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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
技術篇〜いかにして名作が創られるか
1188/1500

1188.技術篇:奇抜な構想を思いつくには

 構想段階で面白いかどうかは、誰にもわかりません。

 ほとんどの方が同じ構想を用いて、まったく異なる作品を生み出すからです。

「小説賞・新人賞」で目立つためには「奇抜な構想」でなければ、と勢い込んでも、その「奇抜な構想」がまったく浮かんでこない。

 それもそのはずで、ほとんどの構想はすでに小説化されているのです。

 それでも「奇抜な構想」でなければ、とお思いでしたら、ちょっと試してみてください。

奇抜な構想を思いつくには


 小説を構想していて「こんな作品じゃウケないな」「こんな作品じゃ受賞できないな」と思ったことはありませんか。

 私も当初はそう思っていたのですが、そもそも構想段階で良否を判断してよいものでしょうか。

 信頼できる誰かに、作品が面白くなりそうか、書いてもウケないかの判断をしてもらってもよいかもしれない。

 というより、誰かからお墨付きをもらえれば、書く意欲が湧いてくるんだけどな。

 そう思うのも当然です。




構想段階で面白くなりそうかはわからない

 正直な話、構想段階で面白くなりそうかなんて、誰にもわかりません。

 なぜなら、まったく同じ構想で書き始めても、書き手によってまったく異なる物語に仕上がるものだから。

 ポジティブな主人公が冒険の旅に出て、仲間を集めて、諸悪の根源を倒しに行く話。

 こんな構想をお持ちの方は多いと思います。

 これって大半の「剣と魔法のファンタジー」で用いられているのです。

 ほとんどの「剣と魔法のファンタジー」はこの構想からスタートしています。

 それでも書き手によってまったく異なる作品が出来あがるのですから、構想だけで面白くなるかつまらなくなるかなんて決めようがありません。

 しかしこの構想、本コラムをお読みの方ならもうお気づきですよね。

 そう、童話『桃太郎』そのものなんです。

 そしてハリウッド映画のスティーブン・スピルバーグ氏&ジョージ・ルーカス氏『STAR WARS』エピソード4(つまり最初に公開された作品)もこの構想を用いています。

 つまり誰が話を作るかで、まったく同じ構想が、まったく異なる物語に仕上がってしまうのです。


 私には講評依頼も多く舞い込んでおり、とてもありがたい状況です。

 そんな中でも「こんな作品を書きたいんですけど」という「構想の良し悪し」を尋ねる方が増えてきました。

 それに対して私は「これなら面白くなります。あとはどう見せるかです」と答えています。

 構想段階で相当奇抜なものも確かにいくつかありました。

 ですがそれを活かせるかどうかは、書き手が「どう見せようか」と考えるところからしか生まれません。私ひとりでバッサリ切り捨てられるものではないからです。

 だから書き手が書きたいものをうまく引き出して、それを最大限に活かすための展開を考えてもらっています。

 結果的に書きたいものが書けて、読み手に受け入れられればよいでしょう。




それでも奇抜な構想にしたいなら

 誰が書くかで同じ構想でも異なる物語に仕上がる。

 それはわかっていながらも、できれば「奇抜な構想」にしたいと思うときもあります。

 とくに「小説賞・新人賞」へ応募するなら、他の作品にはない「奇抜な構想」は選考さんの目を惹くはず。

 されとて、いざ「奇抜な構想」を考えようとしてもなにも思い浮かばないでしょう。 

 そんなときは「別のジャンルの構想を借りてくる」手があります。

 たとえば「剣と魔法のファンタジー」にマンガの青山剛昌氏『名探偵コナン』の構想を借りてくる。もちろん「剣と魔法のファンタジー」で「推理」ものを書くのは難しい。だから「推理」要素は捨ててください。人間関係や対立関係などを借りてくるのです。

 そんなあからさまなパクリはよくないだろう。

 そう思いますよね。

 ですが先ほどから述べているとおり、「まったく同じ構想でも、まったく異なる物語に仕上がる」ものなのです。

 だからあらゆるものから「構想」を借りてくるのは「あり」なのです。

 事実「剣と魔法のファンタジー」の始祖であるJ.R.R.トールキン氏は、ヨーロッパの民間伝承や神話などから「構想」を借りてきて『ホビットの冒険』『指輪物語』などの舞台となる「中つ国」を生み出しました。

 トールキン氏ですら「構想」を借りてきているのです。

 また前述の『STAR WARS』も黒澤明監督作品の影響を受けて「構想」を借りてきています。黒澤明監督作品だと『七人の侍』がハリウッドで『荒野の七人』としてリメイクもされていますよね。

「構想」には著作権がありません。

 誰でも同じものが思いつくからです。

 そこからどうやってオリジナリティーを発揮して「奇抜な構想」にするのか。

「剣と魔法のファンタジー」だけが極端に発展した小説投稿サイト界隈においては、それ以外のジャンルから、格好のネタが仕入れられます。

「剣と魔法のファンタジー」世界で「日常」ものの「スローライフ」がウケたり、「VRMMO」ものの「ゲームライク」な作品がウケたり。

 逆に「日常」世界に「剣と魔法のファンタジー」を持ち込むこともあります。

『小説家になろう』を筆頭に、本来なら「ハイファンタジー」に投稿するべき作品が、別ジャンルに掲載されているのをよく見ますよね。

 あれはランキングに載りたいがため、わざと狙って別ジャンルに投稿している場合と、別ジャンルに「剣と魔法のファンタジー」の要素を持ち込んだからそのジャンルでよしとしている場合があるのです。

 そもそも、なにをもって「剣と魔法のファンタジー」とするのか。明確な基準はありません。

 たいていは「異世界」が舞台なら「剣と魔法のファンタジー」と相場が決まっています。しかし誰がそんな基準を作ったのでしょうか。

「異世界」でも「剣と魔法のファンタジー」である必要なんてありません。「スチームパンク」な「異世界」があってもよいのです。「サイバーパンク」な「異世界」があってもよいのです。「純和風」でも「中華風」でもなんでもござれ。

「異世界ファンタジー」が「剣と魔法のファンタジー」だけに限られると考えているうちは「奇抜な構想」なんて浮かんできません。

「異世界ファンタジー」の舞台が「ゲームの中」だった、という作品が流行った時期もあります。

 今でもアニメ化されている長月達平氏『Re:ゼロから始める異世界生活』も「ゲーム」のようにリセットされてセーブ地点まで戻ってくるお話ですよね。舞台は「剣と魔法のファンタジー」でも、そこに「ゲーム」要素を持ち込んだことで「奇抜な構想」へたどり着きました。この作品のおかげで、似たような「構想」が小説投稿サイトに散見されるようになったのです。

「奇抜な構想」を考えつこうと思ったら、他のジャンルから借りてくるのが最も手っ取り早い。

 今では小説投稿サイトにあらゆるジャンルの作品が掲載されています。ほとんどのジャンルはカバーできているのです。

 だから「奇抜な構想」にしようと思ったら、小説投稿サイトでまったく異なるジャンルから「構想」を拝借しましょう。

 きっと「奇抜な構想」と言われる作品が生まれますよ。





最後に

 今回は「奇抜な構想を思いつくには」について述べました。

 どんな小説も、スタートは民間伝承であったり神話であったり童話や寓話であったりと、既存の作品から「構想」を拝借して作られています。それが意図的か無意識かは問いません。

「剣と魔法のファンタジー」なんて、突き詰めれば「冒険の旅に出て、仲間を集めて、諸悪の根源を倒す」構想です。そこになにかを加えたり減らしたりしてオリジナリティーを出そうとします。しかし「剣と魔法のファンタジー」しか読んでこなかった書き手は、おおもとの構想から抜け出せません。

「構想力がある」と呼ばれるのは「あらゆるジャンルの小説を読んできた」証でもあるのです。

「物語の引き出し」も、さまざまなジャンルの小説を読むから増えていきます。

 それでも「奇抜な構想」にたどり着けない方は、書く手を止めて別のジャンルの作品を読みましょう。そこからなにかインスピレーションを得られるかもしれませんよ。




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