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 King Gnu

  白日 を聴きながら書いていますが……、……目の前のあなたは、アイメック栽培という栽培方法を知っているだろうか……?土耕栽培や水耕栽培とは違う栽培方法で、……水分が少ない環境に置くと自らの生きる力で糖度を増すトマトに適した栽培方法だ。


 ……あの真っ赤なトマトのふるさとは、南アメリカのアンデス山脈高原地帯(ペルー、エクアドル)という過酷な環境である為、トマトの生きる力を引き出すには……その故郷の過酷な環境に栽培環境を近づけてあげる必要があった……のだけれど、土耕栽培や水耕栽培ではかん水や施肥の方法が難しく安定した状態での生産が難しかったのだという。……水分が少ない方がトマトの糖度が上がると広まっているのにその栽培方法が当然となっていないのはそういった難しさがあったのだろう。


 アイメック栽培とは、アイメックフイルムという特殊なフィルムを使った栽培方法で……このフィルムにはナノサイズの無数の穴が空いている。


 ……突然だが、目の前のあなたは、植物にとって命とはどこの部分が即答出来るだろうか……?植物が大きく成長する為に最も必要なものは、外見に見えている葉や実、茎ではなく、実は地面の下の毛細根だ。根が酸素を空気中から多く取り入れられることが出来れば毛細根がより張り巡らされていく。


 魚が水がない環境で呼吸が出来ず死んでしまうように、……植物は、土の上に根を張ることで酸素を取り入れ息をしている、……つまり、……植物は、普通の自然環境では土から根を抜いた時点で息が出来ずに苦しんでいる状態……というか元気がなくなる。……まるで陸に上がった魚のように。


 土というリアルがある中で……その土すら、環境によっては全く異なるものになっている


 ……植物も人間も過酷な環境とは、慣れた所や、ふるさととは異なる環境なのだろうか……?


 人は、身体を変化させる度に変化した環境に適応してきたけれど……トマトを見て思わないだろうか……?


 ふるさとの環境に疑似的に寄せてトマトの生きる力を引き出されただけで、……トマトは自力でより甘くなる。


 ……では、人は……?……人が疑似的に故郷に寄せた疑似的に過酷な環境に戻った状態とは……どの時点を指すのだろうか……?


 ……興味深いのはトマトの例だ。……トマトだって多くの年月をかけて、品種改良をされ続けている筈なのに、……それでもその改良されたトマト達でさえ、DNAの元の元の原産地の過酷な環境に寄せただけで生きる力を引き出される。……そのトマト達は、生を受けた時点では自らの先祖が生きていた環境を肌で感じてすらいないだろうに。


 ……私は思う。……それだけ、身体に深く刻まれた基の記憶は強いのだ ……知らなくとも、……肌が覚えている。はるか昔の先祖たちが刻み付けたそれを。


 ……人は……?目の前のあなたは……?あなたのリアルは……?あなたの基の記憶はどこにあるだろうか……?


 ……猿は嘘をつける生き物だ 取引が出来る生き物だ、 社会的なコミュニケーションの為に笑顔の原型となる威嚇を身に着けた、言葉を身に着けた 音を操る


 ……私たちは、……否、私は、基は、きっとずるい生き物です。それこそが本性でしょう。自らの為に取引をし、誰かの為と言い何かを操作しようと無意識に何かを操ろうとしている。……それがたとえ無意識だろうとしても。


 ……そういった生き物が、身に着けていた癒しは……何でしょうか……?猿は道具を発明することが得意な生き物です。私は、石を使って器用に貝を割って中身を取り出している猿の映像を観たことがあります。川の近くで住む猿の変わった一匹が身に着けたその方法を猿の仲間たちが真似をしたのでしょう。……動物たちの中でも発明家は種を問わず存在していて、それらは、変わっている故にそういった発明をするものですが、……それが社会的な動物ではない種の場合、その個体のみが変わっている……という段階に過ぎず、周りには広まらない。……例えば、私が目にした変わり者の映像の例で、水道のコックをひねって水を出すカラスの映像を目にしたことがあるけれど、……結局、出来ていたのはその個体一羽だけだったのだろう。


 猫も好奇心が強いが、猿の好奇心は、また更に方向性が違うだろう。カラスも好奇心が強いのかもしれないが、それぞれ癖というか、それぞれの種が持つ好奇心の向く方向性というか……種類が違うような……気もする。


 ……たとえば、猫はねずみをいたぶり遊ぶことをするけれど、猿がそのような行為を楽しんでいるようにという姿はあまり知らない。確かに喧嘩はするだろうし、社会的な動物だからこその負の部分、いじめはあるのだろうが、それを遊びと認識する……というのはどこか次の段階のような気がする。猿の時点では、猫のように遊びとは認識するに至らないような気がする。


 では、道具に向ける好奇心、自分が楽になるための好奇心はどうだろうか……と思考すると、猿は非常に欲に貪欲な種のように感じる。私が生で見た例だと、野生のシカに乗って楽をしている野生の猿を観たことがあるし、先ほどの貝を石でこじ開けて取り出して食べる例でもわかるように、彼らは、自らのそういった快楽のような欲に貪欲であり、その方向性で好奇心が発揮されているような気がしてならない。


 ……人もその辺は似ているのだとしたら、……私たちは、……ひょっとしたら、トマトが生きる力を引き出すキーワードがふるさとの過酷な環境だったとして、私は、人の場合は、自らの欲に徹底的に好奇心を向ける……こと……のような気がする。


 欲にも色々ある。中には知識欲というものもある。


 私たちは、欲という観点から物を観ようとしたとき、もし、生きる本能が目覚める種なのだとしたら……そんな風に想像する。


 ……そうして、私たちもまた動物だからこそ、緑がないと生きていけないし、空気や水が汚れていては生きていけない。……生きていけないとは……生命力が弱った状態を指すと思う。……私たちは、トマトのような過酷な環境で生きた先祖をきっとルーツに持ってはいないけれど、……日本人は元々、船乗りだった、冒険者たちだった……そんな面白い説もあったりするのだから、


 小さな身体であっても……もしかしたらずっとはるか太古の日本人のルーツの人たちは、より大きな希望を胸に好奇心をはちきらんばかりに持っていた方々だったのかもしれない。……だとしたら、私たちは、欲を捨ててはならないし、好奇心を忘れてはならない。……それこそが……きっと私たちの生きる力を引き出すのだろうから


 ……私は、トマトを想いながら、そんな妄想を思うのです

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