終戦 断罪
躱す、躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す躱す。
脳を殺して、それだけに特化する。
そうでもしないと、この連撃は躱せない。
回避は必死、流そうとすればその力によって強引に流しをやめさせられる。
例えばの話だが、スキルによる補正がなかったとしたら既に死んでいると確信している程の連撃と技術の応酬であった。
予備動作を見切り続け、予想しながら躱す。
今、奴の手にはなにも握られてはいないが、透明ななにがあるのはわかっている。
そして、その持ち方からどうやら大鎌のようであった。
まだなのか、まだか、まだなのか。
だんだんと焦りが生まれてくる。
「また、躱すだけか。つまらん。しかし、それも時間の問題。お前の後ろの魔術士も我らの速さを捉えられてはいないぞ。それでも続けるのか。」
うるさい。今、集中しているんだよ。
とにかく勘で躱すことにする。
途中でわかったことだが、下手に見て回避するよりも勘に頼った方が躱しやすいのだ。
それもそうだ、見てからとゼロ秒じゃ、秒数が違う。
そして、
『心眼を獲得しました。』
と無機質な女性の声が新しくスキルを獲得した事を教えてくれる。
来た!これを狙っていた!
回避の技術が足りない?速さが足りない?それなら新しい回避系スキルを今、得ればいいのだ。
正直賭けではあったが。
「ぬっ!?」
どうやら相手も驚いているらしい。
というかこいつリーパーのままなのか?
後でオリカに聞いておこう。
そして、心眼というスキルはどうやら相手の動きが見なくてもある程度わかるというものらしい。
それによって、形勢は逆転する!
これならば、流せる。
刀術スキルレベル2で覚えるスキル!
「対人の型:流水!」
言う必要はない。しかし、今はやるべきだと思ったのだ。
そのスキルは奴の見えない刃を巻きつき、どこかへと飛ばす。
そして奴の動きは今、止まる。
そうすれば、
「起爆」
オリカが魔術を放てる。
その言葉とともに、奴の背中が爆発する。
オリカ、時間かかると思って威力の代わりに手間がかかるような魔術を作っておいてそれを使ったな。
相変わらず頭がいいな。
そして今だ!
やるなら短期決戦だ。
刀を直ぐに放り投げる。
そして、
「破拳強降!」
このスキルは自分の防御力を0にし、貫通属性を付与する。
そしてこのスキルは戦いが終わるまで続く。
さらに!
体術進化スキル武術Lv1で覚えたスキル
「連拳!」
連拳、それは連打をすると段々と威力が上がるスキルだ。
因みに上限は30発だ。
ガガガガガガガガガガガガ
と硬い物に連続で当たる音がする。
破拳強降を使っといてよかった、使ってなかったらノーダメージだった。
何十回も殴ったとき、
「甘い。」
言えるはずがない。その筈なのに奴の声が聞こえた。
物凄い嫌な予感がした。
その勘と本能に従って一気に後退する。
ブン、という空気を切る音が俺がさっきいた場所から聞こえた。
そこには全く無傷の奴がいた。
「はは、あれでも無傷かよ。」
乾いた口から、せめてでも軽口を吐く。
もう、打つ手ない。
いや、あるにはあるが、もう使えないし、タメが必要なため普通じゃ使えない。
ここまでか。心は諦めに近かった。
途端、声が聞こえた。
『ああ、そうかよ。そんなんで諦めるのかよ。じゃあ俺が行くぞ。』
怒気を含んでいる声だが、それでもわかることがある。
こいつはいけない。
それだけは何故かわかった。
「断る。それだけはさせない。」
『そうかよ、いい感じだとは思ったんだがな。今は諦めてやる。だが、俺はいつまでもお前のことを狙っているぞ。』
変な奴だったが、一体誰だったんだ?
しかし、諦めだった心はもう変わっていた。
最後まで足掻いてやると。
オリカを見つめる。
オリカならきっとわかるはずだから。
もう流水は使えない、何故なら驚いた瞬間の隙を突いたものであり、心眼だけの力ではないからだ。
縦横無尽に駆け回り奴をその場で動かせないように立ち回る。
しかし、奴はそんなに甘くはなかった。
ブン!
なんで何もないところで鎌を振ったんだ?
すると後ろから音が聞こえた、まさか斬撃を飛ばしたのか!
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
奴程の技術でやられたらいずれ、動きを読まれてやられる。
ただえさえ破拳強降によって防御力はもうないのに。
まだか、まだなのか?
これでは無理だ。
ではどうすれば?
考えろ考えろ考えろ!
「しまっ‥‥」
「岩鎖縛」
オリカの声と共に振り下ろされ飛ばされるはずだった刃はオリカによって作り出された鎖によって拘束されていた。
殺す前に鑑定で名前を見ておく。
【選定者】『断罪のジャック』
そんな名前だったのか。
では、
武術スキルLv2
「入魂一拳」
タメを作り、文字通りにHP、MP、ST全てを込めるのだ。
そして込めた量でダメージは増える。
「お兄、」
どうやらもうすぐダメになるようだ。
さてやるとしますか。
「破っ!」
じゃあな、ジャック。
そして、奴の頭を砕いた。
はずだった。
「お前ら、よくぞここまで。」
「な、なぜ、生きている。」
「なに、我らは不死だと言っただろう。また復活する。それに伝えねばならぬことがあるからな。」
「な、なんだ。」
「4つの楔を破壊し時それは現れる。心せよ、それは災厄である。それだけだ。ではな。」
そう言うとまるで存在しなかったかのように消えた。
しかし、倒したと言う事実はメニュー画面が無機質ながらも伝えてきた。
そこには、
『称号:初ネームド討伐』
『称号:討伐 断罪』
という文字だけがただ虚しく映っていた。
作者 くっ!勉強のせいで投稿がおくれた!
ユート勉強なんだから仕方ないだろ。読者もきっとわかってくれるさ。
ということで、受験勉強が忙しい作者でした。