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第4話 兵士訓練所2

……これはまずいな……。


2時間前、俺はショッチョサンから今日の入隊式について聞いていた。


「入隊式が今日の10時くらいから始まる。別にそれまでやることはないが、入隊式に参加してもらうぞ」


「別にそれくらいなら大丈夫ですよ」


「で、入隊式は大体1時間くらい。立っているのは辛いと思うが、まあお前は教官ではないから少しくらいなら動いても大丈夫だ」


そう言うとショッチョサンは建物の中に入っていった。今日は入隊式。この訓練所の所長であるショッチョサンはまだまだ仕事があるみたいだ。

入隊式は厳しいって言ってたが、まだ夏も来ていない。1時間くらいならなんとかなるだろう……


そう思っていた時期も俺にはありました。

すみません。死にます。

別に暑さにこたえたわけではない。これは……喉の渇きだ。まるで喉がくっついているかのような不快感。それに頭痛。まだ目眩はしてないが、このままだとマジでやばい。

間違いなく昨日水魔法を使ったことへのデメリット。1日〜1週間遅れてくるとは言われていたが、まさかちょうど1日後に来るとは……。

幸運にも炎魔法のデメリットは来ていない。つまり本当にランダムなのだ。

っと。そんなことを考えている場合でなかった。今、入隊式が始まって30分。つまり、残り30分耐えれば、水を飲むことができる。そう思って耐えてきたが……。

場合によっては、入隊式が長引くこともあるらしい。で、現在予定より5分遅れている。確かに5分は些細な時間だが、この状態では5分も長く感じる。残ったプログラムは、オーリンの挨拶とショッチョサンの挨拶、そして入隊式での誓いの言葉だ。誓いの言葉は大体5分と決まっている。つまり、ショッチョサンとオーリンがどれくらいの長さの話をするかによる。

お、そんなこんなしているうちに誓いの言葉に入った。

後はありがたーいオーリンとショッチョサンの言葉だけか……。さてどれくらいで終わるかな……。


5分後。

よし、オーリンの挨拶に入るな。さてどれくらいで終わるか……。


「えー。どうも。数年前ここで訓練を積みました、オーリンと言います」


敬語っ! あの人敬語使えたんだ。いつもフランクな感じで話しているイメージだったわ。


「ってのは自分じやない気がするので普通に話すよ! 」



……戻った。


「まあ、頑張れってことしか言えないかなー。努力と才能さえあればここまで来れるよ! 頑張れ!」


……終わり!?

オーリンはそれだけ言うと、前から後ろの方に下がっていく。初めは拍手もほとんどなかったが、しばらくすると、所々で拍手が増えた。疲れた顔をしている人の拍手が凄かった気がする。

そしてショッチョサンの話に入る。

正直もう限界。出来ればショッチョサンもオーリンくらい短かったらいいのになぁ。


「えー。では、皆さんに話したいことが、13個あります」


死ね。


「まず1つ目ー」


俺はシャッチョサンが話し始めると軽く意識が飛びそうになった




……長い。現在11個目。正直どうでもいい話が多い。多分話のうまい人なら3つくらいにまとめられたと思うくらいだ。後、2つこれならなんとか耐えられそうだな。


「では最後に13個目を話します。この話は重要なので、7つに分けて話します」


その言葉を聞くと俺の意識は完全に遠のいた。




気がつくとそこは自分が寝泊まりしている部屋だった。何やら人影が見える。


「あ、気づきましたか」


そこに立っていたのはヒナタだった。正確には座っていたか。 別にそこまで心配していたわけでもないようで、普通に本を読んでいた。


「ああ。知らない人じゃなくてお前でよかったよ」


「? 別に知らない人でも問題ない気がしますが」


そう言うと、ヒナタはあらかじめ切っておいたであろうリンゴのような果物を渡してきた。


「あ、ありがとう。 いや、俺人見知り激しいんだよ。正直。特に年上の人なんかには」


「そう言う割には、私やショッチョサンとは普通に話せますね?私は年下としても、ショッチョサンは年上に違いないでしょう」


実はこれ、俺も気になっていたちょっとした違和感。


「いや、なんだか話しやすいんだよ。性格かな?」


と、言ってみるものの、年上への緊張感は半端ない。実はオーリンくらいでもギリギリ。確かにあの人も話しやすいが、こちらから話しかけるほどの勇気はない。実際、この訓練所に来てから、こっちが先に話しかけたのはヒナタとショッチョサンくらいだ。


「うーん。そんなもんなんでしょうか? まあとにかく、しっかり水分補給はして下さいね」


どうしようもなく倒れたんですがね。いや、助けを呼べば良かったのかな? でもそれで入隊式がぶち壊れたらいけなかったよな。でも結局俺が倒れたから入隊式は失敗したのかな。


「あ、ちなみに20分くらい放置されていたので、少しまだ違和感があるかもしれません。一応ここにある薬や魔道具でなんとかしましたが。あ、私じゃなくてシャッチョサンがですよ」


……20分? それあまりにひどくない? てか、俺が倒れたのが55分くらいだから、あれからまだ20分も話していたのかよ。


「放置って。ひどい話だなぁ」


「ショッチョサンが言うには、倒れた人を見たらまずは様子を見ろって。傷なんかの回復なら後でいくらでもできるから、そいつがウイルスがなんかに侵されている可能性だけ考えてろって」


……なるほどな。世界観が違うと考え方もこんなに変わってくるものなのか。


「でも早めにショッチョサンには謝っといたほうがいいですね。使った薬なんかは結構高価なものもあったらしいですよ」


「なるほど。それなら早く謝りに行くべきだな」


そうして僕はショッチョサンに謝りに行った。幸い、その薬の使用期限がもう少しで切れるところだったらそんなに気にしていないらしい。


俺の給料が2万減っただけで済んだ。

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