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6月7日(決意)

時刻は午前3時過ぎ。

昨日は早く寝てしまったためにこんな時間にバッチリ目が覚めた。

そしてベッドから出て机を見る。

そこには病院に行った際の領収書があった。

「夢じゃなかったか」

そして考え込む。

これからどうするか。

会社や両親に報告するとか、友達には言わない方がいいかなとか、Twitterで書こうかなとか。

いまいち実感が湧かず、ふざけた考えも頭に浮かぶ。

しかし、ひとつだけ、医師に勧められた延命治療を受けるかどうかの選択については真剣に悩んだ。

治療を受けるにしても、手術でがんを切除することはできない。

基本的に抗がん剤で延命、もしくは重い症状が出た場合にその症状を緩和するくらいしかできない。

なにより、今は自覚症状がほとんど無い、そんな状態で治療が必要と言われても困る。

お金の問題もあるが、就職してからコツコツ貯金していたのもあって、一年生活するくらいならよほどのことがない限り底を尽きることはないだろう。

葬式代等は会社にセールスに来た保険会社の口車に乗せられて入った生命保険でなんとかなるだろう。

そんなことを色々考えてるうちに夜が明けていた。

結局、決意したことは治療は受けずに生きていられる時間を楽しく生きるということ。


そう決意してからの行動力は今までの自分とは思えないものだった。

まず、会社に出社し、事情を説明して退職願を出した。事情が事情なので、事務処理はスムーズに進み、引き継ぎが終わり次第、即退職してもいいそうだ。

会社の規定で、事実上は今月末退職扱いになるらしいが。

引き継ぎもチームで仕事をしていたため数人に進捗状況等を教えれば完了だ。

明日には終わるだろう。

事務処理と引き継ぎをしつつ、その日は定時退社した。

家に帰ってからは両親に病気のことや余命のことを報告し、自分の決意も伝えた。

親としては長く生きて欲しいと当然のことを言われたが、少し長く生きるために辛い治療生活をするより、死ぬまで楽しく生活したいと真剣に伝えたら渋々了承してくれた。

両親への報告を終えたら、なんだかんだ、時間は23時を回っていたので、その日は寝ることにした。

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