表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
応用篇〜小説を書くために一歩踏み込んでみる
146/1500

146.応用篇:自分の得意な分野を書く

 本日は「自分の得意な分野を書く」というテーマです。

「何を当たり前な」と思いますよね。そこに盲点があります、というお話。

自分の得意な分野を書く


 人間には得手不得手があります。

 お笑いものは得意でも人情ものは苦手とか、アクションものは得意でも頭脳戦は苦手とか。

 書き手にとっても得手不得手があるものです。

 コラムNo.135「嫌いだと思うことから学べるものがある」において「自分が嫌いだと思ったことにも気づきはある」点を書きましたが、それはイコール「苦手なジャンルや作風の小説を書け」ということではありません。




読み手の需要を知る

 中国古典『孫子』に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉があります。これを小説に置き換えれば「相手が読みたいと望むものを知り、そのジャンルにおける自分の力量を知る」ことの重要性が説かれているのです。


 需要がなければ、どんなによい小説を書いても誰からも評価されません。逆に需要さえあれば、どんなに拙い小説を書いてもある程度の評価が得られます。

 自分の書いた小説が評価やいいねをされない、ブックマークが付かないというのはほぼ「需要のない小説」だからなのです。

 では需要をどう見極めればよいのでしょうか。各小説投稿サイトのランキングでわかります。

 小説投稿サイトにはそれぞれ求められている小説のジャンルが異なっています。

 『小説家になろう』なら「異世界転生」「異世界転移」の二大ファンタジー小説ですし、『エブリスタ』『アルファポリス』なら女性向け恋愛小説、『カクヨム』ならライトノベル全般、『pixiv小説』は女性向け二次創作、『ピクシブ文芸』は女性成年向け小説です。

 ただこの需要はあくまでもランキングの上位を占めるジャンルを切り出しただけ。他のジャンルであってもそれなりに需要はあります。ただ『pixiv小説』と『ピクシブ文芸』は投稿されている絶対数が少ないので、需要のあるジャンルを外すといいねやブックマークがまず付きません。

 小説投稿サイトで最大手の『小説家になろう』、古参の『エブリスタ』、KADOKAWAが共同運営する『カクヨム』ではジャンル別ランキングが整備されています。

 総合ランキングで上位に来なくても各ジャンルでランキングに載ることはじゅうぶんに可能なのです。だから「『ピクシブ文芸』に投稿してもランキングに載らない」人は他の小説投稿サイトに重複投稿すべきです。

 以上のようにすれば読み手の需要を知ることができます。




自分の得意なジャンルを知る

 読み手がどのジャンル、どういった作風を好むのかがわかりました。

 次は書き手がそのジャンルや作風を書けるのかを知ることです。


 現役小説家の中で、すべてのジャンルが書ける人はただのひとりもいません。そういう人を例として無理にでも挙げるとれすばマンガの手塚治虫氏でしょうか。

 彼は現在の日本マンガに見られるほとんどのジャンルを書いています。「萌え」も「ショタ」も「BL」も書いているのです。さすが「マンガの神様」。

 でも小説の書き手はすべてのジャンルに深い知識があるわけではありません。

 ひょっとすると「小説の神様」と呼べる人がいるのかもしれませんが、私は見たことはありません。

 日本で最も知名度があると思われる村上春樹氏だって大衆小説しか書けません。西尾維新氏はかなりバリエーションが豊かな方ですが、それでもすべてのジャンルを書けるわけではないのです。

 だからこそ読み手が欲するジャンルや作風の小説を書けるのかどうかを先に知る必要があります。


 それにはとりあえず、あるジャンルの短編小説を書き終えて投稿してみましょう。そうすれば読み手の反応から「このジャンルや作風は自分に合っているかいないか」を判断できます。

 また書いている途中で「この作風のまま書き続けるのはつらい」と感じるようなら、あなたには向いていないのです。

 その作風は潔く諦めましょう。

 自分の書きづらい作風で書こうとしても時間がかかってしまい、連載のペースが落ちることにつながるだけです。

「連載を落とす」ことは小説投稿サイトではかなりの減点要素になります。だからスラスラ書けないような作風で書く必要などありません。


 その点得意なジャンルを知る作業はそれほど苦にならないのです。

 作風は自分に合ったものでいいので、とにかくさまざまなジャンルの短編小説を書いて小説投稿サイトへ投稿していきましょう。

 どのジャンルならランキングに載るのか、評価やいいねやブックマークがどれほど付くのか。

 そこを見極めていけば、自分に合っているジャンルを探し出すことはそれほど難しくありません。


 ただどうしても書けないジャンルもあると思います。

 「剣と魔法のファンタジー」小説ばかり読んできた書き手に、SF小説や推理小説を書けと言われてもまず書けませんよね。

 そのジャンルの知識が足りていないからです。

 だからまず自分の好きなジャンルの短編小説を書いてみて、小説投稿サイトのランキングに載るか、評価やいいねやブックマークがどれだけ付くかを試みましょう。

 その(かたわ)ら自分が普段読んでいないジャンルの作品を読みこなしてみてください。知識が蓄えられれば今まで書けなかったジャンルも書けるようなります。

 自分だけで「このジャンルでないと書けない」と判断しないようにしましょう。必ず小説投稿サイトに投稿して反応を見るのです。


 短編小説は「着想力」の勝負になります。文章の巧拙はあまり重要視されません。

 もちろん最低限きちんとした日本語の文法である必要はあります。

 そのうえで説明や描写が拙くても「着想力」さえよければ評価してもらえるのが短編小説なのです。




企画書、あらすじ、箱書き、プロットの順に進める

 実際に短編小説を書くまでもなく自分の得意なジャンルを知る方法も実はあります。

「主人公がどうなりたい」と「主人公がどうなった」で示される「誰がなにをする小説」なのかという「企画書」をたくさん考えてメモ用紙や「箱書き」に書くのです。二十、三十は当たり前、百も二百もひねり出せばいいでしょう。

 こうして出来た「企画書」をジャンルや作風別に仕分けしていきます。

 すると偏りのあるジャンルや作風がすぐにわかります。

 書き手としての「着想力」はどのジャンルのどんな作風に向いているのか。

 それがわかれば短時間で自分の得意な分野もわかるのです。

 ただあまりにも「ベタ」な展開というのでは他の小説と差別化できません。

 あなたの独自性のあるとがった作品が思いつけているかどうか。

 メモ用紙や「箱書き」に書いた中で、独創性(オリジナリティー)のあるとがった「企画書」はあったでしょうか。もしあればそのジャンルを書くことをオススメします。

 差別化が図れていれば、他の書き手とは一味違った独創性(オリジナリティー)あふれる作品が書けるからです。


 自分の得意な分野を知ることで「企画書」を「あらすじ」「箱書き」へと進めるときにも「エピソード」や「場面(シーン)」を出すのに苦労しなくなります。なにせ「着想力」に関しては自分の中で最も高いジャンルなのですから。

「あらすじ」「箱書き」では「エピソード」や「場面(シーン)」を三百枚にまとめる「構想力」が求められます。

 復習ですが「主人公がどうなりたい」から始まって「主人公がどうなった」までを書くのが「企画書」です。「あらすじ」はそこにどれだけ「エピソード」や「場面(シーン)」を入れていくのです。

 最初のうちはたくさん「エピソード」や「場面(シーン)」を入れてしまうと物語が破綻しやすくなります。

「起承転結」の型を利用するなら四つあればじゅうぶんです。私の感覚だと「起承承転結」が最も書きやすいと思います。

 そのうち「主人公がどうなりたい」が「起」で、「主人公がどうなった」が「結」になりますから、残り二つ(「起承承転結」なら三つ)の「エピソード」や「場面(シーン)」があればじゅうぶんでしょう。ちなみに三百枚を書こうとするなら四部なら一章七十五枚、五部なら一章六十枚を費やす計算になります。

「あらすじ」「箱書き」はただ「エピソード」や「シーン」を入れるだけでなく、そのつながりが自然で必然になるように配慮しなければなりません。

 ひとつでも飛躍しすぎているエピソードがあれば物語の流れは乱れてしまいます。


「あらすじ」「箱書き」に入れる「エピソード」や「シーン」が決まり、物語の筋や流れが通るようにしたらいよいよ「プロット」づくりです。

「プロット」は「エピソード」や「シーン」を出来事の流れに乗って書くとよいと思います。

 まず自分が最も書きたいシーンから書いていきましょう。だいたいの方が「佳境(クライマックス)」を真っ先に書きたいと思うはず。それを書きたいがために小説を書くようなものです。小説は「佳境(クライマックス)」をどのように演出して読ませるか。

 そういう芸術分野なのだと考えるとわかりやすいでしょう。





最後に

 今回は「自分の得意な分野を書く」ことについて述べました。

「自分の得意な分野」は自覚していないことが多いのです。そこでまずはさまざまなジャンルの「企画書」を書いてみて、作風が自分に合うか合わないかを確認しましょう。

「自分に合う作風」が見つかったら、幅広いジャンルの「企画書」を小説にして適切な小説投稿サイトで発表して反応を見ましょう。

 評価やいいね、ブックマークが付いたらそれが「あなたの得意な分野」だということです。

「適切な小説投稿サイト」は上記しているため省きます。

 また「エピソード」や「状況(シチュエーション)」を出しやすいジャンルと出しづらいジャンルがあると思います。

「出しやすいジャンル」とは、あなたにそのジャンルの知識が豊富にあるということです。つまり「あなたの得意な分野」である可能性も高くなります。そういうアプローチの仕方もあります。

 あとは「企画書」を「あらすじ」に、「あらすじ」を「箱書き」に、「箱書き」を「プロット」にしたら準備完了です。

 こうなれば本番の執筆に入れます。

「あらすじ」「箱書き」「プロット」も無しに執筆を始めても早晩筆が止まるでしょう。

 だから「あらすじ」「箱書き」「プロット」は綿密に作らなければなりません。

「自分の得意な分野」で勝負できれば、書き手は苦労せずに自分の書きたかったことを読み手に伝えることができるようになります。

 それが読み手に伝わるか。そこが筆力を要するところです。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ