1 ……いきて、帰りし、物語。
絵巻物 ゆらめき
プロローグ
……いきて、帰りし、物語。
本編
……あなたのことを、愛しています。
その日、朝雲ゆらめきは生まれて初めての恋をした。
恋の相手は、ゆらめきのクラスメートである、友達の高浜華丸という名前の同級生の二つ年上の親類の先輩で、その人の名前を高浜雅と言った。
それはゆらめきの一目惚れの恋だった。
雅は本当にかっこいい人だった。
たった二つしか年は変わらないはずなのに、高校一年生のゆらめきには、高校三年生の雅の姿はとても、遠いところにいる、(自分の知らない世界をたくさん、知っているような)すごく大人の人のように見えていた。
「ゆらめき。本当に、あの雅先輩のことが好きなの?」
親友の篝火不知火が驚いた顔をして、ゆらめきに言った。
「……うん」
ゆらめきはその美しい顔を、ぽっと赤く染めて、不知火に言う。
「本気の本気なの?」
不知火は言う。
「うん」
不知火の顔を見て、ゆらめきは言った。
「あー、そっか。そうなんだ。……うーん。でもなー」なんだか難しい顔をして、(せっかくの綺麗な不知火の顔が、変な顔になっていた)不知火は言う。
「どうかしたの?」
不知火の横を歩きながら、ゆらめきは言う。(二人は今、学校帰りの道の途中だった)
「いや、なんていうかさ、……雅先輩。ほら、あんなにかっこいいからさ、あんまりいい噂、聞かないんだよね」と、ちょっと言いにくそうに不知火は言った。
「いい噂じゃないってことは、悪い噂ってこと?」
「うん。まあ」
「どんな噂なの?」ゆらめきは言う。
「……まあ、なんていうか、簡単に言うと『女癖が悪い』って言うことかな?」と、美しい黒髪のポニーテールの髪の毛を風になびかせながら、篝火不知火は朝雲ゆらめきにそう言った。
「……そうなんだ」
腰まである、長く美しい黒髪を風の中に揺らしながら、ゆらめきは言った。




