プロローグ
中高生の皆はやはり異世界に憧れるだろうか? 一体皆は異世界の何に引かれるのか。モンスター? 仲間たちと組むパーティ? いやいや、一番異世界に引かれるところと言えばやはり『魔法』だろう。俺もその一人だ。現実世界ではあり得ないことができる、それが『魔法』。使えると格段と便利になる『魔法』。そんな世界に俺はずっと憧れていた。そう。異世界転生をしてみたいとずっと思っていた。
断っておくが、別に俺はよくラノベなんかであるニートとか、引きこもり、とかの類いではない。普通に大学に通っている、ごく普通の大学生だ。今年の春から大学生になった。現実世界に不満があるわけではない。むしろ満足している。ただ唯一手に入れられなかったものは彼女なんだがな。
話を戻そう。俺はあるちょっとしたことで死んでしまった。死んだからにはそこで『俺』という存在は無くなってしまうのだと思っていた。しかし、次の瞬間俺がいたのはひとつの小さな部屋だった。
そこで俺は天使に出会い、異世界転生したのだ。選択肢が3つあった。一つめは地球のような科学が発達した世界への転生。二つめは身体能力が格段に高い世界への転生。そして三つめが『魔法』が使える世界への転生だった。もちろん俺は何も迷わずにそれを選んだ。『魔法』を使える世界への転生は、俺の夢なのだから。
しかし、その考えは甘かった。その『魔法』が使える世界は、俺が想像していた自由に魔法が使える世界、というものではなかったのだ。
大抵の異世界だと、簡単な火を使う魔法や、電気、氷とった魔法はマナとか、魔力とかいったよくわからない概念で使うことができる。確かにこの世界もその点では変わらない。ただひとつ、この世界では『魔法』を使うためには、その対価が必要になってくる。
例えば寒い日は、異世界では『魔法』で、炎系の魔法を使えばいいだろう。しかし、この世界では違う。普通に考えて、その炎はどこからやって来るのだろうか? 多分大抵の異世界では魔力などをエネルギーに代えて『魔法』として使っているだろう。しかし、この世界では魔力はそのエネルギーと『魔法』との間の交換を行うためのエネルギーであり、魔力そのものが魔法になるわけではない。つまりどう言うことかというと、この世界では炎系の魔法を使うと、その分のエネルギー、特に自分の体の熱エネルギーを奪って炎に変えているのだ。もちろんある程度はエネルギーの量の変換すら起こっているのでその炎魔法のエネルギーすべてが体の熱エネルギーと、いうわけでもないのだが。
まあ、とにかく、この世界では寒い日に炎魔法を使うと、自分の体温が奪われ、下手すると凍死してしまうかもしれないのだ。
異世界転生ということは何か特典を貰ってるのではないかという疑問があるだろう。ここは素直に答えよう。貰った。ただ、使えるかどうかは別として。
その貰った特典は『魔法を使うときの対価の支払いが普通なら直後、または同時に行われるところ、1日から1週間遅れてやってくる』
というものだった。
とにかくせっかく異世界転生したのだから、魔王討伐、といきたいのだが、どうやらこの世界では人間の方すら争っているらしく、まずはそちらを静めなければならない。
どうやらこの異世界で俺に与えられた使命は、人間界の争いの仲裁、つまり天下統一らしい。