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識別No.0631_3  作者: 良木眞一郎
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05

 異動者の受け入れを終えた都市ランファンの正常稼動を機に、北にある未起動都市ヘルムートへの攻略作戦が開始された。

 三度目の正直ならぬ、三度目の攻略である。631やWFなどの兵士たちはもちろん、補給、情報分析、通信、設備設置、医療や拠点の設営などの間接戦闘部隊も慣れたものだ。都市イオミン・ペイ攻略時は誰もがおたおたしながら作業をしていた。その際に戦術コンが最適行動を学習、並列化したこともあり、前線拠点はあっという間にできあがった。だからリグたちは到着するやいなや、流れるような速さで戦線に投入されたのだ。

 都市の上空防衛はランファン、イオミン・ペイ各都市の部隊が交代でおこない、新兵だらけになった都市アンバースの部隊は予備戦力として控える。直接攻略に当たるのは都市ランファンの部隊、つまり異動してきた都市アンバースの兵士たちだ。

 ボンベを放り、突撃銃で一発撃ち抜く。黒い霧が晴れて突撃銃を構えた四人が周囲を警戒しながら進んだ。戦術コンの情報共有によって死角のない移動ができる。

 631の四人は侵攻予定経路の半ばまで来ていた。これまでの戦術を用いれば特に苦労することもなく、拍子抜けするほど順調である。その順調さに喜ぶほど脳天気な四人ではない。口には出さないものの、交わす視線でお互い逆に慎重になっているのがわかる。高速稼働個体の奇襲もさることながら、まだ見ぬ新型への怖れも手伝って、ビリッとした緊張感があった。

 不意にユウが戦術コンの埋め込まれている側頭部に触れる。ヘルメット越しだし、直接であっても意味のない動作だ。通信をするとき、人類は共通して耳のあたりに触れたがった。音波を介さないデータ通信であってもだ。

 ユウは首を傾げたが、すぐに手をおろして突撃銃に戻す。リグはそれを見逃さなかった。

「ユウ。どうした」

「いや、なんでもないよ」

「だめだ。言え。何かの予兆かもしれない」

 わずかにためらった後、ユウは立ち止まって銃口を下ろした。

「通信経路が、ちょっと変かなと思ったんだ。遠回りしているような気がする」

 ここで意味する通信経路とは、攻略に当たる兵士と最上層に設営された作戦本部をつなくデータ通信の中継路のことである。都市はそこかしこに通信中継機を配置している。それは物体の固有振動数の共振を利用した動力不要の装置で、音叉の共振のように情報を伝達していく。おかげで動力のない未起動都市でも通信が行えるのである。通信波は四方に拡散するため、通信中継機を渡りながら該当の戦術コンに到達する。受信時の信号強度で、どの程度の距離を経たのか推測可能だ。それが現在位置からの想定より弱いことにユウは気づいたのである。

 前方を警戒しながら怪訝そうにテオが振り向いた。

「途中に通信波が通りにくい構造材があったんじゃないですか?」

 都市の中にはそういった性質の区画もある。通り抜ければ信号は弱まるし、通り抜けられなければ他の通信中継機により迂回した通信波を拾うので、やはり信号は弱くなる。

「そうだね。十分にあり得る現象だ。ただ、基本的に都市はそうした区画があることを前提に通信中継機を配置するから、ここまで信号が弱まるか疑問なんだ」

「変だと思うか?」

「変……までいかないかな。前例にない感じってだけ。それで言おうか迷ったんだ」

「ふうん。都市の造りか」

 リグは少し考えた。要は通信が通ればいいので、強度は弱くても問題ではない。ただユウの指摘ももっともで、都市設計時点で判明している信号の弱まりを許容するかというと、それも妙なことである。

「ユウは都市をいくつ知ってる?」

「君と同じだよ。都市アンバース、イオミン・ペイ、ランファン。そしてここ、ヘルムートの四つだ」

「例外と判断するには、ちょっと少ないな」

「そうだね」

 信号の弱まりを許容している都市だ、と確定できれば問題はない。確定できないから疑念が湧いてくる。あるいはフェムトの新戦術かもしれないのだ。通信途絶は決定的な孤立をもたらすだけでなく、待ち伏せの察知もできず、情報共有できずに同士撃ちの危険すらある。フェムトが通信波に干渉した例はないが、いままでの新戦術だって前例がなかったのだ。無警戒でいるほうがどうかしている。

「通信波の弱まりは作戦本部に報告しておく。ユウ、継続して注意しておいてくれ。通信途絶の可能性もある。全員、退路を意識して進め。他にも、なにか変だと感じたらすぐ言ってくれ」

 それを聞いたガスが顔をしかめる。

「そんなら言うけどよ。隊長も気づいているだろ、妙にスイスイ進めやがる。侵入個体の数も少ねえ。気味が悪いぜ」

「僕もちょっと不安です。何かの前触れのような雰囲気ですよ」

 リグは頷いた。妙だと感じてはいたが、全員警戒していたので十分だろうと口に出してはいなかった。リグ自身が率先して注意をうながさなければいけなかったのだ。

「俺も妙だと思う……予定より進んでいるから、時間はある。慎重に行こう。奇襲や待ち伏せ、その他何が起こっても冷静に対処できるよう、落ち着いて進むぞ」

 了解、と三人が返し、631は再び歩みはじめる。

 しばらくたいしたことは起きなかった。それでも四人は注意を怠ることなく、侵攻予定経路を進んでいく。

 ボンベとケミカルライトが放られ、黒い霧のようなフェムトが一掃された広い空間の中で、彼らはそれに出会った。

 侵入個体が一体、こちらに背を向けたまま立っている。

 リグたちは広場の入口で突撃銃を構えつつ、隊形を整えた。

 その気配に気づいたのか、侵入個体の黒い外殻がケミカルライトの光を反射しながらこちらに向き直る。

「中身のフェムトは入っているみたいですね」

 口をつぐんだまま、通信でテオが告げる。

「隊長。一体程度、わけないぜ」

「待って、ガス。高速稼働個体かもしれない。あれは中身のフェムト群体の密度が違うだけで、見た目じゃ区別できないから」

「それにしたって同じことだぜ。対処法はわかってる。たかが一体だ」

「いや、おかしいですよ。高速稼働個体の戦法は奇襲でしょう。突っ立って待ってるなんてことがありますか」

 通信にはのせないものの、むう、とガスは唸る。

「どうする、リグ」

「待っているかはともかく、何らかの意図があるはずだ。俺たちが攻撃可能なこともわかっているだろうに、動かないのはおかしい」

 うかつに攻撃できない、と続けてからリグはユウに視線を送った。

「ユウ。通信状況に変化はないか?」

「特になし……どういうつもり?」

「仮に待っていたとするなら、意思疎通を図りに来たかと思ったんだが」

「……そうだとしても、通信波じゃなさそうだね。ちょっと待って、可聴域外や不可視光も調べてみる」

 いっそ呼びかけてみるか、とリグが思ったとき、ガスとテオの銃口が動く。侵入個体の奥、広場の出口にあたる通路だ。そこから黒い霧が床を這うように広がる。ある程度広がると拡大をやめて収縮し、立体的に積み上がっていく。向こうが見通せないほどの濃い塊、黒い人型へと。その腰からはしっぽのようにフェムト補給線が伸び、奥の通路につながっていた。

「高密度群体まで……」

 テオがうめく。高密度群体は外殻がなく、体表のフェムトが消滅し続ける代わりに自身の密度や姿を自在に操る。突撃銃は素通りする。ポインターを撃ち込んでもよほど高密度状態になっていなければ、細菌大のフェムト個体に当たるだけで群体として拘束、消滅させられない。そして体表で消滅するフェムトはしっぽの補給線から供給され続けるという難敵である。

 631は初遭遇時にこれを消滅させた。その後に都市アンバースの兵士たちはより効率的な攻略法を作り上げている。

「対処法がわかってるやつが増えただけだ」

「でも、この組み合わせは初めてだ。新型のつもりでいたほうがいいよ」

 強気なガスにユウが釘を刺す。リグはこの戦闘……何かを待っていたと思われるフェムトの意図を探ろうとして、やめた。情報が少なすぎる。

「隊長、いつでも行けるぜ」

「……いいや、俺たちだけで相手することはない。苦労は分かちあおう。いま応援を呼んだ。全員、警戒しつつゆっくり後退しろ」

「他の部隊を危険に晒すの? 君らしくないね」

「たしかに中途半端な人数なら危険だが、二、三十人集めて一斉攻撃すれば無傷で済む」

 納得するユウの前から、ガスが尋ねる。

「後退中にしかけられたら?」

「可能な限り後退を維持しつつ応戦する。高密度群体はそうは早く動けないはずだから、高速稼働個体の方に特に注意しろ」

 三つの了解が返ってくる。リグは後方にも注意をはらいながら一歩退く。その時だった。

 床が消えた。

「お?」

 間の抜けた声を残し、リグは床の穴に吸い込まれるように落ちていった。即座に金属が衝突する音がして、床の穴が塞がる。

「リグっ!」

 床に飛びついたユウに、ガスが叫ぶ。

「集中しろ、ユウ! 敵の目の前だぞ!」

 びくっ、と震えたユウは跳ねるようにして立ち上がり、突撃銃を構える。その間にテオがリグとの通信を試みていたが、無駄だった。

「隊長と通信できません。原因不明。位置情報も消失。都市下層に行ったってこんなことあるはずないのに」

 焦るテオの声を聞きながら、ガスはユウをちらりと見た。

「どうする、ユウ。副長。指示をくれ。勝手にしていいんならそうするが、こんな時こそ、そういうわけにはいかねえだろ」

 ユウは歯を食いしばる。罠だ。いますぐこの忌々しい床にポインターを撃ち込んで穴を開け、リグを追いたい。しかし高速稼働個体を前にして、そんな余裕はない。そもそもこの二体を片付けなければ、リグを救えたとしても安全な退路がないのだ。そしてリグが罠にかかった以上、すぐにでも危険な目に遭う可能性は高い。応援を待っている時間はない。

 ゆっくりと息を吐いて、ユウは集中力を取り戻す。

「全員、攻撃態勢」

 ユウの発した命令に、ガスとテオは戦意に満ちた動きで応える。

 即座に発案した作戦を二人に通信で伝えながら、ユウは怒りに震える手でポインターを握った。

「本当に……邪魔だよ、君たち」

 数瞬睨み合った後、動きだした三人に二つの影が呼応した。

 そのころリグは、送風管のような大型の管の中を滑り落ちていた。はじめは何が起きたかわからず手足を暴れさせたが、突撃銃の引き金から指を離したのは反射的とはいえ英断だった。さもなくば指まで暴れて自分の身体を撃ち抜いていただろうから。

 いまのリグは落ち着いていた。何かの都市機能が偶然作動してしまったのか、そもそもこれが侵入個体の意図、つまり罠なのか、判断がつかない。

 ほぼ確実に罠っぽいが、どうだろうか。世の中は悪気があるとしか思えない偶然も存在する。ころんだ拍子に女の子のスカートの中が見えたり、全校朝礼のときに便意が襲ってきたり、急いでいるときに限ってバスや電車が目の前で出発していったり。

 今回のは偶然、とするにはいただけないな、とリグは考えた。何しろユウたちと通信できないどころか位置情報もわからない。そういう区画が都市にあることはあるが、侵入個体が待ち構えていたことと合わせて考えれば、通信妨害されているのだろう。残してきた三人がどうするか、無事でいてくれるか気になったが、いまできることはない。後先かまわず自分を追ってこないだけ、冷静でいてくれていることがわかるだけだ。

 こっちはどうするか、とリグは自分に問うてみるが、具体的な答えは返ってこなかった。仕方あるまい。予測不可能な状況に置かれた時点で取れる対応は限られている。出たとこ勝負をするしかない。

 リグは体の力を抜いて、送風管の形と勢いに逆らわないようにした。送風管の継ぎ目がヘルメットにコンコン当たっていて、もし見ている人がいればリグは滑り落ちながらものすごくうなずいている人に見えただろう。

 やがて勾配が緩やかになり、身体が浮いたかと思うと瞬時に固い物にぶつかり、止まった。床だ。

 リグは小型ボンベに手を伸ばしつつ大気組成を確認した。てっきり敵性大気かと思いきや、呼吸可能な大気だ。敵性大気ならフェムトがいるし、群体が発する力場で身体を引き裂かれることもあり得た。安堵しつつ立ち上がる。

 周囲を見回して、リグは眉をひそめた。ケミカルライトが散乱している。他の部隊の侵攻後なのだろうか。より下層に進んだ部隊はなかったはずだが、通信妨害されている現状、ありえないとは言えない。深く侵攻してから通信妨害をされたなら、作戦本部は進行情報を得られないからだ。だとすると通信妨害はフェムトの新たな戦術である。厄介なことを実現してくれた、と胸中に愚痴りつつ、リグはとにかく歩きだした。

 そこは緩やかにカーブする通路だった。横に五人並んでも余裕があるほど広い。カーブした先は見えないが、明かりは続いているようだ。

 ここを通った部隊と合流できたら、とリグは考えた。まずはその部隊が通った道を引き返して、通信妨害の範囲を抜けなければならない。そして作戦本部に通信妨害の存在を伝える。この先の攻略作戦や支援態勢がひっくり返るほどの大事件だ。

 何かが動く気配を感じて、リグは前方に突撃銃の銃口を向ける。

 ケミカルライトの青白い光に照らされた人影が複数、近づいていくる。侵入個体ではない。戦闘スーツを着てヘルメットを着けている。人間だ。

 安堵のため息を吐いて、リグは銃口を下ろした。

「すまない。ここに侵攻していた部隊がいるとは知らなかったんだ」

 言いながら、リグは怪訝な顔になるのを抑えられなかった。六人いる。四人で一小隊を編成するのが基本であるのだが、死傷者が出た部隊と合流したのだろうか。なんにしても、何か異変があったことは間違いない。

 その兵士たちは返事をしなかった。珍しい反応ではない。戦術コンの指示に慣れきった兵士はだいたいこうだ。リグやユキのような都市アンバース出身の兵士には少ないが、皆無ではない。

「631のリグだ。部隊と分断されてしまった。通信妨害か何かで、作戦本部とも連絡できない。通信妨害の圏外へ抜け出してこのことを報告したいんだが、君たちの情報を共有してくれないか」

 兵士の一人がグローブに包まれた指でヘルメットの側面をつつく。戦術コンで通信する合図だ。リグは戦術コンに命じて情報共有を開始する。

 通信波の接続を確立。通信規則は最新だ。すぐさま視覚野に情報が流れ込み、各人の輪郭が強調されて、友軍、の文字が添えられる。それからリグには理解できない数列の情報群がどっと流れ込んでくるが、これを解読するのは戦術コンの役目である。

 リグは解析された情報が視覚に反映されるのを眺めていた。

 友軍、の文字が一瞬消える。

 不思議に思う暇もなかった。リグの視覚に、目の前に立つ六人の兵士の情報が表示されていく。リグの意識は自然とあるべきものを探してさまよった。

 識別No.、個体名、ともに記載なし。

 一瞬おいて反応しようとしたリグは、しかしがっくりと膝をついた。戦術コンが埋め込められた側頭部が、焼けた火箸を差し込まれたかのように痛んだ。

 激痛に霞む視界の中で、六人の兵士を指した敵味方識別の表示が、友軍、敵、と交互に切り替わる。

 片膝をついてヘルメットを抑えたまま、リグは声を絞り出した。

「お前たち、誰だ……」

「さすが、持ち主に似て戦術コンも反抗的だな」

 低く豊かな男の声だった。六人の中の一人が進み出る。バイザーを下ろしているために顔は見えない。

「なに……」

「私は君を迎えに来たのだ。ついて来たまえ。君の目的は生き残ることだろう? 悪いようにはしないよ」

 苦痛にリグは顔を歪める。戦術コンが高負荷状態となって熱を発しはじめたので、戦闘スーツがなにかの薬液を身体に注入した。

 本当は会話などしている状態ではない。だがリグは痛みで霞んだ意識を保たなくてはならなかった。罠だったしついてこいと言った。好きにさせる訳にはいかない。それに正体不明だった人型との会話だ。何が何でも情報を得て生き残る。この場はそれだけでいい。それ以外のことは考えなくていい。そう決めて脳の負荷を減らす。

「……こんな大人数でお迎えに来てもらうような身分じゃない」

 相手との通信規則、つまり通信プロトコルは最新版だ。これはバージョンが上がったばかりで、現時点で都市ランファンでしか用いられていない。ということは、相手は都市ランファンに属しているはずだ。なのに識別番号と個体名がない。装備も本物と見分けがつかなかった。

 味方、との敵味方識別表示に対抗するように、敵、との文字が上書きされる。いや、どちらが上書きされているのか、リグにはわからない。通信ログの解析が必要だ。

 そうか、とリグは遅まきながら気づいた。戦術コンの高負荷状態の原因。敵味方識別機能の混乱。こいつは電子戦をしかけられているんだ、とリグは苦痛の中でようやく回答らしいものに辿り着く。情報共有を開始した時点でリグの戦術コンは乗っ取りをかけられ、戦術コンはそれに対抗するための演算力を必要としたがゆえの高負荷状態なのだ。

 リグは生唾を飲み込む。戦術コンがこの調子では、いや、この痛みが続いていては戦闘どころではない。

「俺をいじめるのはやめて、質問に答えて欲しいな……あんた、誰だ」

 さざ波のような嘲笑が響く。

「私が誰かなんて関係あるのかね。君には死んでもらっても構わないのだ。君はこのままでは死ぬし、私に着いてくれば死なない。それだけの話だよ」

 聞きながら、リグはうめき声を上げる。網膜の裏側で、敵味方識別の切り替わりに変化が生じていた。敵を示す時間が長くなっている。もう少しだ。根拠もなく、リグは自分に言い聞かせる。

「何事にも手順がある。いきなりついてこいなんて、誘拐みたいなもんだ。まずは快適な環境で茶でも飲みながら、お互いの理解を深めようじゃないか」

「そうはいかない。時間を稼ごうとしているんだろう。いますぐ答えてもらうよ」

 リグは目を閉じたままだが、戦術コンが状況を教えてくれる。依然、通信不可。六対一。

 敵、の表示が長くなる。頭痛も治まってくる。

「……お前たちにはついていかない」

「ほほう」

「ここで死ぬこともない」

「おや」

「お前たちは……」

 敵味方識別の表示が固定される。

「敵だ」

 戦術コンから警告。敵六人のうち、四人が動き出した。

 リグはためらいなく超過集束剤のボンベを選択。ヘルメット内に噴霧されたそれを吸い込む。

 じわり、と身体が熱くなり、視界のすべての動きが鈍くなる。いつの間にか戦術コンの高負荷状態が解除されている。頭痛は消えていた。

 リグは立ち上がる。たしかに身体中に抵抗があるように感じられた。脳が覚え込んだいつもの感覚に身体がついてこない。水中にいるよう、というのは正しい表現だったようだ。

 戦術コンに周囲の状況を確認させる。普段とは逆に、眼球から得た情報を解析させるのだ。この状態では視線を動かすよりも早い。

 敵四人は接近中。光学解析から武器を構えていないことがわかる。捕まえる気だ。残った二人は高みの見物か、動かない。視覚の隅に超過集束剤の残り効果時間が表示される。残り五十五秒。

 時間が止まっているわけではない。相手は動き続けていて、リグの身体もゆっくりとしか対応できない。まずは向かってくる四人が相手だ。

 四人の進行方向から離れ、攻撃可能な最適位置に身体を伸ばす。倍増された認識力からすれば、じれったいほどのんびりとつま先が床に触れる。リグはついいつもの調子で、抜いていたポインターを標準設定で手近な人型へ撃った。

 いつもよりはっきりと光の槍が空を裂くのが見える。着弾。赤い円錐が展開する。発射を見てからでは避けられない速度だ、とリグは頭に叩き込む。突撃銃も同じだろう。超過収束材を使っても、撃たれてからでは避けられないということだ。

 円錐状の突入口へ飛び込む。一体撃破。残り四十七秒。

 再構成されたリグは再び戦術コンで周囲を探る。向かってくる三人はリグを包囲するように散開し、武器を手にしようとしている。あっさりと捕獲を諦めた判断の素早さは高性能の証だ。見物を決め込んでいた二人は後退をはじめている。表情はわからないが、リグの行動、というよりも超過集束剤の効果が予想外だったに違いない。一人が話をしていた人物、一人が護衛といったところだろう。逃したくはないが、敵三人を引き連れて追いかける余裕はない。

 二人目。すでにポインターを抜いていた。リグは接近しつつ突撃銃を発射。だが、人間を撃つという事実に怯む。二人目のポインターを弾き飛ばしたが、敵はその反動を利用して足を振り回し、リグの突撃銃を蹴り飛ばした。反射的にポインターを撃ち込み、二体目を撃破する。残り三十五秒。後退する二人と距離が離れていく。リグは自分を叱咤する。あの二人はともかく、こっちにいる連中は人型だ。人間ではない。さっさと撃ち殺せばいいのだ。

 三人目はリグのためらいを笑うかのように警告なしで突撃銃を撃ってきた。超過収束剤のおかげで銃口から射線がわかる。前に飛んで躱し、その勢いのまま床を滑って相手に近づく。即座にヘルメットを狙って迫るブーツを、リグは左腕の薄い装甲板で受け止めた。途端に激痛が走る。ブーツは足の保護のため硬度が高く、従って重い。取り回しの良さを重視した薄い装甲板では、その衝撃を受け止めきれないのは当然だ。即座に戦術コンが身体状態について何か警告を発するが、リグはそれを無視した。そのまま蹴り飛ばされるより前に、ねじ込むようにポインターを撃つ。床から突き上げるように突入して、三体目を撃破した。残り二十二秒。

 後退している二人が煙幕を焚いた。金属片かなにかが混入しているのか、電子的にも目くらましになっている。二人の情報が見えない。

 その煙の中から四人目が襲いかかってきた。速度の不利を悟ったのか、奇襲による接近から組み敷こうとしてくる。ポインターは弾切れだ。弾倉交換の暇はない。リグはポインターを捨てる。格闘戦。互いの身体を掴みあってのそれは拳や肘を使った容赦のないものだ。頭部はヘルメットがあるため有効ではない。ひたすら相手の内臓や肺を狙う。だが、リグの攻撃はほとんど受け流された。敵の性能が高いためでもあるが、リグの左腕の骨が折れているせいでもある。いくら痛みを消したところで骨がつながるわけもなく、効果的な攻撃などできるはずもない。無理に打撃をしたところで力がうまく伝わらず威力は半減、骨は砕けたボンベのようになるだろう。戦闘スーツの収縮機能を添え木のように使って固定しているものの、攻撃には使えない。

 自然と左からの攻撃が薄くなり、敵はそれにつけ込んでくる。手刀が左上半身に打ち込まれ、口から酸素が漏れた代わりに痛みと酸欠がリグを襲う。目では追えているのに、体が反応できないことがこんなに悔しいとは、リグは知らなかった。同時に相手の攻撃にかすかな既視感を覚える。

 続けざまに心臓を狙ってきた右手の追撃を、リグは頭を振り下ろし、ヘルメットで迎撃する。同時に左足で相手の右足を踏んだ。全体重をかけると、足が固定されたために相手の姿勢が崩れる。リグはそのまま体を前に滑らせ、右足を踏んだまま背後に回った。骨の砕けた左腕で相手の左肩を抑え、腰に収まっていたナイフを抜くと相手の右胸を切り裂く。肺と骨だけで心臓には届かなかったが、相手の左肩に吊ってあった突撃銃のベルトも切れた。左手でその銃把を握る。鎮痛剤でも抑えきれない痛みが走った。同時に相手も右腰のポインターに手をかけていた。予定通り、お見通しだ。突撃銃のベルトを切ったナイフはポインターを掴んだ敵の右腕を貫く。腰にまで届いたそれは、まるで縫い付けられたかのようだ。

 相手の左肘が唸りをあげて迫るが、リグは姿勢を低くしてやり過ごす。そして敵の右腕を刺したナイフを掴んだまま強化された筋力で相手の腰を抱え、遮二無二に突っ走った。敵は左肘で背中を打ってきたが、背中ならたいした被害はない。その間にうまく動かない左指を戦闘スーツの収縮能力で補助し、なんとか引き金にかけた。どんっ、と壁にぶつかると、自分の右腕を撃たないように突撃銃の銃口を上に向け、敵の背骨に突きつける。

 引き金を引いた。

 ゴゴゴンッ、と重く鈍い音が立て続けに二人を震わせた。一発一発に隔壁を砕く侵入個体を足止めする威力がある。

 フルオート射撃。二秒で弾倉内三十発の弾丸を撃ち尽くす。

 硝煙の中で荒い息を吐いたリグは胸部に大穴を開けた敵を放り出す。両脇がかろうじてつながっているだけで、倒れたそれはひどく軽い音を立てた。敵を押し付けていた壁は肩幅ほどの広さに血しぶきが飛び、中央より上の部分に深い弾痕がいくつも刻まれていた。

 弾倉を交換し、ボンベを使って煙幕を吹き飛ばす。

 もう誰も残っていない。戦術コンの放った信号にも反応なし。逃げられた。

「くそっ……」

 残り六秒。

 リグは足元の遺体に目を向ける。なぜか、バイザーで見えない顔が気になった。格闘中に覚えた既視感もリグに働きかける。

 ヘルメットは普通、戦術コンの命令一つで脱着する。ヘルメットを含めた戦闘スーツは基本的に装着者以外の指示は受けない。ただ救急救命の事態に備え他者が外す場合も想定してあり、手順さえ知っていれば面倒ではない。

 死体の上にかがんでヘルメットを外したリグは、その顔を見て硬直した。直後、ヘルメットを床に叩きつけて叫ぶ。

「あの……クソ野郎ーーーーッ!!」

 ふっ、と超過集束剤の効果が切れた。

 突然襲っためまいのように視界が揺れ、リグはたたらを踏んで壁に手をついた。ギリギリで嘔吐をこらえ、喉の奥の苦さに注意しながら浅い呼吸を繰り返す。平衡感覚を失いかけている。立っているのか寝ているのかわからない。脳が勝手に回転しているようだ。胃が跳ねるように収縮して、再び胃液がせり上がってくる。空気とともになんとか飲み込むと、今度は頭痛とめまいが同時に襲ってきた。体から力が抜け、寒気が全身を覆う。立っていられなくて膝をつく。時折、ビクリ、と腕や足が痙攣した。

 リグは触覚などに比べればまだ確かな視覚情報を頼りに壁に背を預け、座り込んだ。まだ意識を失うわけにはいかない。

 戦術コンに命じて覚醒信号を打たせ続ける。次いでヘルメット内の酸素濃度を上げた。作用機序は知らないが、頭痛に効くはずだ。

(くそひげオヤジめ……)

 なにが、個人差はあるだろうが、使用後の作戦行動については保証しないそうだ、だ。副作用がここまで強いと、一般的な兵士は作戦行動などできない。継続して行動できるのは、もともと強靭な身体を持つWFくらいだろう。

 リグは血が抜けたようにぐらりと揺れる冷たい頭に逆らわないように、しかしそのまま意識を失わないように深く息を吸う。通信もできず、歩行もおぼつかない状態で何ができるか考えなくてはならなかった。

 だが懸念はすぐに去った。戦術コンは味方の通信波を受信し、通信が回復したことを告げた。妨害が解除されたのだ。

 救われたような気持ちでリグは戦況を確認する。作戦は順調に進行中。ユウたちの居場所を探ると、高速で移動していた。走るより早い。しかも下降。思いあたる移動手段がなくてリグはきょとんとする。ユウたちの位置座標の変化とともに、ゴンゴン、と何かが響きながら近づいてきている。すると、どさどさ、と近くに何かが落ちてきた。

 リグが通ってきた送風管の出口に、黒い塊ができていた。

「重ぇ……」

 一番下のガスがうめく。テオは飛び起きると突撃銃を構え、周囲を警戒する。真ん中のユウはまっすぐリグに駆け寄ってきた。

 リグはそっと突撃銃の引き金に指をかける。戦術コンにも情報共有を停止させた。戦術コンをあそこまで再現できる連中ならば、ユウたちの戦術コンに偽装することも易しいだろう。

「リグ!」

 ユウらしき個体がそばにしゃがんでリグの肩に手を置いた。遮光機能を持つバイザーのおかげで表情ははっきりしないが、容易に想像がつく。

「大丈夫? 怪我は?」

「たいした怪我はない」

 ユウの戦術コンが情報共有を要求してきた。その通信波はどう解析してもユウのものだったが、あの人型個体たちも都市ランファンでしか使用されていない最新の通信規則を用いていた。識別No.など、どうとでも偽装できるだろう。こちらは基本的に偽装対策などしていないのだ。フェムトはその目的から通信を妨害、傍受はすれど、偽装するとは予想されていなかったからだ。

 ところがいま、リグの敵は侵入個体だけではない。

 リグから見て右奥を警戒しつつ近寄ってくるテオを背に、通路の左側に銃口を向けつつガスが歩いてきた。その姿に、こみ上げてくる吐き気をこらえてリグは声を上げる。

「ガス」

「よお、隊長。大丈夫だ。鎮痛剤をしこたまぶち込まれたおかげで、痛くもかゆくもねえ。いや、ちっとかゆいけどよ」

 ガスは右腕をすっかり失っていた。切り落とされたのだろうそれはマフラーのように肘を首の後ろにまわして、ぶらぶらと揺れている。傷口は滅菌シートで覆われており、出血はしていない。突撃銃を持つには左腕だけで十分ではあるが、本来、即退避すべき損傷だった。

「隊長、ご無事で何よりです」

 銃を構え背を向けたまま、テオが振り向いて言った。この場合の無事というのは、生きているという意味だ。

「向こうにも敵影なし。隊長、何と戦った?」

「あれ、罠でしたよね。通信も突然回復しましたし。何があったんです?」

「リグ、君の戦術コンと情報共有できないんだけど、損傷したの?」

「ちょっと待て」

 一斉に質問されてリグは別の意味で気が遠くなる。本来の意味でも気が遠くなってきたので、戦術コンに命じてもう一度覚醒信号を打たせる。たいして効かない。寝ているときはあれだけうっとおしかったのに、いまはそよ風のようだ。

 時間がない、とリグはまぶたが落ちてきた視界の中でつぶやく。

「そいつの顔を見ろ」

 リグは隣の死体を指す。ユウたちは言われるままに覗き込んだ。

 ユウは眉をしかめ、ガスは目を見開き、テオは唖然とした。

「レオじゃないですか……」

 識別No.と個体名を持たない謎の死体。その顔は、リグたち631と死線をくぐり、必死の努力をともにしたWF全三小隊のリーダーであり、WF第一小隊隊長でもある彼のものだった。

「隊長、どうして……」

「テオ、これはレオじゃないよ。クローンだ」

 リグが説明するより先に、ユウが口を開く。

「レオの位置座標はずっと途切れていない。本物はそっちの方だよ。こいつはレオにそっくりだけど、僕らの知ってるレオじゃない」

 ユウは訝しげにリグに振り向く。

「リグ。君が僕らに情報共有しない理由って、もしかして……」

「話が早くて助かる。一応、お前たちが本物か確認させてもらうぞ」

 三人とも揃って不快そうにしたのが、見なくてもリグにはわかった。フォローしなければいけない立場なのだが、何しろ時間がない。いまのリグは意識を保つのに精一杯で、しゃべることすら苦痛だった。

「テオ。空対空機動開発のとき、一回だけお前を撃墜できたことがあったな。音声通話で俺がなんて言ったか、覚えているか」

 ユウたちはリグの意図をたちまち理解した。音声通話なら記録に残らないので、偽装しにくい。脳に残った個人的な情報、思い出がクローンを判別する手がかりになるのだ。

「覚えてますよ。はじめてやったときでしょう。隊長が言ったのは、悪い、引っかけみたいな機動をやっちまった、もう一回。です」

 渋面のままテオが答えた。戦闘機を操ることにかけてはWFにも引けを取らないと自負しているテオには、あの敗北は忘れられない。フェムトなら絶対にやらないであろう、誤認識を誘うような機動。対人戦でしか意味がないのでリグは宣言通り二度とその手の機動を使わなかったが、手加減されているようでいまでもテオは不満だ。

「ガス。対人格闘訓練でお前に勝ったとき、俺はなにか言ったか?」

「それも最初の一戦だろ。なんでいまので倒れるんだ、真面目にやれ、だ。真面目だったっつーの」

 その時も誤認識を誘うような動きだった。素直な攻撃と見せかけて、二段目、三段目に意外な箇所への攻撃が用意されていた。それ以来リグがガスに勝つことはなかったが、それは勝利にこだわるガスが身体性能を活かしてリグの技をねじ伏せ、格闘知識の吸収と訓練を重ねたからだ。性能でかなり劣るリグに負けると思っていなかったガスは、もう誰に対しても油断しなくなった。

「ユウ。俺の苦手なものを言ってみろ」

「書類作成。怒った僕とユキ。君が隠し事をしているときの僕とユキ。あと、みんなの目があるところでユキに会うと振る舞いに困ってるよね。受講も嫌いで時々寝てる。その関係で覚醒信号も嫌い。平気そうなふりをしているけど、食事に混ざってるピーマンも苦手。まだあるけど、いくつ言えば合格なの?」

「もういい。本物だよ」

 ピーマンが苦手なことまでバレていたとは思わず、リグは笑いそうになった。心底ホッとしてもいた。クローンだとしても、三人を撃つのは嫌だ。

「よく聞いてくれ。超過集束剤の反動で意識が保たない。手短に話す」

 その言葉をきっかけにユウたちの顔が引き締まり、身体に緊張感が戻る。

「俺は人型個体六体と接触し、戦闘になった。一体とは話しさえした。対話は可能だが、奴らは明らかな敵だ」

 ユウはうなずく。

「僕らはどうすればいい?」

「そこの死体を守れ。都市まで運搬し、分析しろ。こいつは重要な手がかりだ。新しい敵の。どんな手を使ってでも生化学部に解析させ、結果を取得しろ」

 リグは浅い息を吐きながらユウを見上げる。

「人型六体のうち四体撃破、二体が逃走した。ユウ、お前に指揮権を渡す。応援を呼んで死体を運べ。都市攻略なんか後回しだ。ただし……」

 リグは大きく息を吐く。一瞬の酸欠にめまいがした。時間切れが近い。

「ただし、人型個体は人間と区別がつかない。戦術コンを搭載しているし、装備もそっくりだ。最新の通信規則まで使用している。実際、敵味方識別の表示は味方だった」

「都市ランファンの誰かが裏切ったんですか」

 テオに向かってリグは力なく首を振る。

「わからない。だが、奴らがGMSと接触できるのは確実だ。最新の通信規則を使用するには戦術コンのアップデートが必要だからな。GMSの意志なのか、GMSが騙されているのか。なんにしても、GMSも人間も信用するな。奴らは都市ランファンに潜入しているのかもしれない」

「クローンと見分ける方法はありますか」

 リグが言葉を切ったのを見計らい、ユウが口を開く。

「思い出が鍵になるはずだ。クローンは記憶を受け継がない。思い出があるかどうか確かめれば判別は可能だ。そうだよね?」

「そうだ。だが、こちらが同じ思い出を共有している必要がある。付き合いの多いWFは判別可能だろうが、思い出を共有していない相手は判別不可能だ。気をつけろ」

「安心していいと思うぜ、隊長。レオがこいつの顔を見れば、あっという間に事態を察してくれる。嫌になるほど優秀な連中だ。味方につければ大概のことはできらあ」

「だといいな。でも、思い出の確認は怠るな。完全に信用できるのはこの四人だけだ」

 自分の声が小さくなっていることに、唐突にリグは気づいた。まだ話しておかなくてはいけないことがある。

「奴らは新しい戦術を使う。通信妨害と、情報共有に見せかけた戦術コンの乗っ取りだ。いますぐ防御レベルを最大にして電子戦に備えろ。敵味方識別に頼るな。都市に戻ってもだ。GMSや人間に危険を感じたら、都市アンバースへ戻れ。あそこにはドクターがいるし、GMSも……多くの経験を……」

 リグは自分の内臓が熱を発して溶けたような気がした。口を動かしたいのに、できない。戦術コンがなにか動作している。通信波を受信。なにもわからない。脳内の電気信号が消えたようだ。

 動力を抜かれた機械のように、まったく唐突にリグの意識は途絶えた。


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