まおうりょうしせつだんかいめつき
いつかでどこかの魔王国。勇者の来訪が少なくなって一息ついた魔王様は思いました。
人の国と仲直りするのは今が一番いい時期なのではと。
魔王様は人間の国を攻め滅ぼしてあれこれするつもりはないのですが、人間たちはそうは思っていませんでした。魔王様に立ち向かって叩きのめされてしまった人がたくさんいたのです。
魔王様は頼ってきた色々な種族の者達を守るために立ちふさがっただけなのです。人間たちがあまりにも数が多く鬱陶しかったので一気に片をつけようと派手にしてしまっただけなのです。
少々力を入れ過ぎたために戦場は炎に包まれて、大地は割れてしまったのです。おかげで人間たちは攻め込めなくなってしまいました。勇者達も魔王様の力に怯えて立ち向かわなくなってしまいました。
その土地に住んでいた者達はあまりの惨状に俺らの住んでいるところに何するんだと怒っていましたが、魔王様はその怒りは当然だとごめんなさいするのでした。
怒っていた者達の土地は【狭間】と呼ばれて魔王様の国と人間たちの国を隔てる壁になるのでした。あまりにひどい戦争にその土地の者達は荒らされたくないと国を立ち上げて両者が交わるのを禁じたのでした。
魔王様はそれが当然のことだなと納得して自分の国を治める事に集中するのでした。魔王様は別に世界は欲しくありませんでした。欲しかったのはちょっとした一角、自分と家族と友達が楽しく過ごせる場所でした。
【狭間】の国が防波堤となってくれるのならばそれは良い事だと気楽に昼寝をしながら過ごすのでした。
それから千年ほど経ちました。魔王様と人間たちの戦争は歴史書の一節に過ぎず、魔王に立ち向かう勇者の物語はおとぎ話になって居るのでした。
【狭間】の国は大層栄えて人間たちとそれ以外の種族がそれなりに仲良くやっているのでした。
それを見て魔王様はちょっぴりうらやましく思いました。そこには魔王様の欲しかった平和な光景があったのです。人とそれ以外の種族が仲良くしていて笑いあっている光景が・・・・・・・
魔王様はそれが欲しくなりました、だけど無理やり奪ってしまうのは魔王様の美学に反するのです。最も無理やり奪っては壊れてしまうので駄目だという事は良く判っていたのですが。
ならばどうしたらよいかと考えました。【狭間】の国に行ったことがある鬼の若者が言いました。
「人の国と仲直りをしてはどうか」
魔王様は質問しました。人間の国と仲直りしてまた戦争にならないかと
雷竜の老爺は言いました。
「人も其々、我等と同じ。仲良く出来る者から仲良くすればよい。」
ふむと魔王様は考えてどこが良いだろうと考えました。
闇妖精の呪術師が言いました。
「まずは【狭間】で色々な国の者と会ってみたらどうか。」
それならばと雷竜の老爺が
「【狭間】の国には様々な国の者がいて酒を飲んでみたが楽しく酒が飲めた。【聖徒】の聖騎士は名前よりも話が分かる男だった。【西方平原】の侯爵は食い物に煩い男だが好い酒を知っている。【霜降】の大使は博識で飲んでいて楽しいが奥方に酒を止められて不憫だ・・・・・・・・・・・」
雷竜の老爺は自身が【狭間】にいた記憶を思い出しながら様々な者の事を評している。人と違った姿をしている雷竜の老爺と共に酒を酌み交わす連中ならば話くらい聞いてくれるかなと紹介するように命令しました。
雷竜の老爺、言いにくそうに
「【狭間】の酒場で正体表したら店を壊してしまっての、出入り禁止になってしまったんじゃ。」
と小さな声で言いました。
魔王様は呆れて、他にないかと答えました。
これに応じたのは魔王様の娘である魔王女ありました。
「父上、私ならば【狭間】の国の王妹殿下とか異世界人の女性とか【聖徒】の聖女様とかと親交があります。他にも様々な国の・・・・・・・・・」
「却下!」
魔王様は即座に話を打ち切りました。魔王女の親交は腐った趣味の女性ばかりでこっちまで同じ趣味だと思われたくなかったのです。彼女等の犠牲になって居る見知らぬ人間たちに思わず黙祷してしまう魔王様でありました。
次に話を出してきたのは【狭間】にいた小さい鬼の子でした。
「魔王様、僕らの師匠に【狭間】の貴族がいます。彼ならば雷竜の爺様が言っていた人達にも話が行きますし、それ以外の偉い人とも親交があります。」
それに反論するように小さな狸の子が
「でも、色々敵も多くない?教えるつもりで厳しくし過ぎたとか・・・・・・・で」
魔王様は質問しました。その貴族は良い人なのかと。
鬼の子も狸の子も答えがありませんでした。代わりに答えたのが闇妖精の呪術師でした。
「敵に回せば手強いが味方にすると鬱陶しい。庇護に入れば甘々だが、上に立つなら覚悟がいる。」
すごく面倒くさそうな人物だけど話をしてみる価値はありそうです。
色々な者から意見を聞いて、人の国に喧嘩をやめようかという伝言を送ることに決めました。
一人で行かせるのは人間の国は怖いので何人か送る事にしました。最初万の者を送ろうとしましたがそれは怖いからと言われました。ならば千にしたらどうかと言ったら同じだと意見が出ました。十だとすぐにやられてしまうし、百ならばと言う事で話がまとまりました。
誰を行かせるかという話となって、鎧兜で固めた獣人兵団を遣わせていこうとか、巨人の群れとか、最高の武勇に彩られた剣闘士達とか・・・・・・・・・それはケンカを売りに行くのだと諭されてしまいました。
歌姫とか羽妖精の楽師とか送るという話となればそれは狙ってくださいという話だと怒られてしまいました。特に歌姫を遣わすと言ったら彼女の信奉者たちが魔王様に対して詰ってくるのだから困りものです。
鬼の子とか狸の子が立候補したら、子供に何ができるという話になるし。醜面鬼の学者とか豚鬼の料理人だと流石に人間たちに受け入れがたいのではという意見が出ました。
色々な者が推されて下げられながら最後には古妖精の長老が長になって様々な分野の代表が集う事になりました。
古妖精の長老は【狭間】に行って、推されていた人間たちと話をしました。人間たちの方でも色々な意見がありますけど戦争しないで済むならばと話をするくらい良いという意見が大半でした。
色々商売したいという人もいましたがそれは少し落ち着いてからという意見に消されていたのは仕方がない事だと思います。
そして人間の国に入る許可を得て彼等の王様と話すたびに行くのでした。
人間はだまし討ちとか好きだから大丈夫かと思っていましたが【狭間】で知り合った人たちが共にいるおかげで表立っては何やらされる事はありませんでした。人間たちと手騙すことはあっても戦争をするほど馬鹿ではありません。商売で有利な条件に持って行っても受けた方が楽だし金になる事を知っているのです。
旅路は様々な騒動がありましたがほぼ順調に進んでいくのです。
人間の国に入って何日も過ぎました。姿形の違う者達におっかなびっくりではありますけど、危害が加えられないということが判れば慣れて酒を共に飲むくらいの者も出てきます。それだけでも魔王様の目的は果たされるのではといえましょう。魔王様の最終的な目的は人間とも仲良く過ごしていって平和な一角を手に入れる事なのですから。
人間たちの奥深くに旅していっているある夜、小さな村に宿を取っていた一行は村人たちの歓待を受けながら夜を過ごしているのである。
小さな村で人間以外の種族を見たこともない村人たちはおっかなびっくり彼等を持成すのである。彼等にしてもおっかなびっくりと言うのは何度もあった事なので怖くないのにとかいやお前の顔が怖いという軽口を叩きながら受け入れるのである。
魔王様の命を受けた者達はとても紳士的である。彼等の振舞い一つで世界が変わる事を言い含められて彼等自身も幸いを望むものであるから。
村娘が問う。魔王領に残された数少ない人間族の兵士たちに
「どうして、私を襲わないのですか?」
人間族の兵士たちは答える。
「俺達は魔王の旦那に頼まれたんですさぁ。」
「子供達だけでも戦を知らねぇ時代を過ごしてもらいてぇとないていたんだんだ。」
「本気の涙に応えねぇ男であるつもりはねぇよ。」
「俺達だって、チビ共に戦の理不尽をあじあわせるつもりはねぇ!」
年嵩の男達は言う。
「国に戻れば年頃の娘がいるんだ、それが理不尽に合うと思うと考えれば出来ねぇだろ。」
「兵隊と言うのは国の顔だ。俺達が作ってきた国と言うもんを俺達が台無しにするわけいかねぇだろ。」
「戦うしか能がない俺達だって、戦うのは俺達だけでいいということくらいわかっているんだ。」
村娘は心気高き男達に心打たれました。
「まぁ、娘さんの酌はとても嬉しいんだけどな。」
村娘は様々な種族の連中に聞きました。どうして襲わないのかと。
竜の若者が言いました。
「人の中にも心打たれる物を作る者がいる。ならばその種族は敬意に値する物であろう。」
巨人の歌い手が言いました。
「人間は小さすぎて色々すると人形遊びにしか見えないと」
村娘は納得しました。
毛深き獣人がいいました。
「毛のない誰かに何かするつもりはない。」
醜面鬼の学士が
「のっぺらの顔は好みでない。」
豚鬼の料理人が
「お前痩せすぎ。」
色々言いました。これは種族ごとの好みの差だと村娘は思いました。
様々な種族は色々な理由で彼女の誘いを断りましたが彼女の事を礼儀正しく扱っていたので見た目よりも良い連中だと判断しました。
村娘は魔王の配下だと言ってもちゃんとした人だと思いました。そして古妖精の使節団の団長に聞きました。
「どうして私にあれやこれやしないの」
かと・・・・・・・・・・・
古妖精の団長は言いました。
「だって貧乳じゃないか!」
と・・・・・・・・・・・
人間から見ても美形である彼が輝くような笑顔で言いました。村娘は泣きました。泣きながらこぶしを握り締め
「死ねやぁぁ!この巨乳主義者め!」
と思い切り古妖精の団長にたたきつけました。人間より華奢な彼の体は天高く舞い上がり顔面から地面にたたきつけられました。
「死ね死ね死ね死ね!」
村娘は本気のスタンピングを古妖精の団長にたたきつけるのです。ちなみに村娘の胸部装甲は平均よりは乏しいものでしたけど大平原の小さな胸ではありません。
村娘は過去に胸の大きな女性に恋に破れた経歴があるので、その怒りもまとめてぶつけるのでした。
「まてまてまてまて、それはまずいから!」
あわてて黒豹の頭をした剣士が止めにかかりました。
「うるさいっ!」
ドカンという衝撃音を発する裏拳で叩きのめされました。
「それはやりすぎだから!」
と止めに来た巨人の歌い手を古妖精をける足を止めずにひじ打ちでスネを打ちおりました。
止めようとした村人たちも兵隊さんたちもまとめて叩きのめしました。
「村娘ちゃん、この最低男をたたくだけじゃダメ!(自主規制)をアレして(あまりにひどい表現なので作者の自己都合による削除)」
村娘に便乗するのは長耳族の笛吹娘。彼女も種族的特使として胸部装甲が薄いのでありました。類縁の黒長耳族は一部分が立派なのにどうしてなのでしょう?
それはさておき、笛吹娘の意見は好い物だと理解した村娘は笛吹娘の手を取って
「でしたら(ぴー)をあれやこれやして(あまりにひどい表現なので略)」
それを聞いていた男たちはきゅっとなって顔をそむけました。どこがとはいいません。なにがとはいいません。
それからしばらく古妖精の団長の悲鳴は途切れることはなかったのです。男たちは国の違いを超えて震えていました。おかげで男たちは仲良くなりました。
しかし使節団は壊滅的な打撃を受けて旅をすることができませんでした。
人間の王様は頭を抱えました。魔王様も頭を抱えました。どうしてこうなった・・・・と
人間の王様はお見舞いの手紙を出しました。王様もおっぱいが大好きなのです。おっぱい好きを堂々と公言して叩きのめされた古妖精の団長を同志として感じるものがあったのです。
魔王様はお詫びの手紙を出しました。うちの馬鹿が恥ずかしい真似をしたと。
人間の王様の手紙は男としては納得できるものでしたけど国の顔としてはダメすぎるものでした。魔王様はそれほどおっぱいにこだわっていないので流しました。返事として村娘に対してひどいことをしないようにお願いしました。
魔王様の手紙はまじめで人間の国の大臣たちがまじめに彼らと向き合うことを話し合いました。そして使節団はダメだったけど仲良くする道筋は作られたのでした。
その後で届けられた魔王様のお願いは人間の大臣たちはなんて優しい人柄だと感激してお願いを受け入れました。ただし、人間の王様が送った手紙の内容を知った大臣たちは王様にたくさんお小言を言いました。そのお小言を言っている人の中にお妃様の姿があったのは秘密です。
人間の国の兵士たちも魔王様の兵士たちも女は怖いということで仲良くなりました。魔王女様の餌食にならないかは心配です。ちなみにかれらはのうまるです。
彼らはお互いに仲良くできるとお互いの偉い人たちに言いました。偉い人たちも少しづつ仲良くすることを認めました。
そして少しづつ手紙とか人のやり取りをしながら仲良くなりました。何年もたって人もそれ以外のものもお互いに仲良くなりました。魔王様はねんがんの平和な場所を手に入れることができるかと思ったのですけど仲良しを続けるためにどうしたらいいのかと周りから求められて忙しいままでした。それでも魔王様は誰かが平和な場所を手に入れたことに大変満足しました。
ところで古妖精の団長はどうしたのかって?
彼は故郷で奥さんと娘さんと姉妹たちとか色々な女性に吊るし上げを食らっていたのでした。古妖精族は胸部装甲が薄いのが普通でそれを否定したのだから当然の結果です。
そのことを知った世界中の男たちは胸の薄いのを馬鹿にしてはダメだと教訓を得たのでした。
ついカッとなって綴ってしまった。反省はしている。
読者の中におっぱい好きな男性がいたら貧乳でも馬鹿にしちゃいけないよ。
リアルで殴られるからね。(なぐられるだけで済めば幸いかも)