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第弐話 ~少女~

何者かの視線に気付いた俺は警戒しながら辺りを見渡した。

誰もいない。だがやはり視線は感じる。


「無事だったんだね」


急に誰かの声が背後から聞こえた。

俺は振り向けなかった。本能が訴えている。振り向かず走って逃げろ!!と。

本能に従い、俺は走った。家までの道を全力で走った。

途中で後ろを気にしたが誰もついてきていない。あの視線も感じない。

だがもし追いかけてきていて、捕まるのも嫌なので家まで走って帰った。

家の前につき、急いで鍵を開けて俺の部屋まで直行した。

「お兄ちゃんおかえりー。もう少しでご飯できるよー。」

と、妹の声が聞こえた、ような気がしたがそれどころではなかった。

部屋に入りまず自分を落ち着かせた。

「落ち着け。いつもの家、いつもの部屋だ。きっとさっきのも気のせいだ。事故のショックがまだ残っていて幻聴が聞こえただけだ。」

そう自分に言い聞かせた。


「ほう、小僧。そんなに焦ってどうした。帰りに鬼にでも出くわしたか?」


「いや、なんもな……え?誰?」


俺のベッドを我が物顔で寝そべりながらジャカリコを食っている見ず知らずの少女がいた。


「あー、あれか。これも事故のショックか。幻聴だけじゃなくて幻覚まで見ちまうとはなぁ」


「阿呆。こんなプリプリのピチピチの美少女が幻覚な訳なかろうて」


いや待て待て待て!!幻覚じゃ無かったとしたら本当に誰だ!?親戚の子か?

俺はまじまじと少女を見て思い出そうとした。

少女は身長150cmくらい。腰までサラッと伸びている黒髪。少しキツイ眼。

服装は彼岸花を刺繍している着物。

見た目と喋り方はまるで過去からタイムスリップしてきたかのような雰囲気。

やはり考えても知らない子だ!


「なんだそんなじっと(わし)を見つめて。あまりにもの美貌に惚れたのか?」


「いや、あの、すみません。どちら様でしたっけ?あ、佑唯(ゆい)のお友達かな?」


「何を言っとるんじゃ。お前とは初対面であろう」


いやお前のほうが何をいっとるんじゃ!

まず初対面の人間との喋り方じゃないだろ!!

そう突っ込もうとしたが相手は中学生か、もしくは小学校高学年の少女だ。

ここは俺が大人な対応しなければと思った。


「えっと、じゃぁ佑唯の友達なのか?ダメだよ?勝手に人の部屋に入っちゃ。」


「さっきから佑唯佑唯ってあの料理している小娘のことか?まぁ儂よりははるかに劣るが、なかなか可愛い娘じゃのう。」


まさか妹の友達でもないとは。ここまできたらお手上げだ。俺はストレートに聞こうとしたが少女から喋り始めた。


「小僧、今日は大変だったな。自動車にはねられるなんてな。(わし)が助けてやらなかったら死んでおったぞ。感謝せい。」


俺は凍りついた。こいつ、俺がひかれた時いたのか。それに助けたってどういう意味だ?


「まぁ実際は死んでおったんじゃがな。」


「何言ってんだよ。俺はこうして生きてるだろ。そもそもお前は誰なんだよ!」


俺はキツイ口調で言った。


(わし)の名はシーファ。自動車にひかれて首の骨を折ったお前を生き返らしてやった命の恩人じゃ。いや、恩人というより、恩悪魔って言った方が正しいかのう」


目の前の少女は自分の事を悪魔と言ったのだ。

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