プロローグ
暇つぶしで書いてみた
俺は今、地下の洞窟にいる。
偶然とは言え、見えない罠にハマってしまった。
同行していた皆は大丈夫だろうか?
「痛て……ここはどこだ?」
見たところ昔使われていた遺跡か何かなのだろう。
所々人が居たとされる形跡が残っている。
何があったのだろうか。
探検者心が揺さぶられる
ふと、あたりを見回しているとある小さな日記が目に入った。
俺はそれを拾い、表面を見てみた。
『アラン・トール』
名前を書くべきところにはそう書かれていた。
俺は今までに無いくらいには驚いた。
それもそうだろう。もしこれを書いたのが本当にアラン・トールなのであれば大スクープとなる事であるから。
早く中身が見たい。
俺は年甲斐も無くそんな事を考えてしまった。
いや、これは当然のことだ。
俺は意欲に負け開けてしまった。
『まずこの手帳を読んだ人には特に何もしない。
だが、できるのであれば何もせずに、そっと元の位置に戻しておいてほしい。
さて、長ったらしくそんな前置きを綴るつもりは無い。
俺は知られての通り絶対記憶たる能力を持っている。それはみんな知っているはずだ。
だから俺が赤ん坊の時の記録は後に付けたものだと思ってくれ。
旧暦20349年2月3日それが最初の日記を書く日になった。』
俺はそこまでを真剣に見てから一旦閉じた。
あの方が亡くなったとされているのは新暦230年。
この年からはざっと1000年経っているはず。しかもあの方はしっかりとした人族だったはず……。
はて、あの人のことだ、何が起きても不思議じゃない。
……読むのを再開しよう。
目を紙の方へ向けようとした時、足音がした。
しかし、どう考えても人が出せるような足音ではなかった。
足音が近づき、やがて音の主が顔を出した。
足が5本、目が所々散りばめられ約20個、その目の大きさは大小とバラバラ。極め付けは皮膚が溶けたように爛れている。
こいつは俺が鑑定をするまでもなく、強い。
今まで戦ってきたどんな奴より。
「キュルルルル、キュル、キュ」
奴が足を振る。
いや、そう思わなければ吹っ飛ぶことはない。
そう思うほど奴の蹴りは速かった。
「ガハッ」
俺はその後、壁にぶつかり頭から血を流すような打撃を喰らった。
しかも、肋骨も折れた。
どうしたもんかねぇ。このまま死ぬか。それともただ死ぬわけではなく一矢報いるか。
どちらにせよ、死ぬんだ。
後者にしようか。
そんな思考に浸っている間にも奴は近づいている。
覚悟を決めるか。
そう思った矢先、奴の頭に穴が開く。
何が起きたんだか。
味方が極大魔法を打ってくれたのか。否か。
奴の穴が空いた方角に視点を向けてみるとある発射装置があった。
これによって貫かれたのか。
この装置もどうやって作ったのだろうか。
今の攻撃は魔法における頂点の極大魔法にも匹敵しているものだったが…。
少し回復魔法を使いながら日記を読むか。
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