

 書き手は自身の周辺で起こる出来事に影響されながら小説を書くものです。

 たとえば山中伸弥氏が「iPS細胞」でノーベル生理学・医学賞を受賞したというニュースがありましたよね。

 そのとき書き手は自分の小説に「iPS細胞」を取り入れたくなるものなのです。

 また少し経てば小保方晴子氏の「STAP細胞」が話題になりました。

 「STAP細胞」の真偽はともかく、少なくとも発表当初は話題になった存在ですから、やはり小説に取り入れたくなるものなのです。

 その他号泣県議・野々村竜太郎氏、「耳がきこえる」佐村河内守氏、東京オリンピック・パラリンピックのシンボルマークのデザインをパクったとされる佐野研二郎氏などは世間の注目を大いに浴びました。

 彼らを小説の中に登場させたらどうなってしまうのか。

 ちょっとワクワクしてきませんか。

 このワクワク感がたいせつなのです。

 書き手も書いていてワクワクしてきますし、読み手も読んでいるとワクワクしてきます。

 だからこそ書いていて楽しいですし、読んでいて楽しめるのです。

 小説投稿サイト『小説家になろう』では「異世界転移」「異世界転生」「俺TUEEE」「悪役令嬢」といった作品が大ヒットを飛ばしています。

 であれば書き手もまたそれらを自分の作品に取り入れたくなるものなのです。




需要のあるものを書く

 思い描いていたテーマや場面やセリフなどを多くの人に読んでほしくて小説を書いている方が多いと思います。

 ですが「需要」のないところに向けて小説を書いても、反響なんてまず得られません。

 書き手はまず「需要」を知り、自分の作品が「需要」を満たすようにすべきです。

 そのうえで自分独自の物語を展開できれば、評価は確実に高まるでしょう。


「需要」を知るには、たくさんのニュースに触れるべきです。 

 現在はスマートフォン全盛なので、多くの人は新聞やTVや雑誌ではなくインターネットのニュースサイトで知ります。

 それならまだいいほうで、人生でスマートフォンを使ってSNSしか利用していない人のほうが圧倒的に多いのです。

 これは若者がニュースに反応しなくなった危機的な状況だと言えます。

 そんな若者にウケる小説を書かなければならないわけです。

 なかなか難しいものがありますよね。

 ですが書き手としてはやはり「時世」に合わせたネタを用いるべきです。


 どうすれば「時世」に適うのか。

 ターゲット層が読む小説とマンガ、観るアニメとドラマと映画をチェックしてください。

 ターゲット層が関心を寄せるものを分析して「ウケる要素」を取り込むのです。

「ウケる要素」つまり「需要」ですね。

 企業における「マーケティング」や「統計」と同じで、「流行っている」ものをサンプリング調査して「需要」を把握します。

「マーケティング」「統計」「サンプリング調査」といった専門用語を出しましたが、要は「需要」を見極めるということです。

 とくに名が知られていない書き手は必ず「需要」を分析して、それに適う小説を書きましょう。

 小説投稿サイト『小説家になろう』で人気の「異世界転生」「異世界転移」「俺TUEEE」「悪役令嬢」といったものを書くと、二匹目のドジョウを狙っているようであまり自分に納得できない可能性があります。

 でも「二匹目のドジョウ狙いのあなた」の存在は、二匹目のドジョウを狙うことでようやく読み手に認知されるのです。

 すでにあなたが書き手として周知の存在であるなら、あなたのオリジナルを追い求めたほうがいい。

 このあたりは、あなたのネームバリューがどれほどあるかを見極めて判断してください。





小説を読む時代性

 小説を読むのは、その小説が投稿された当時の人たちです。

 夏目漱石氏や谷崎潤一郎氏や芥川龍之介氏といった「文豪」も、発表当時の人々に読まれて「名作」の太鼓判が押されたことで現在でも読むことができます。

 しかし同時代に執筆活動をしていても、発表当時の人々が「駄作」と切り捨てて「文豪」になれなかった人も数多くいるのです。


 もし執筆しても投稿するまでの期間がかなり空いてしまうとどうなるでしょうか。

 時代が求める「需要」が他の人より後れて出されることになります。

 つまり「後追い」しているように思われてしまうのです。

 いくら先見の明があって時代を先取りした作品を書いたとしても、投稿する時点ではすでに過去の話になっている、というのでは本末転倒と言えます。

 よってストックはできるかぎり持つべきですが、時流を読んで投稿前にそのときのネタを投稿ぶんに反映させるくらいの筆力が求められるのです。

 これもやはり初心者には難しいと思います。

「自分の書くのはファンタジー小説だから時流は関係ない」と思う人も多いのです。

 でもたとえファンタジー小説やSF小説であろうとも、時事ネタを織り込んで奥行きを出していかなければ、読み手は拡大しません。

 そのくらい、時代性はたいせつなのです。

 SF小説であれば、現在の最先端テクノロジーはどこまで進んでいるのかを知る必要があります。

 ファンタジー小説であれば、新しい設定や世界観やキャラ属性にどんなものが出てきているのか。これも知らなければなりません。

 最先端テクノロジーと新しい設定や世界観やキャラ属性に対して、つねに「アンテナ」を張ってください。

 そうすることで新たな『ソードアート・オンライン』や『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』などが生まれてくる可能性があります。





最後に

 今回は「時代を写す鏡」ということについて述べてみました。

 小説は執筆当時の周辺状況やニュース・話題に左右されて生まれます。

 読み手に作品を広く受け入れてもらうには、周辺状況やニュース・話題を逸早く小説に取り入れることです。

 つまり「需要」を見極めて小説にするしかありません。

 小説は「需要」があるから読まれます。

「需要」もないのに読まれる小説は、いわゆる「文豪」の作品くらいなものです。




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