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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
基礎篇〜右も左もわからないときは、まずは基礎から
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3. :結末と舞台設定は同時に作られる

 今日のコラムは「キャラ設定と舞台設定」について述べます。

 小説には主人公が必要なことは前回語っています。ですが主人公がいるだけでは小説として広がっていきませんよね。

 そこで「キャラ設定と舞台設定」が求められます。でもどちらを優先したほうがいいのでしょうか。物語に求められる「キャラ設定と舞台設定」について言及しています。

結末と舞台設定は同時に作られる


 前回お話したとおり、主人公が出てくるのが小説です。

 では主人公が出てくるだけで小説になるでしょうか。

 なりません。


 小説は読んだ後に「読み手の感じ方・考え方に影響を与える」ものを指します。読んだ後に何も残らないのでは、小説を読む意味がないのです。

 読んだ後に「心に痕跡を残す」には、主人公の振る舞いとその結末が明示される必要があります。

『桃太郎』は主人公の桃太郎が、犬・猿・雉を供に従えて鬼ヶ島で鬼を退治し、ため込んであった財宝を持ち帰って終わります。

 悪逆非道な鬼を退治するとお宝にありつける。これが「主人公の振る舞いとその結末」です。

『浦島太郎』は主人公の浦島太郎が亀を助けて竜宮城に連れて行かれ、乙姫にもてなされて玉手箱を持って地上へ戻ります。そして開けてはならないと約束されていた玉手箱を開けてお爺さんになって終わります。

 立場の弱い亀を助けると人々からありがたがれる。約束を破って玉手箱を開けたらお爺さんになる。この二つが「主人公の振る舞いとその結末」です。

 このように、物語は「主人公の振る舞いとその結末」が明示されていることで、読み手の心に教訓が残るようになっています。




物語の土台作り

 小説を離れた話をします。

 物語を作るとき、最初に何を作らなければならないか。書き手が悩む問題です。

 書き手により「主人公の人物(キャラクター)設定を作り込んで、それを活かせるストーリーを思いつく」人と「世界観を作り込んで、それを活かせる人物(キャラクター)設定を思いつく」人、大きく分けてこの二パターンがあります。

 作りやすいほうを選べばいいのです。でもいざ小説を書こうとするとやはり頭を悩ませますよね。


 悩む方はまず「主人公の結末」を思いついてください。「願い事を叶える」「武術で一番強い人物になる」「海賊王になる」「勇者になる」「エースパイロットになる」「名探偵になる」などですね。

 主人公の属性――たとえば性別や年齢や性格や家庭環境の類い――は考えないようにします。

 結末を先に考えると「あの作品もたしか同じ結末だよな」と気づくと思います。それでいいのです。

 現在は小説に限らずマンガ・アニメ・ゲーム・ドラマ・映画など多種多様な物語が時々刻々と紡がれています。いくら奇抜な結末を考えようとしても、たいていはどこかの物語と同じ結末になるのです。だからこそまず「結末」を考える必要があります。

「結末」を考えると自然と舞台設定が定まることがあります。「勇者になる」なら中世ヨーロッパ風のいわゆるJ.R.R.トールキン氏『指輪物語』の世界観によるファンタジー世界がテンプレートですし、「名探偵になる」なら現代社会がよく使われるでしょう。「エースパイロットになる」なら戦闘用飛行機が登場する世界観は絶対に必要です。「海賊王になる」については某著名マンガや某著名映画そのもので、ある種のファンタジー世界になります。

「願い事を叶える」や「武術で一番強い人物になる」なら不可欠な要素があまりないので、かなり舞台設定に手を入れられます。たとえば「ファンタジー要素を入れてみようかな」とか「江戸時代にしてみようかな」とか思い浮かべられますよね。




ネタバラシ

 ここでネタバラシをします。

「願い事を叶える」はマンガ・鳥山明氏『DRAGON BALL』の初期です。主人公のブルマが願いを叶えようとする。叶えるためには「ファンタジー要素を入れて」神様が作った「ドラゴンボール」を集めてまわるという舞台設定が決まっていきます。

「武術で一番強い人物になる」はその後の『DRAGON BALL』です。おそらくですが『DRAGON BALL』で当初予定されていた終わりどころは、最初にドラゴンボールを七つ集めて神龍を呼び出し願い事を言った後だったと思います。結局願い事は叶えそびれて、再びドラゴンボールを探す旅に出るのでした、おしまいおしまい、と。その後の主人公となる孫悟空はこの時点まではつねにブルマの用心棒として脇役でした。連載していて作品の人気が出てきたため話を延ばそうと考えた結果、もう一度ドラゴンボールを集める話をそのまま進めていくことにした。その過程で用心棒の孫悟空が持つ「強いヤツと戦って勝ちたい」というキャラが立っていく。するとさらに人気が出てきたため「孫悟空が強いヤツと戦う物語にしたらどうか」と作者なり編集者なりが思いつく。そして天下一武道会が出てきてそこで戦う場面を描くようになった。そうなるともうこの時点でブルマは主人公ではなくなりますよね。つまりその後の『ドラゴンボール』は孫悟空が主人公となりました。

「海賊王になる」はマンガ・尾田栄一郎氏『ONE PIECE』です。主人公ルフィが海賊王になる物語(のはずですが)。こちらも「悪魔の実」を食べると特殊能力が身につくという「ファンタジー要素を入れて」あります。当初は順調に航海を続けていきましたが、いつのまにやらただのバトルマンガと化しています。すでに「海賊王になる」はキャッチコピーでしかありません。

「勇者になる」は『指輪物語』系ファンタジーを舞台にしたライトノベルの鉄板設定です。ほぼその舞台設定が採用されています。多くのライトノベルは「主人公が勇者になる」ために旅しています。特定の作品名を挙げなくても皆様は「この作品とこの作品と……、あれっかなり多いな」という状態です。

「エースパイロットになる」はアニメのビッグウエスト『超時空要塞マクロス』です。主人公の一条輝がエースパイロットになって終わります。エースパイロットですから舞台設定として戦争は欠かせません。こちらも当初二クールで地球に帰還して終わらせられた話です。それが放映中に人気が出て一クール延長されて終わりました。その後劇場版にもなりましたが、こちらは地球帰還時点で終わっています。こちらも人気に裏打ちされて続編が作られ続けていますよね。

「名探偵になる」はマンガ・青山剛昌氏『名探偵コナン』です。主人公の工藤新一が名探偵と称されるようになる結末が想定されます。舞台設定は現代社会です。そのため当初ポケベルしか連絡手段がなかったのに、いつの間にか携帯電話を持ち、今はスマートフォンが当たり前になっている。こちらも人気が出たためにストーリー進行が緩やかになり、本筋とは絡まない事件が多く入り込んでいる状態です。二十年を超える長期連載となっていますが、いつになったら「黒の組織」を一網打尽にし工藤新一が「名探偵」の称号を得るのかわかりません。




明確に「主人公の結末」を定めておく

 長期連載になったものは「本来想定した結末からズレている」か「本来想定した結末がいつまで経っても達成されない」かです。最初から長期連載を狙って構想されているとは思えません。


 このように、物語を作るうえではまず「主人公の結末」を考えることです。そうすると必要な舞台設定が浮かんできます。そこから舞台設定を作るのと同時に主人公の人物(キャラクター)設定を進めていく。この両輪が噛み合うことで、物語は確かな軸を得るのです。ここに敵役や脇役などを付け加えていけば、それだけでもう物語の雛形は完成してしまいます。




終わりに

 今回は「結末と舞台設定は同時に作られる」について論じてきました。

 結末を考えない物語は、読み手になんの影響も与えられません。読み手は「こういう結末がくるんだろうな」と予想しながら小説を読み、マンガやアニメ、ドラマや映画などを観ます。その期待に当たるか外れるかが判明して初めて読み手の「心に痕跡を残せ」るのです。

「主人公の結末」をしっかりと定めてあれば、いくらでも脱線できます。脱線してもすぐに本来の結末へ戻すことができるからです。


 例外として『DRAGON BALL』のブルマと孫悟空のように途中で主人公が交代してしまうこともあります。物語の途中で主人公が代わってしまうと読み手はしばらく混乱を来たします。『DRAGON BALL』のように流れの中で自然と交代していることが望ましいですね。


 しかし例外はあくまでも例外です。

 物語の基本は「主人公の結末」を書ききることだと考えて、物語の雛形である「人物(キャラクター)設定と舞台設定」を作っていきましょう。




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