私は誰だ
俺の最も古い記憶。
それは、森の中に置いていかれた記憶だ。無論親に。
それは育児放棄だったか。ただ単に迷子になってしまったのか。
そんな事はいい。だが俺が言いたいのはその頃の年齢だ。
その頃俺1歳だぞえ?
やっぱこんな堅苦しい言い方俺には似合わねぇや。
完全なる育児放棄ですね。わかります。
まぁ、その理由も分からなくもない。
なぜなら、俺の右目、左の手の内側には、生まれ落ちてくる子に不幸を呼ぶと言われている魔法陣が刻まれていたのだ。
そんな下らない理由で森に捨てられた。
勿論その時の俺はまともに動くことができなく、死ぬかと思っているわけですよ。えぇ。
実際に魔物に襲われたりもした。
例えば、ゴブリン。
こいつは俺らのような人族よりも小さく100セン程しか無い。
それ以外にも肌の色は限りなく黒に近い緑をしていたり、顔の形が歪んでいたりしている。
けれど、それすら人族と変わりが無いと思わせる決定的な差がある。
それは性格だ。
奴らの性格は獰猛、それでいて残酷。それに尽きる。
人族の女性を見れば襲いかかり、自分が空腹であれば今まで協力しあっていた仲間でさえ食う。
そんな奴らだ。
そういう奴らがワンサカやってくる。
そのほかには、猪がやってくる。
しかし、野生にいる普通の動物とは違い奴らは魔物だ。
その体にはぶつけることに特化したミスリル板のようなものが貼ってあるし。
一度走ろうものなら、止められるものはもう居ない。と言わんばかりの走りを見せてくれる。
勿論森の中だと言うのにその走りは健全。見事な伐採を披露してくれる。
そんな森の中で充分に戦えるようになるにはそれなりの時間が掛かる。
しかも、まだまだ自分で行動出来るほどの思考能力は無い。
その間はどうしていたか、
それは無意識の内に発動していた絶対防御の中で身を震わせていた。
なぜ、このようなスキルが使えるのかについては追々話していこう。
勿論誰かが通るような場所ではなかった。
つまり誰かが食料を運んでくれる訳でもなく、このままで行けば餓死コース、アンド水も飲めなくて死ぬか。
どちらにせよ死にますね。
これらの対策はどうやってしたか、生後一年の赤ん坊は無意識のうちに罠を張っていたのである。
今の俺でさえどうやったのか分からないけれど。やっていたのは記憶として残っている。
それで、罠にかかった獲物を火魔法で焼き、水に関しては水魔法でできたのを飲むというワイルドさを発揮していた。
魔法の原理についても追々話していこう。
どんな感じの暮らしを4年ほどしていた。
だがいつまでもよちよち歩きをしている筈もなく、5歳になってからは本格的な狩りをしているようになった。
またもや例に出るが、ゴブリンに関しては自作の弓で仕留めるようにしていた。
もしそれでも仕留めきれない場合は魔法を使って処理をしていた。
次にあの突進してくる猪についてだが、こいつに関しては本当に突進しかしてこないので進路をある程度予測して、土魔法に頼り穴を瞬間的に堀りその中に沈めてやった。
ちなみに突進してくる猪からはミスリルの板を頂戴し、ゴブリンからは奴らが取ってきた動物などを横取りしていた。
勿論ミスリルの板の用途として防具の作成、生活基盤の作成などに使っていた。
動物に関してはミスリルの板を組み立て箱のようにし、その中で氷魔法を発動した。
そうする事によって腐らずに保存を出来ると考えた時には俺天才か?と疑ったものだ。
そんな生活をしていた。
だが次の転機として挙げられるのは約2年後、8歳の頃だ。
今まで横取りを続けていた獲物を取り返しに来るかのようにゴブリンたちが攻めてきたのだ。
しかもただのゴブリンだけでは無い。
ゴブリンキングと呼ばれる、ゴブリンの完全上位互換とも呼べる奴らがその手下たちを引き連れやってきたのだ。
あの時については細かく説明していこう。
俺はあの日、ミスリルの板で作ったナイフで獲物を捌こうと考えていた日だった。
その考え通りに10時くらいまでは獲物を捌いていた。
やっと集中し始めたかと言う頃、1体のゴブリンが出てきた。
俺はいい餌に会えた。と内心ほくそ笑んでいたのだけれど出てきたのは、一体だけではなかったのだ。
左右前後からゴブリンがウヨウヨ。
ざっと50匹くらいが、こちらを見ていた。
その時の奴らの顔といったら、うざかったのなっ。
今までは狩られる回数が多かったため、集団による犯行かと思われていたらしいのだが、こちらが1人だけの犯行だと分かった瞬間、勝ったような目をみんなが向けてくるのだ。
あれには、寛大な俺の心もブチギレてしまった訳なんです。
はい、しかし今の装備を確認してみよう。
捌く用のミスリルナイフ、狩猟で使う用のボロい弓、後数本しか使えない矢。
普通の人ならここの時点で結果は決まっていたのだろうが、こちらは一歳の頃からサバイブをしていたのだ。
そう簡単にやられる事はなかった。
まず始めに攻撃をしてきたのは弓持ちのゴブリンと魔法を使うことのできるゴブリンがどのくらい強いのか試すように打ってきた。
小さい頃の俺は何をされているのか分かっていなかった。
なぜなら、今までただ奪うだけの存在がまさか反撃をしてくる、だなんて思いもしなかった。
そんな事は置いといて、俺はその攻撃をどうしたかというと、何もしなかった訳なんですよ
その理由は絶対防御このスキルのせいで俺はまともな痛みも喰らったことがない。
土煙が晴れたあと俺の姿はなかった。
その理由はテレポートであるのだがそれに関しても追々語っていこう。
テレポートした先なのだが無論ゴブリンキングである。
指揮官から叩くのは常識なのだがこの時の俺は妙案だと信じて疑わなかった。
さて、後ろに回り込んでから気づかれる前に一度突き刺したのだが、一度刺しただけでは死ななかったんですね。えぇ。
さっすがに2度目を刺そうとしている頃には対策をしようとしていて、ゴブリンキングが腕を横に振ろうとしていたんですよ。
俺は、どうせ当たらないと信じていた為避けずにいった。
が、どうだろう、その時の俺はどうも悪い気がしていたため、一応ガードの姿勢をとった。
今までの絶対防御がなかったように俺は吹っ飛ばされていた。
一応のガードが功を奏したのか骨が折れる事はなかった。
これが初めての痛みとなる。
俺はもう一度やつの後ろに回り込み、しがみついた。
こうすれば剥がされる事はないと思っていて、この姿勢のまま何度も何度も奴の背中に刺した。一心不乱に。
その間、他のゴブリンも邪魔をしてきたが、なぜかこの時だけは絶対防御が発動していた。
今思えば至極当然のことなのだがこの時は不思議でならなかったのを鮮明に覚えている。
何度目だっただろうか、まぁざっと10回は超えているのだが刺し終えた。
やっと倒れてくれたので、あとは掃討するのみ。
色々な属性の魔法を四方八方に放つ。
それだけで、魔法耐性のないやつは全員死んでくれた。
残った魔法耐性のあったやつはどれもボロボロで戦力にはなり得ない。
そう思っていると、1匹のゴブリンがナイフをこちらに向けながら刺しにくる。
が、もうボロボロなのだ。その動きはゆっくりだったので斬撃を避けた後に背中にナイフを突き刺した。
これを淡々と繰り返していたら、いつの間にか終わっていた
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