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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
応用篇〜小説を書くために一歩踏み込んでみる
120/1500

120.応用篇:マンガ的小説への挑戦

 ライトノベルを書きたい人はたいていマンガ好きかアニメ好きです。

 それなら「マンガのように読める小説」を書いたらウケが良いかもしれませんね。

マンガ的小説への挑戦


 小説を書こうと思う方。中でもとくにマンガが好きな人は「ライトノベル」を書きたいのではないでしょうか。

「ライトノベル」作家を志向する方はとくに小説投稿サイトで多く見受けられます。




小説投稿サイト

 最大手の小説投稿サイト『小説家になろう』では「異世界転生」「異世界転移」のハイファンタジー小説が一大勢力を築いています。

 これらハイファンタジー小説は文学的というより多分にエンターテインメントに偏ったマンガ的・アニメ的な小説と言ってよいでしょう。また最大手であるがゆえに実に多彩な小説が投稿されています。ローファンタジー小説やSF小説もたくさん揃っているのです。

 対して古参の『エブリスタ』はファンタジー小説が強くありません。書き手側に「ファンタジーといえば『小説家になろう』」という共通認識があるためでしょうか。そのぶんとくに女性向けの恋愛小説が多く集まっています。つまりランクインしている小説はおおかた女性向け恋愛マンガ的になっているのです。これは『アルファポリス』でもだいたい同じ傾向があります。

 ライトノベルのレーベルを数多く抱える出版社・KADOKAWAが共同運営している『カクヨム』から各レーベル所属の「ライトノベル」作家が誕生し、アニメ化やマンガ化される物語が作られていきます。このエコシステムがすでに確立されているので、『カクヨム』もマンガ的・アニメ的に映える作品が求められているのです。

 そんな中『pixiv小説』はランキングが二次創作で埋まっています。付いているタグを見ればたいていがアニメ化された作品の二次創作です。そんな中でも女子向けの二次創作が圧倒的に強い。『ピクシブ文芸』もランキングを見れば女性向け恋愛小説が上位に来ているようです。

 男子向けなのがファンタジーの『小説家になろう』とライトノベルの『カクヨム』、女子向けなのが恋愛の『エブリスタ』『アルファポリス』『ピクシブ文芸』、二次創作の『pixiv小説』と見ていいでしょう。




マンガ的・アニメ的小説の存在

 そんな小説投稿サイトのランキング傾向を鑑みるに、名を成したインターネット小説とはすべからく「マンガ的」ないし「アニメ的」な小説なのではないか、という結論に達しました。

「マンガ的小説」とは何か。マンガを一コマずつ文章にしていく小説のことです。

 同様に「アニメ的小説」とは、アニメをワンカットずつ文章にしていく小説になります。

 どちらも一長一短があるのですが、ここでは「マンガ的小説」を深掘りしていきましょう。




マンガ的小説

「マンガ的小説」はマンガを一コマずつ文章化していきます。

 マンガには地の文による説明と、キャラの発言と心の声、そして擬音が書かれているのです。つまり文字起こしからしないといけないアニメを小説化するよりも、すでに文字が起こされているマンガをもとにする「マンガ的小説」のほうが簡単に書けます。まぁ擬音は文章が軽くなりすぎますのでできるかぎり使わないに限りますが。

 テクニックとしては「小さなコマ」は短い文章でさっくりと、「大きなコマ」は長めの文章で書いていくことが基本です。

「小ゴマ」はさほど重要ではありません。だから短い文章でさらっと流し書きすればよしとします。そして「ライトノベル」の形式にするため、コマが切り替わるたびに改行していくとよいでしょう。

 もちろん表情や感情や情景を巧みに描き分ける必要はあるのですが、それはどの小説でも同じですので、とくに意識しなくてもかまいません。

「大ゴマ」はインパクトを強調するために用います。「大ゴマ」を使って主人公の行動を大げさに強調したい意図があるのなら、小説でも主人公の描写を数行にわたって分厚くします。

「大ゴマ」の存在感は生半可でなく、「小ゴマ」と同じく一つのコマでしかありませんがインパクトをより強めるために文章を畳みかけるように書いていきます。その間改行はいっさいしないでください。改行せずに文章を書き連ねることで時間を進めることなく情報をたくさん盛り込めて存在感が際立つようにするのです。

 このようにコマの大小によって文章の密度が異なるのです。また、コマは時間の移ろいを表しています。小説の時間の移ろいは句点と改行によって生み出されます。句点なら数秒単位、改行なら数十秒単位の時間が流れているのです。

 だからと言って時間を表現するため、頻繁に句点を打ったり改行をしまくったりする必要はありません。

 時間経過そのものを「省く」ことができるからです。

 たとえば一時間後まで時間を経過させるには、千回以上改行するのではなく「あれから一時間経った。」の一文を書くだけで事は済みます。




マンガもライトノベルもキャラが命

 マンガは主要なキャラがすべて立っているべきです。

 とくに感情移入してもらいたい主人公に一本筋が通っていれば、物語の形は揺るぎません。

 そしてライトノベルは「キャラクター小説」とも言われています。

 文芸小説と異なり「キャラが立っていないと魅力なし」と判断されてしまうのです。

 マンガとライトノベルはともに「キャラが立っている」ことが重視されます。よって親和性が高いのです。

 「マンガ的小説」を書くことがライトノベルの技量向上に寄与することがわかっていただけたかと存じます。




読み切りマンガを変換する

 ではさっそく小説化するマンガを選びましょう。この練習はできれば読み切りマンガがオススメです。

 マンガの読み切りは小説に変換すると中編小説ほどの長さになります。中編小説を書き慣れれば、より短い短編小説も、より長い長編小説も書けるようになるのです。

 ですのでまずは底本となる読み切りマンガを探すことから始めます。

 小説化したいマンガを選んだら、まずはマンガの一ページ目をよく見てください。

 舞台背景や状況説明から入っているでしょうか。キャラがいきなり現れているでしょうか。読み切りマンガの場合、たいていキャラがいきなり現れているはずです。悠長に舞台設定や状況説明から入っていたのでは短いページ数で物語を描き切れません。だから必然的にいきなりキャラが現れるものなのです。

 小説でも冒頭「一ページ」で主人公を出し、「三ページ」でキャラ説明と舞台説明を終えなければなりません。読み切りマンガに似た構造をしていますよね。これが「マンガ的小説」の基本形です。


 連載マンガを「マンガ的小説」に変換することもできなくはありません。

 ただし連載マンガは冒頭で舞台設定を語っている場合が多いため、小説化した際に「三ページ」の中で必要となる主人公の情報が入らないという事態が生じやすいのです。

 それを調整するために、マンガの時系列をいじくって主人公が登場するシーンから書き始めないとならなくなります。これでは基にしたマンガの味わいを殺してしまうのです。

 句点と改行によってコマを表し、コマの大きさによって書き込む密度を操作します。慣れてくればスラスラと変換できるようになるので、とにかくたくさんの読み切りマンガを中編小説に変換してみてください。




アニメよりマンガが向いているのは

 マンガのよいところは、必要な情報だけをコマに書き込むことができる点です。アニメは背景空間を完全に構築して「ビデオで撮影したような」映像を写しています。つまりどの要素がどれだけ物語に影響を与えるのかを視聴者が見極めづらいのです。

 夕暮れで広場にある時計台が「17:00」を示していたとします。

 アニメでは「17:00」を伝えたいのか「夕暮れ時であること」を伝えたいのかが判然としません。

 しかしマンガなら時計台が「17:00」を示していれば夕暮れ時よりも「17:00」という時間に意味があるのです。

 夕暮れ時を伝えたいのなら、夕景の佇まいを書けばいい。なにも時計台で「17:00」であることを断定する必要もないのです。

 アニメはなまじ情報量が多いために、かえってどの要素をどれだけ書けばいいのかわからなくなってきます。

 しかしマンガは省略美です。キャラが書いてあっても背景は真っ白だったり集中線だったりカケアミだったりと明確な背景が描かれていないコマもたくさんありますよね。

 その意味からもマンガがライトノベルに向いていると言えるのではないでしょうか。





最後に

 今回は「マンガ的小説への挑戦」というテーマで述べてみました。

 本来昨日投稿する予定だったのですが、時間内に文章がまとまりませんでした。そこで急遽ストックから一本使ってしまったのです。

 マンガと小説は絵と文字という違いがありますが、表現したい内容は酷似しています。とくにライトノベルはアニメよりもマンガのほうが親和性が高いくらいです。

 そこで「マンガ的小説」と銘打って「小説にマンガの書き方を持ち込んでみたら面白くなるのではないか」と考えました。コマ割りを意識することでどのシーンやコマが重要になるのか、どのくらい密度を調整すればいいのかが見えてくるのではないでしょうか。

 なにより「マンガ的小説」は視覚的なイメージが伝わりやすいため映像映えします。最初からアニメ化・マンガ化をにらんだ作品に仕上がるのです。

 最近の出版業界はマルチメディア戦略により、一つのコンテンツを多角的に展開して収益を上げるシステムになっています。その出版業界が目をつけやすいという意味でも「マンガ的小説」には大きな可能性があると思うのです。

 私も作業が一段落したら「マンガ的小説」に挑戦したいと思っています。そこには大きな可能性もあるでしょう。なにより視覚的にわかりやすい小説というのは、読み手がイメージを膨らませやすいという利点があるのです。使わない手はないと思います。




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