【馬鹿げてる世界で】
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♂2:♀1:不問1
害のないNPC ♂ セリフ数:13
勇気ある若者 ♂ セリフ数:20
大人しい聖女 ♀ セリフ数:11
とある魔術師 不問 セリフ数:5
[あらすじ]《6分程度》
「君は何て害のないNPCなんだ。あーあ、つまらない。つまらないから君に害を与えよう」物凄く面倒くさそうにそう言った禍禍しい姿の魔術師は小さな杖を1、2回振ってボクに呪いをかけたんだ―――。
【害のないNPC】
初めまして、勇者様。
ここは始まりの村。魔王討伐に備え、英気を養って下さいまし。
【勇気ある若者】
あれ? ……うーん?
【大人しい聖女】
どうかされましたか、勇者様
【勇気ある若者】
……ああ、いや。なんでもない。
(独り言のように呟いて)
村の入口に居るNPCってこんなに喋ったっけか?
【大人しい聖女】
と、とりあえず宿屋に行きませんか? ここまでの道中で倒した魔物のドロップアイテムも整理したいですし。
【勇気ある若者】
お? ああ、うん。そうだな。
案内ありがと、またな!
【害のないNPC】
………………。
*
【勇気ある若者】
やっぱりおかしい…。
【大人しい聖女】
どうされました、勇者様?
この村に入った時も『のんぷれいやーきゃら』がどうとか仰ってましたが…。
【勇気ある若者】
ああ、聖女か。……いや、俺がこの世界に召喚された時、言ったろう? この世界に似た世界の事をよく知ってるって。
【大人しい聖女】
えぇ。確か…『えむえむおーあーるぴーじー』でしたか?
【勇気ある若者】
そうそう。『失われし世界〜ロスト・エデンの塔〜』。MMO系統のゲームにしては評価も高かったし、実際ガチャもストーリーも結構良かった。無課金でもそれなりに強くなれたし、課金してもハズレじゃなかった。
だから俺はやり込んだんだよ。
始まりの村なんて何回周回したか。
……俺の記憶の中ではあんなに喋る村人は居なかった。おかしいんだよ、他の村人は一言一句間違ってなかった…。
【大人しい聖女】
……わ、私には勇者様の仰っている事の半分も理解が及びません。ですが、何かがおかしいと感じていらっしゃるのならばあの村人に聞いてみては如何でしょうか。
【勇気ある若者】
……! そうか。その手があったか。
相手はNPCなんだから攻撃力なんてたかが知れてるよな。何をこんな所でうじうじ悩んでるんだか! 悪い、聖女! 先に眠っててくれ!
【大人しい聖女】
あ、勇者様っ! お待ち下さい、夜は冷えますので〜…! って、ああ……っ…行ってしまいました…。
*
【勇気ある若者】
なぁ、アンタ……! テンプレ以外喋れるか……!?
【害のないNPC】
初めまして、勇者様。
ここは始まりの村。魔王討伐に備え、英気を養って下さいまし。
【勇気ある若者】
ああ…っ、いや違うんだ…!
それ以外にも喋れるはずなんだよ!
【害のないNPC】
初めまして、勇者様。
ここは始まりの村。魔王討伐に備え、英気を養って下さいまし。
【勇気ある若者】
……ああ、やっぱり俺の記憶違いか……。
そうだよなぁ、ゲームだったら選択肢が出るのに今じゃ聖女に確認されるっていうか…。
はあ、やっぱりいいや。案内ありがとう……。
【害のないNPC】
初めまして、勇者様。
ここは始まりの村。魔王討伐に備え、英気を養って下さいま『せ』。
【勇気ある若者】
ん!?
【害のないNPC】
…………。
初めまして、勇者様。
ボクはこの村の『NPC』です。
【勇気ある若者】
あっ、えっ……まさか、本当に…?
【害のないNPC】
ボクは昔。どれくらい昔かは覚えてませんが、魔術師様に呪いをかけられました。
【勇気ある若者】
呪い? アンタが…他のNPCとは違うセリフを喋る原因か?
【害のないNPC】
……、勇者様は。本当にご自身の事を『勇者』なのだと思っているのですか。
【勇気ある若者】
え、う、うん。だってさ、召喚されてお前は勇者だって言われたし。それに勇者しか持ってないって言われているスキルも持ってるし。
【害のないNPC】
……それは。
<魔の破壊>ですか? それなら、ボクも持っていますよ。勇者様。
【勇気ある若者】
な、な、……何で……!?
そ、そもそも…! 何でNPCのクセに喋れてるんだよ、アンタに呪いをかけたっていう魔術師は一体……!
【とある魔術師】
呼びましたかネ。勇者君。
【勇気ある若者】
……ひっ! そ、そんな……お前は…! まさか、魔術師? でも、でもでも……その顔は……。
【大人しい聖女】
勇者様はおかしいと思いませんでしたか?
【とある魔術師】
『失われし世界〜ロスト・エデンの塔〜』には『聖女』なんて存在しないんだヨ。
【大人しい聖女】
存在しない『NPC』。貴方はそれに何の疑問も持たずに私を侍らせた。
【とある魔術師】
それがキミの敗北理由。
【大人しい聖女】
それが貴方の失敗理由。
【害のないNPC】
勇者様。
【勇気ある若者】
な、な、……何だよ……!
何なんだよ……!
【害のないNPC】
初めまして、勇者様。
ここは始まりの村。魔王討伐に備え、英気を養って下さいまし。
貴方の隣に居る、魔術師が。
ボクに呪いをかけた、魔王ですけどね。
【勇気ある若者】
え、え……あっ……。
【とある魔術師】
……勇者君。この世界はね、君の知ってる世界じゃない。君がやり込んだ世界じゃない。痛みも苦しみも、全て。現実だ。
【勇気ある若者】
あっ……あっ……な、何で…こんなハズじゃ……。
【大人しい聖女】
勇者様。
【害のないNPC】
勇者様。
【大人しい聖女】
こんな馬鹿げた世界で。
【害のないNPC】
勇者様やってるなんて。
【とある魔術師】
……可哀想だネ。
大丈夫。…痛みなんて感じさせないほど、簡単に葬ってあげるから。
【勇気ある若者】
あ、あ……ああっ……ああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁぁあっっ!!!
STORY END.




