第五話 ~長かった1日~
俺の目の前に不思議な光景が広がっていた。
いつもの俺と佑唯の2人の食卓に悪魔が加わっている。
しかもその悪魔は今日が初対面のはずなのにすごく佑唯と親しげに会話していた。
「詩織ちゃん急にくるんだもん。びっくりしちゃったよ!」
「ごめんごめん。わたしも急におばさんに言われてここに来たからさ!
でも小ぞ…護くんと佑唯ちゃんに久しぶりに会えてホント嬉しい!」
なんなんだこの悪魔、さっきと喋り方が
全然違うではないか!
『~じゃ』とか『儂』とかはどうした!
なんでキャピキャピしてるんだ。さっきまでの俺の事をゴミでも見るかのような目つきはどこいった。
いや、だが冷静に考えたらそこではない。
なぜ妹がシーファとこんなに仲がいいのかわからない。てか詩織って名前が本名なのか?
とりあえず妹に聞いてみた。
「佑唯。シー…詩織ちゃんと仲いいな!前から知り合いなのか?」
妹はキョトンとした後に笑い出した。
「何言ってるのお兄ちゃん!詩織ちゃんは私達が小さい頃よく親戚のおばさんの家で一緒にあそんだじゃん!」
「えーやだ、護くん忘れちゃったのぉー?」
なんだこの悪魔の喋り方本当イラッとする。だがそこではない。
俺には小さい頃シーファと遊んだ記憶はない。
小さい頃は、父と母と4人で暮らしいてい時。親戚の集まりなんて年に1度あるか無いかだ。
もう現実的な事を考えていてもしょうがない。
きっとこの悪魔が何か仕掛けたのだろう。
そう思った俺は、黙って箸をすすめた。
晩御飯も食べ終わり、疲れていた俺はシャワーを浴び、すぐ寝ることにした。
「佑唯、俺は疲れたからもう寝るぞ。」
「はーい、私もお茶碗洗って明日の学校の用意したらすぐ寝るー。あ、私の部屋狭いからシーファちゃんはお兄ちゃんの部屋で寝るって言って、先寝ちゃったよ。」
「あ、あぁ…そうなんだ…おやすみ。」
そう言って急いで部屋に戻った。
部屋の扉を開け、俺のベッドでくつろいでいるシーファに言った。
「おいシーファ!!なんで俺の部屋で寝るんだ!!普通は妹の部屋かリビングだろ!!あと詩織ちゃんってどーゆー事だ!!なんで妹とあんな仲が良いんだ!!」
シーファは気だるそうにため息をついた。
「いっぺんに質問するなと言ったろうに。小僧の妹の記憶は少しいじらせてもらったんじゃ。まぁ厳密に言うと、儂と仲良かったって思い込ませたのじゃ。思い込ませた事によって記憶にあると誤認させた感じじゃな。」
「悪魔はそんな事もできんのかよ。」
「もちろんじゃ。あと詩織って名前はあれじゃ。儂はどう見ても日本人じゃろ?なのにシーファなんて名前だと変だから、詩織って名前にしといた。だから小僧も人前では儂の事は詩織と呼べ。」
もう何でもアリだな…。もう寝よう。そうしよう。
俺は黙って床に布団を敷き、電気を消して寝ようとした。
するとシーファが寝る間際に言った。
「明日はのう、天使達について教えてやるからの。」
俺は口に出さず、心の中で叫んだ。
「もう勘弁してくれええええ!!!」