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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
再考篇〜振り返ってもう一度考えましょう
195/1500

195.再考篇:会話文から書いてみよう

 今回はズバリ「会話文から小説を書く」ことについて書きました。

 ライトノベルは「会話文」が命です。それに伴い短くなった地の文も鍵を握ります。

 でもまずは「会話文」から書いていけば、イメージは膨らみやすいと思います。

会話文から書いてみよう


 小説を初めて書こうとするとき、最も頭を悩ませるのが「描写」です。

 会話文はキャラが会話を重ねていればそのまま文字に起こしていけばいいですし、何か出来事が起きたら目の前で起きていることを説明していくのに苦労しません。

 ですが「描写」は出来事や事実を説明するわけでも会話を起こすわけでもないのです。

 そこまで考えが及んだ途端「書けなく」なります。

 そこで、初心者の方はまず「会話文」だけを書いてみましょう。




ライトノベルは会話文が主体

 イラスト投稿SNSサイト『pixiv』で小説を読んでいる方は総じてマンガやアニメが好きだと思います。多分に筆者の独断と偏見ですが、そういう私もマンガやアニメが大好きです。

 イラストを見たいから『pixiv』のアカウントを取得し、ついでに小説も読んでやれ。多くの方がそんなスタンスでしょう。もし最初から小説が目当てなのであれば、最大手の『小説家になろう』のアカウントを取得して、膨大な小説の中から選ぶほうが選択肢が多くてよいはずです。

 そしてどの小説投稿サイトでも、主流はライトノベルになります。純文学を書いて紙の書籍化を果たした人はそれほど多くはないでしょう。インターネット利用者にマンガ好きやアニメ好きが多いことと無関係ではないと思います。


 であれば小説投稿サイトに投稿すべきはライトノベルということになります。

 では何をもって「ライトノベル」と定義するのでしょうか。

 中高生が読めるようなやさしい小説を「ライトノベル」と呼んでもかまいません。ですが中高生が読めるやさしさとはそもそもなにか。

 それは地の文が限界まで削られた小説なのです。「地の文が軽い」から「Light Novel」と考えればわかりやすいと思います。

 読み手は手早く物語を読めますが、書き手はかなり工夫をしなければなりません。少ない地の文でわかりやすい説明と描写をしなければならないからです。


 地の文が限界まで削られた小説ということは、他の小説ジャンルよりも対になる「会話文」の割合が格段に高くなります。それに伴って「会話文」が重要な役割を果たすのです。




人物の演じ分け

「会話文」では「人物の演じ分け」ができているかどうかが真っ先に問われます。

 その「会話文」が誰の発言なのかが読み手に間違われずに伝わるようにするのです。

 多くの場合、一人称がかぶらないようにし、語尾を変えて、独特の口ぐせや言い回しを加えます。

 そうすることで地の文でとくに名指ししなくても、誰のセリフかは一目瞭然です。

 最も確実な「人物の演じ分け」の仕方になります。


 しかし主な人物が三人いて全員が参加する会話パートがあったらどうでしょうか。

 このときすべての人の一人称が「私」であり、相手のことを「あなた」と呼び、全員が敬語で話したとしたら。

 どのセリフが誰のセリフかを見分ける手立てがありません。そんな状況はありえない、と思わないでください。


 たとえば「就職の集団面接会」のとき。

 男性でも一人称は「私」になりますし、全員が敬語を用います。面接先の会社については「御社」と呼びますよね。面接会ですから独特の口ぐせや言い回しを出すわけにもいきません。

 ほら、全員が同じ話し方になりました。この中でどのように人物を特定すればよいのでしょうか。

 こういうときに地の文で補足する必要が生じます。

 自分の小説には「集団面接会」はないから関係ない、とも思わないでください。


 異世界ファンタジーならたいてい王国や帝国があります。

 たとえば国王や皇帝を前にして討論する「御前会議」が開かれたらどうでしょう。

 一人称を変えたり独特の口ぐせや言い回しを加えたりすることもできはしますが、「場を読まない自意識過剰な人物」という印象を読み手に与えてしまいます。

 そういう人物像ならかまいませんが、一般的に常識のある人物であればやはり一人称は「私」か「自分」になるはずです。国王や皇帝のことは「陛下」と呼びます。討論相手のことは「卿」になることが多いでしょう。

 そうなるともうどれが誰の発言なのかわからなくなります。

 このように、ときとして多くの人物が同じ話し方をする場面は起こりえるのです。




とりあえず会話のやりとりを書いてみる

 初めて小説を書こう、「三百枚」の長編小説を書いてみようと思ったとき。どのように書いていけばいいのかで迷ってしまい、筆が進まなくなることがあります。

 まずは「企画書」を作って「誰がなにをする話」なのかを明確にし、「主人公がどうなりたい」から始まって「主人公がどうなった」で終わる「企画書」を書いて、そこから「あらすじ」を作ってください。

「あらすじ」も無しに小説を書き始めようとするから途中で筆が止まるのです。

 前回の『あらすじは図で書く』を参考にして、真っ先に「あらすじ」を作りましょう。


「あらすじ」が出来たら、次にやっていただきたいのは「会話」だけを抜き書きして「会話のやりとり」をラフスケッチすることです。

「小説を書きたい」と思うのは「こんな場面を皆に読んでもらいたい」というシーンが頭の中にあるからでしょう。ならばまずそこを形にしておくべきです。

 とにかく頭に浮かんでいる「会話」だけでも文字に起こしておけば、あなたの頭の中にある「こんな場面を読んでもらいたい」という願望をわずかですが形作れます。

 あとで読み返してみて「このセリフ、誰の発言だっけ?」と思ったら、そこに地の文を挿入して誰の発言か補足していくとよいでしょう。

 この方法が最も「小説が書きやすい」方法だと思います。

 もちろん描写に自信がある書き手の方は「会話の抜き書き」をしないで文頭から順に書いていってもかまいません。




会話のやりとりで感情は変わる

 ある言葉で相手の感情が変化することが実際の会話ではよくあります。小説の登場人物も同様です。

 会話のやりとりをすることによって、人物の感情が変わることがあります。

 その際は地の文で感情がどのように変わったのかを適宜書きましょう。

 地の文で感情の変化を書かなければ、まったく平板な会話が続いているように読み手は受け取ります。


 人物の感情が変わったのなら地の文に書く。これは小説における最低限の鉄則です。

 それが守られていなければそもそも小説とは呼べません。十万字前後の長さのある「作文」になります。


 感情に富んだ表現が多いのもライトノベルの特徴です。

 それは「先に会話文を書いてから肉付けしていく」作風が主流だからだとも言えます。




説明と描写を書き加えていく

「会話のやりとり」と人物の感情変化の地の文が出来あがったら、そこに状況や状態や動作の説明や描写つまり「地の文」を書き加えていきます。

「書き出し」では主人公をなるべく早く登場させて、出来事(イベント)の渦中に放り込むのです。

 その過程で主人公が「どこに」いるのか、それは「いつ」のことなのかを詳らかにしていきます。

 そして仲間と合流して力を合わせ、「対になる存在」との対立の構図をあらかじめ調えておくのです。


「起承転結」の「起」にはここまでのことが書かれている必要があります。

 それが過ぎてから人物を増やしてしまうと「結」までに人間関係がまとめきれなくなるのです。

 もちろん連載小説であれば、どこまでが「起」なのかは書き手の裁量次第なので、書き手は物語のスケジュールをしっかり管理しながら「あらすじ」を書いていくとよいでしょう。




連載するなら会話のやりとりを先に決めておく

 とくにライトノベルの連載小説は「先に会話のやりとりを書く」のが必須の作風です。

 先に会話の流れが決まっているから、そこに肉付けしながら連載を続けていくことができます。

 もしストックを持たずに連載しながら「会話のやりとり」を考えていたら、早晩筆が止まってしまうのです。

 連載するときはできるだけ先の「会話のやりとり」を決めておくと文章の流れもスムースになりますし、物語の展開に無理がなくなります。

 ストックがあればそのぶん「伏線」を前の段階から張ることもできるのです。

 読み手から支持される連載小説になるためには、どれだけ巧みに「伏線」を張れるかにかかっています。

 そしてその「伏線」が忘れられそうなときにチラリと見せてまた思い出してもらいましょう。





最後に

 今回は「会話文から書いてみよう」ということを述べました。

 いざ小説を書こうと思い立ったとき、実際に何をどう書いたらよいのかわからなくて、結局挫折した人が多いのではないでしょうか。

 そんな方はまず「会話のやりとり」だけを抜き書きしてみましょう。

 すると文字が次々と埋まっていくので、いかにも「書いたぞ」という手応えを感じられます。

 そしてそこから誰の発言なのか、感情の変化は、状況や状態や動作の説明や描写は、ということを地の文に入れ込んでいきます。

 ライトノベルは「会話文」と「地の文」の量にさほど差がありません。

 純文学では会話文よりも描写文がいかに巧みかが問われますから、分量も地の文が圧倒的に多くなります。

 ですが、ライトノベルでは何よりも「会話文」の魅力がたいせつです。「会話文」で読み手をぐっと掴めなければライトノベルは成り立ちません。

 それならやはり「会話文から書いてみる」のはひとつの方法だと思います。




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