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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
技術篇〜いかにして名作が創られるか
1205/1500

1205.技術篇:自分のために書いてはならない

 前回「読ませるのはひとりでよい」と書きました。

 それなら「自分のために書けばいいじゃないか」と思いがちですよね。

 それでは駄目なのです。

自分のために書いてはならない


 小説はひとりに向けて書くべきだ。と前回申し上げました。

 これを「自分ひとりに向けて書いてもよいはずだ」と曲解しないでください。

 他人のために書く文章と、自分に向けた文章では、書き方が異なるからです。




独りよがりな文章になりやすい

 自分ひとりに向けて書くと、独りよがりな文章になりやすいのです。

 なにせ自分の「好み」は本人がいちばんよくわかっています。その「好み」をそのまま文章に表わしてしまうと、あなた以外の誰にも響かない作品になるのです。

 また「伝えよう」よりも「書き出そう」の意識が強くなって、読み手不在の作品に仕上がってしまいます。

 こんな文章が他人に受け入れられるものでしょうか。

 まず受け入れられません。

 文章を読んでも「伝えよう」としている「テーマ」がわからない。「テーマ」はなんとなくわかるけど「真に迫らない」つまり迫力に欠けるのです。

 これではチラシの裏に思いついたアイデアを書いているにすぎません。

 少なくともそれは小説ではない。

 分類するなら「独りよがりな文章」です。

 書き手本人が満足すればそれでよく、それでいて誰かに読ませようとは思わない。物語を独占したい欲望に駆られてしまいます。

「物語を独占したい」欲望は創作では邪魔ものでしかありません。

 創作とは、誰かへなにかを伝えるために生み出します。生み出したものを独占したら、誰にも伝わらないのです。これではいくら手間隙かけて文章を紡いだとしても、あなたのPCの肥やしにしかなりません。しかもそのPCが壊れたらデータも一緒に失います。そのために外付けHDDにバックアップをとってある。それなら安心して肥やしにできる。それでは駄目なのです。

 誰かへなにかを伝えるための創作でなければ、真の創作ではないのです。ただの習作でしかありません。

 習字のコンクールに最高の一枚を提出するために、何百枚と書く。その中で最もよさそうなものを選んで応募する。残された何百枚は結局どうなるのでしょうか。

 一発勝負のつもりで五枚程度書くのであれば、一筆一筆に魂を込められます。半紙が百枚あるから百枚書いてその中でいちばんよさそうなものを応募するよりも「真に迫る」作品に仕上がります。

 つまりいくら小説をたくさん書いても、独り占めして他人に読ませないかぎり、技能は向上しません。

 小説はしょせん書き手と読み手の駆け引きで成り立っています。

 なのに読み手不在では、それはただのチラ裏の文章であり、小説ではないのです。

 書いた小説は必ず誰かに読ませましょう。読み手にきちんと「テーマ」が伝わったら、それが「小説」なのです。

 そうしなければただの「独りよがりな文章」でしかありません。

 だからこそ「小説」は誰かへ「テーマ」を伝えるために書きましょう。

 書いた小説は残さず小説投稿サイトへ掲載するのです。

 たったひとりにしか読まれなくてもよいではありませんか。誰にも読まれなかった作品よりもよっぽど建設的です。もしブックマークがひとつでも付いたら。あなたが伝えようとしている「テーマ」に共感してくれた方がいらっしゃったのです。




自分だけがわかるようにしか書けない

「自分のために小説を書い」ていると、次第に「自分だけがわかるようにしか書けなく」なります。

 前述していますが、小説とは「誰かが読んでくれて「テーマ」が伝わる文章」です。

 伝わる文章は、小説を独り占めしなければそのうち書けるようになります。

 ただのひとりにも読まれなかった。それならまず「タイトル」と「あらすじ」を魅力的にしましょう。

 ひとりまたは数人に読まれたのなら、なぜブックマークや評価が付かなかったのかを考えてみましょう。

 どちらも「自分だけがわかるようにしか書けない」実害です。


 もし「他人へ伝わるように書く」意識があれば「伝わらない文章」なのかが自分で気づけます。

「伝わらない文章」は「伝わる小説」にまったく及びません。

「他人へ伝わるように書く」意識を強く持てば、たとえ反応がないもしくは薄くても、「今度はこう書いてみた。これでどれだけの人に伝わるだろうか」を考えながら文章を紡げます。

「自分だけがわかるようにしか書けない」のであれば、必ず読み手を設定してください。

 前回書きましたが、想定する読み手はひとりに絞ってかまいません。

 たったひとりでもよいので、自分以外の人に「テーマ」が伝わるように書くのです。

「仏造って魂入れず」

 どれだけ巧みな文章であっても、「テーマを伝えよう」とする魂がなければ仏にはなりません。 

 もし書いた作品を小説投稿サイトへ掲載するのにためらいがあれば、まず「テーマを伝えよう」と悪戦苦闘してください。そして「これならテーマを伝えられるはず」と思える作品は勇気を持って投稿しましょう。

 誰でも最初の一歩は怖いものです。断崖絶壁で一歩を踏み出すくらい怖い。

「もし誰にも読まれなかったらどうしよう」「もし酷評されたらどうしよう」

 そんなマイナスの感情を抱いてしまいます。

 そこで勇気を出して投稿した人から「小説家」への道に踏み出せるのです。

 小説投稿サイト『小説家になろう』とは、「プロ」の小説家を目指すのではない。勇気を出して名も知らぬ人々に読んでもらえる人になろうという意味だと受け取ってください。

『小説家になろう』発のライトノベルが多い現状では、「小説家」イコール「プロの書き手」と思い込みがちです。しかし「名も知らぬ人々に作品を読んでもらう人」だと仮定すれば、これ以上の場はありません。なにせアカウントだけで182万以上もあります。これだけいれば、誰かがあなたの作品を読んでくれるはずです。

「自分だけがわかるようにしか書けない」うちは大きな反響は望めません。

「他人に読まれる」意識があれば、文章からムダがどんどんなくなっていきます。

 究極は「一文のムダもない文章」です。

 物語に関係のない文がひとつもない。すべての文はなにがしか物語に影響を与えている。

「小説賞・新人賞」が獲れる作品を書きたいなら、それくらいの心構えが必要です。

 要求される原稿用紙三百枚・十万字はあなたが思っているよりかなり短い。ムダな文を書いている余裕はないのです。

「他人に伝わる」文を工夫しながら、うまく「テーマ」を引き立ててください。





最後に

 今回は「自分のために書いてはならない」について述べました。

 小説は「他人が読んで「テーマ」を伝える」ために書かれます。

「自分だけがわかるようにしか書けない」作品で「小説賞・新人賞」は獲れません。

 まず「たったひとり」でかまわないので「読み手」を意識してください。

 その「読み手」に「テーマ」を伝えるように書くのです。

 ここが作文と小説との大きな差となります。




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