292.表現篇:小説賞に応募してみる
今回は「小説賞に応募」してみることについて述べました。
実力がないと小説賞に応募しちゃダメなんて誰が言いましたか。
今は小説投稿サイトでたくさんの小説賞が開催されています。
実力がないからこそ小説投稿サイトの小説賞に応募しなければダメなのです。
小説賞に応募してみる
前回、小説投稿サイトで企画されている「小説賞・新人賞」に応募することを述べました。
ではどの「小説賞・新人賞」を狙いに行けばいいのでしょうか。
格のある賞は箔をつける
たとえば一昨年新設された『ピクシブ文芸』の「ピクシブ文芸大賞」を獲ってもそれほど箔はつきません。
実績や歴史や伝統がありませんから、たとえ大賞を獲っても紙の書籍が売れるとは限らないのです。
現にいまだ「ピクシブ文芸大賞」の第二回がアナウンスされていません。
反面『小説家になろう』で開催されている『ネット小説大賞』は今回で第六回となります。
「ネット小説大賞」なら受賞や佳作に入れれば、それだけで多くの方に読んでいただけます。
またユーザーインターフェースとしてもバナーをクリックして所定のリンクから応募作を検索してくれるのです。
応募作がすべて読めるわけですから、早めに投稿すれば「総合評価ポイント」も高くなります。
ポイントが高ければ、たとえ受賞や佳作入選しなくても書き手の名前は読み手に広まるのです。
つまり多くの読み手に読んでもらえます。
だから現状では小説投稿サイトの中でも最大手『小説家になろう』、老舗『エブリスタ』、KADOKAWA共同運営『カクヨム』の企画である「小説賞・新人賞」を狙いに行くことで、あなたの名前は多くの人が知るところとなるのです。
またこれら三つの小説投稿サイトで受賞や佳作入選すれば「箔がつき」ます。
賞によっては賞金ももらえるのです。
競争率の低い小説賞・新人賞を狙う
「自分には異世界ファンタジーしか書けない」という方は、自ら「プロの書き手」になれるチャンスを放棄しています。
現在「ファンタジー小説」はいちばん競争率が高く、一万人以上応募してくる賞もあるほどです。
しかし「ミステリー小説」「推理小説」なら百人、二百人程度の応募であることが多々あります。
単に「プロの書き手になりたい」と思っているのであればどちらを狙うべきかは明白ではないでしょうか。
それでも「ファンタジー小説が書きたいんだ」という方は人一倍努力して、あなたらしい小説が書けるようになりましょう。
応募要項を厳守する
小説投稿サイトの「小説賞」「新人賞」に応募しようと決めたら、まずは「応募要項」をしっかりと読みましょう。
まずはジャンルです。
「SF小説」を募集しているのに「ファンタジー小説」を投稿する方が結構いるようです。
たとえ内容が素晴らしくても、ジャンルが違えば一次選考すら突破できません。
ジャンル不問の「小説賞・新人賞」もあるので、そういった賞に応募しましょう。
ジャンル不問であっても一般小説を求めているのに成人向け小説を応募してしまう方もいるそうです。
こちらも問題外で、選考の対象となることはありません。
つぎに分量です。
出版社の「紙の書籍」の「小説賞・新人賞」の場合原稿用紙何枚と分量が決められています。
小説投稿サイトの「小説賞」「新人賞」の場合、何文字以上何文字以内と分量が文字数で決められているのです。
これらの分量は必ず守ってください。
たとえ原稿用紙が上限より一枚でも多かったり、下限より一枚でも足りなかったりすればその時点で一次選考にすら進まず、そこらへんの段ボールにポイと放り込まれます。
小説投稿サイトの賞でも上限より一文字でも多かったり、下限より一文字でも少なかったりすれば同様です。
出版社は「決まりごとをしっかりと守る」書き手と仕事がしたいと思っています。
たかが「応募要項」と書き手は思ってしまうでしょうが、そのたかが「応募要項」すら守れないような書き手とこれから長い付き合いをしたいと思うでしょうか。
次はページ数です。
「紙の書籍」の賞へ応募する場合、原稿用紙に通し番号を付けましょう。
また原稿用紙を綴じて応募することを求められることがあります。
まず通し番号つまりページ番号は必ず付けてください。
通し番号が付けられていなければ、もし編集さんや下読みさんがあなたの小説をぶち撒けてしまったとき、元の順番に正しく並べ替えるのが困難になります。
それにより意味不明な小説になってしまい、選考から除外されるのです。
「原稿用紙をぶち撒けたのは編集さんや下読みさんのミスなのに、なぜ目を通してもらえないのか」という理不尽を感じるかもしれませんね。
ですがそもそも原稿用紙には必ず通し番号をつけるものなのです。
通し番号を付けなかったあなたが悪いと判断されます。
小説投稿サイトの賞へ応募する場合、原稿用紙に通し番号を付けることができませんよね。
ですが、たいていの小説投稿サイトには「改ページ」の機能や「連載投稿」の機能が付いています。
四百字で改ページする必要はありませんが、十万字もあるのにひとつも「改ページ」や「連載投稿」のない小説を編集さんや下読みさんが読みたいと思いますか。
あなたが編集さんや下読みさんだと仮定して考えてみてください。
どこまで読めば一章が終わるのだろうか。今どこまで読んでいるのか。
これらのことがいっさいわからないのです。
このまま読み続けるなんてことはまずできませんよね。
小説投稿サイトなら「連載小説として投稿」して、いち投稿ぶんを調整すれば、編集さんも下読みさんも、とても読みやすくなります。
もし「一回ですべての文章つまり十万字を投稿したい」のなら、小説投稿サイトに備わっている「改ページ」の機能を必ず用いましょう。
「改ページ」を用いずに十万字がずらっと冒頭から結末まで書かれてあったとしたら、読み手がげんなりしてしまいます。
「千里の道も一歩から」と言います。
最初から「千里」つまり十万字が一ページにずらっと書かれるよりも、「一歩」つまり一節や一回の投稿ぶんだけが書かれているほうが、挫折せずに読み進められることでしょう。
どちらが有利かは言わずもがなだと思います。
最後にキーワードやタグです。
小説投稿サイトでは「小説賞・新人賞」に応募する際、特定の「キーワード」「タグ」を「必ず付ける」ことが求められています。
もし応募しようとしているのに特定の「キーワード」「タグ」が付けられていなかったら、それは応募していないことと同じです。
せっかく書いた小説なのに「キーワード」「タグ」を付けていない、または間違った「キーワード」「タグ」を付けてしまったのでは、賞のWebページで応募作品の一覧に載ることさえできません。
なんのために小説投稿サイトの「小説賞・新人賞」に応募するのか。
あなたの小説をより多くの読み手に読んでもらいたいからですよね。
賞に絡まず読み手へアピールする手段は「まずない」と思ったほうがよいでしょう。
この点で『ピクシブ文芸』は大きく出遅れています。
もっと積極的に企画となる「小説賞・新人賞」を開催して、書き手をたくさん集める努力をしたほうがいい。
『ピクシブ文芸』が期待ほど伸びてこないのは、ひとえに現在募集中の「小説賞・新人賞」がないからに他なりません。
(2019年6月19日現在でも開催されている「小説賞・新人賞」はありません)。
複数作品可ならたくさん投稿する
稀ながら「複数作品を投稿できる」賞というものがあります。
前述した「ネット小説大賞」はひとりで複数作品を投稿してよいのです。
とてもありがたいことですね。
募集期間内に何作応募できるかを目指して書いていけば、執筆速度を高めることができます。
コラムNo.260「表現篇:高速ライティングへの道(1/2)」、コラムNo261「表現篇:高速ライティングへの道(2/2)」を参考にして、できるだけ高速で執筆できるように取り組んでみましょう。
募集期間中に三作投稿できたとなれば、主催者も「この書き手は期間内に三作も作ることができた」という評価になります。
「ひじょうに出来のよい小説」一本なら賞レースでも確実に有利です。
しかし「ある程度読ませるだけの小説」が三本なら審査員の評価も変わります。
どちらが有利かは主催者によりますが、将来もっとよい小説を書けるようにするためにも、できるだけ多作して応募するのが私のオススメです。
最後に
今回は「小説賞に応募してみる」ことについて述べてみました。
たとえ拙い小説でもいいのです。
小説投稿サイトの「小説賞・新人賞」に応募することで、多くの読み手が応募作品一覧からあなたの作品を読みに来てくれます。
賞の規約があるとしても、書くことでフォロワーさんは確実に増えてくるのです。
あなたの書いた小説が賞に応募する条件をクリアしているのであれば、必ず応募しましょう。




