前戦 ネームド 断罪のリーパー
遅くなりました、すみません。
やっぱり受験が響いてきました。
受験が終わったらある程度調子は戻ると思いますのでこれからもよろしくお願いします。
ネームド、それはオーバースケールオンラインにて密かに噂されている存在である。
ユートはそれを掲示板にて発見していた。
掲示板ではネームドの探索が行われていたが発見報告なんて物は無かった。
が、
ある種の暗号がだされた。
文字化けしているかのようであったそれは知っているものは知っている暗号であった。
そこにあったものはただ一つの文であった。
彼の地にて彼のネームドは待つ
ただそれだけだった。
しかし、この暗号を解いたものたちから見ればネームドがいることに他ならないのだ。
考えれば誰かの悪戯だと言えるだろう。
しかし、それは掲示板に出てきて数秒で消え去ったのだ。
それも、他の掲示板の人間には見えていなかったのだ。
それはひとり一人に向けたメッセージであるということだ。
これほどまでに運営が動くものはネームドという隠し存在を知らせたいという他ないのだ。
そして今、目の前にそれとしか思えない者がいる!
「オ、マエハオカシイ。マジッテイルトイウノニソレがデテイナイ。」
口と言えるものはなく、どこから喋っているのかはわからない。それがこいつの不気味さを増やしていた。
その話を聞きながらHPを回復する為に前もって買っておいたポーションを使う。
しかしどういうことだ?
混じっている?、出ていない?
なんのことだ?
「なにか知っているのか!」
「ナルホド、オマエハキヅイテイナイノカ。イヤ、キヅケナイトイウノガ、セイカイカ。シカシ、ワレハ、ヤクワリヲハタスノミ。」
そう言い斬りつけてきた。
それを軽くなって動きやすくなった体で躱す。
さっきのことからあの攻撃には一つも当たってはいけない。
もちろん、必殺技かもしれないが、常時発動型の可能性もあるのだ。
「話をする気は無いってことか!」
それより、この攻撃、激し過ぎる!
躱すだけで精一杯だ。
しかし、俺の方がギリギリ早い為なんとか躱せる。
そして、俺だけしか狙っていないのでなんとかなっているが、オリカを狙われたら危なかった。
「フム、セントウリョクハ、モウシブンナイ。」
「クッ!」
喋りながらだというのにその攻撃は衰えることはなかった。
ヘタな弾幕ゲームより難しい攻撃を避けながら隙を伺う。
「しまっ‥‥」
もうスタミナがない。
激しく動きすぎた。
そこに
振り下ろされたのは‥‥
俺の命を奪う鎌であった。
が、
「お兄!」
パリン!
スタミナが急に回復した。
「『空歩!』」
空歩Lv5
レベル分、空中に足場を作って歩けるスキルだ。ガルムに教えてもらったとっておきでもある。
そして、三次元的移動によってギリギリ躱す。
しかし、それに反応して二歩使って鎌の届かないところまで行かないと躱せなかったのは流石というべきか。
「はぁ、はぁ、なんとか躱してやったぞ。」
「フム、デハコウシヨウ。」
「なっ!オリカに向かっていっただと!そうは行くか!」
「『縮地!』」
縮地Lv5
歩行法より派生したスキルであり、ガルムがすぐにできるようになっとけと言われ死ぬ気で(文字通り死んだが)取れたスキルだ。
これも俺のとっておきだった。
全くどんだけ俺のとっておきを使わせるんだよ。
インベントリから初心者の刀を取り出しながら一気に駆け抜ける。
そして、カァンと金属同士がぶつかり合う音が辺りに響き渡った。
「お兄。」
「そのまま魔術を作っとけ!俺が守る!」
全く、恥ずかしいこと言わせやがってこのやろう。
しかし、筋力値もからりあるはずだというのに全然こいつ力を入れている様子がない。
まるでガルムを相手にしたような感覚だ。
「ソウキタカ。デハ、ツヅキヲヤロウ」
すると一気に力を入れ、弾いてきた。
「ガッ!」
体が壁に打ち付けられ、一瞬息ができなくなる。
くそっ、強すぎんだろ。
それでも、俺はやらなくてはいけない。
報酬の為、オリカの為にも。
いくぞ!
と言っても戦況は変わらなかった。
せめて、魔術が発動出来れば。
少しは有利になれたはずなのに。
魔術の訓練を少ししかやっていなかったのがここに来て響いてきた。
「モウイイナ、コレイジョウハ、ムダダ。」
なっ!速さが上がっただと!
反応できない!
しまった!
「『バレット』」
そこに撃ち込まれたのは光の弾であり、命を刈り取るはずの鎌は寸前で止まっていた。
「クハハハ、ソウカ!アクマデモオマエナノカ!ナラバコタエヨウ!第1解放」
その瞬間、風が吹き荒れた。
しかし、その風は殺気、負のエネルギーをとにかく混ぜ込んだようなどす黒い風であった。
風を前に目も開けられない。
が、無理矢理目を開ける。
薄目の中見えたのは吹き溢れるエネルギーとしか言いようのない黒き光であった。
風と光が収まった後にいたのは‥‥‥‥
黒いマントに身を覆った美丈夫であった。
「この姿になるのもいつぶりか。」
そうしみじみと答える男でとてつもない殺気を軽々とだした。
「ではやろうか、なに我らは死ぬことはないだが、簡単に死んでくれるなよ。」
凄みと殺気を吐き出しながら一直線に向かってきた。
これは!速い!
が、
「縮地」
カーンと何度も聴きなれた音を聴く、しかしその音は前より低く、それと弾いた腕がしびれていることからも完全に弾けてはいないことを思い知らせてくる。
しかし、それでも恐ろしいのはこれが小手調べでしかないということだ。
何故小手調べなのかは連続して攻撃してこないからだ。
先程の縮地は瞬間的な移動ならは足だけではなく、腕だって使おうと思えば使えるのではないのかそう考えてとにかく練習に練習を重ねた結果のものだ。
頭と身体がおかしい人間じゃないとできないと思うな。
ガルムには呆れられていたがな。
それより、今は目の前のことだ。
一撃一撃が必殺。
ステータスやつ以下、技術もやつ以下、あるのは瞬間的な速度と、異常な程の勘だけだ。
それだけが奴を上回っている。
しかし、やることは変わらない。
勘で避けて、隙を見て倒す。それだけだ。
そしてある種の敬意を評してこう言い戦いを始めよう。
「「いざ、尋常に勝負!」」
第2ラウンドが今、始まる。