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第九話


 あの後リーンと別れた後、僕と村長は再び家の中に入って、話し合いを再開した。


 


 「僕もまだ・・・あまり実感はありませんが、確かにここには魔法があるようです。」


 「わかったくれたかね。」



 村長はやれやれと言った風に椅子に座った。



 「しかし・・・ここが、地球でないという・・・その話はまだ信じることができません」


 「むう・・・そうか」



 村長はややすると、


 「では、この村から出て、色々この世界を見て回るといい。ここがどういう世界なのか、自分の目で見て感じるのが一番早い。少なくともこの狭い部屋でうだうだ話し合うよりはよっぽどいいだろう

君たちの世界でも百聞は一見に如かずという諺があるそうじゃないか」



 こう提案した。




 「はあ・・・そんな諺聞いたことないですけど・・・」





 僕の目的は早いところ自分の部隊に合流することだ。しかしどういうわけか、この村は地球にはないという。それが真実なのかはともかくとして、少なくとも僕の帰還の役には立たないだろう。


 村長は帰れないという。それに、考えてみたらリーンさんだってチンプンカンプンなことを言っていたじゃないか。


 

 確かに、この村では帰る手立ては見つからないのかもしれない。



 


 僕はしばし考えた後、




 「そうさせてもらいます。」



 と答えた。










 それから村長はもう遅いから寝床を用意してあげようと言ってくれた。確かに、太陽はもう沈みかけていた。


 僕は村長の家に泊まることにした。


 村長は一人で暮らしているようだった。僕に手料理を食べさせてくれたりと、優しくもてなしてくれた。


 そこで気づいたことだが、この村はどうやら使用する文字さえ違うらしい。僕が今までに見たことがない文字だった。


 フランス語でも、ドイツ語でも、ロシア語でもなかった。

 

 そのことを村長に尋ねると、そもそも話し言葉から違うだとか、翻訳魔法がどうだとか色々むつかしい話を聞かされた。



 

 村長によると、僕が聞いているこの村の住人の言語は、本来は大陸共通語というこの世界の言葉らしい。それが、この世界に召喚されると同時に付与された翻訳魔法によって、勝手に翻訳してくれているらしい。


 それと同じように村長はじめ、この世界の人達にも僕の言葉は勝手に翻訳されるらしい。



 


 ・・・大体こんな内容だったが、口の動きの問題や、微妙なニュアンスの違いの問題など、さらに詳しく話してくれたが、ほとんど理解することができなかった。



 



 


 しかし、言語まで違うとなると、やはりこの世界は地球ではないのだろうか。まるで空想小説のような話だが、本当かもしれない。


 

 


 



 

 村長は客人用の寝室に僕を案内した。さすがに村長の家となると、準備がいいものだと感じた。


 村長は私はまだ仕事があるから先に寝なさいと言って、家から出て行ってしまった。



 ・・・なんだか、不用心だなぁと思う。村長の話が本当なら僕はこの村の住人にとって赤の他人どころか、異世界人なのに。



 

 村長は慣れているようだったし、僕のような人間が過去に来たことがあるのだろうか?そういえば、リーンさんも僕のような人間に会ったことがあると言っていた。


 


 

 仲間が、友軍がいるかもしれない。

 





 そうだ。明日からこの村を出るのだ。そしたら、まずは情報収集だ。ここがなんなのか、村長の話が本当か。そして、本当だとしたら、僕のような仲間いるのかどうか。





 僕は明日のことを考え、小銃を整備して眠りについた。


 













―――――――――――――――――――――――――――――――



 翌日。



 僕はこの村から出る準備を始めた。目的地はこの村の近くにあるという都市、アルクール。村長が勧めてくれた。村と違って都市ともなれば、何かわかるかもしれない。




 この村の住人はとてもやさしくて、見ず知らずの僕に食糧、水、それから簡単な地図をくれた。


 森に入らず道に沿って歩いていけば、さして危険はないという。


 僕は住人たちの贈り物を背嚢に詰めて、小銃を担ぎ、いざ村から出ようとした。


 















 「私も連れて行って!」



 突然、声をかけられた。


 声の方へ顔を向けると、リーンさんがいた。



 「リーンさん?」




 「あなた、この村から出るんですって?そしたら、私も連れて行きなさい。私は、あなたたちよそ者を調査しているの。それに、この世界を知る人間がいた方があなたのとっても都合がいいでしょう?」



 年頃の男女二人きりというのは・・・と思ったが、村長は快く了承。村の人たちも異を唱えない。


 この村の住人は感覚がおかしいのだろうか・・・


 僕は断ろうとしたが、結局リーンさんに押され、OKしてしまった。





 ・・・本当にこれで良かったのだろうか。



 


 


 「リーンさん、いいんですか?」


 「もちろん。さ、早く出発しましょう」


 「しかし・・・両親は大丈夫なんですか?」


 「うん。大丈夫。あなたが気にすることではないわ。行きましょう?」



 そういってリーンさんは歩き出してしまった。



 


 僕は彼女を追いかけるように出発した。



 


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