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注意ラブレターではありません。

あ、どうもです。

不慣れなタイプの恋愛ものに挑戦してみました。

よろしくお願いいたします。


小説はいったん読者の手に渡れば

それは読者のものであって作者のものではないと僕は思っています。

必ずしも僕が意図したように読む必要はなく、

たとえそれが僕が意図しなかったことであっても

あなたにとってそれが真実ならばそれを否定する必要はないと思っています。


僕の小説はちょっと変わった人が良く登場するので

変な表現が多くなるにもかかわらず、

恋愛に必死な人たちは回りが見えないはずだ!!と言う身勝手な理由から、

客観的な描写を極力少なくしてみようかなって今のところ思っています。

余計に分かりにくくなっているかもしれません。

その時はごめんなさい。

あなたのとても素晴らしい想像力で補完していただければ幸いです。

 あ、突然すいません。草野ゆかって言いいます。女子高生やってます。そんで、こんなお手紙もらっちゃいました。 



 注意ラブレターではありません。

 

 いきなりなんですかこの注意書きは、びっくりデス。チョーびっくりデス。しかもこれが、クラスの中でもちょっぴり変人で変態で、でもでも賢くて華奢でスタイルよくて光り輝く爽やか美少年、実は私もちょっぴり気になってましたさんから頂いたものですからもうどうしていいのやら。

 あ、名前はましたさんではなくて平岡健くんっていいます。

 で、本文はと言うと、


 突然ですが、僕は草野さんの事が好きです。

 とっても好きです。

 クソくらいに好きです。

 全力で好きです。

 ビックリするくらい好きです。

 猛烈に好きです。

 心のそこから大好きです。

 半端なく好きです。

 鳥肌立つくらい好きです。

 友達にばれたら若干引いてしまうであろうくらい病的に好きです。

 こんなに好きになってしまってもう本当に申し訳ありませんでしたって謝りたいくらい好きです。


 告られた。色々突っ込みたい事は山ほどあるが告られた。謝られても困るのんだけど、とりあえず好きになってくれたのはよ〜く分かった。これは世間一般ではラブレターと言うのですよ、健くん。


 しかし、


 しかし!?しかしって何ですか!!逆接ですか。逆説ですね。つまり今まで言ってたことの逆が来ると言うことですか。本当は好きではないと言うことですか。つまりラブレターではありませんということですかあああああっ。


 しかし、クラスの中でも変人で不思議キャラの僕から行きなりこんなことを言われても困るかもしれません。迷惑かもしれません。キモイヨバカ、話しかけないでって思ってるかもしれません。

 そのときはごめんなさい、本当にごめんなさい、とってもとってもごめんなさい。反省します。下々のものが出すぎたマネをしてしまいました。どうか、どうか、お許しください。卑しい僕なんかからこんなこと言われても迷惑ですよね。迷惑ですよ。迷惑かけてすいません。ごめんなさい、どうかどうかお許しを。


 いやいやいや、謝られても困るよ。いや、つまり、困ってないよ。あ、でもいきなり告られてやっぱり困ってるかな。じゃなくて、まあ、変人ってのは否定できないけど、あれですよ、個性的ってやつですよ。気にしないからもっと自信を持って、健くん。

 キモイなんていったやつがいたら私がぶっ飛ばしてやるよ。

 だから、ね。


 あ、でも、でもです、できれば少し色々お話聞いていただけませんか。嫌ならいいんですけど、できれば最後まで読んでほしいんです。僕は真剣です。半端な気持ちで好きなんていったりしません。だから最後まで読んでください。でもやっぱヤダと思ったときは遠慮なく破り捨ててください。ごめんなさい。


 謝りすぎだよ!!

 破らないよ!!

 自信もってよ!!

 結構めんどくさい人ですね。まあ、必死さは伝わったよ。読みますよ、読ませていただきます。人生初のラブレターもどき、最後まで読ませてください。できればもうこれ以上謝らないで下さい。


 まずは、え〜っと、なぜ好きになったかを書くべきですか?そうですね、それくらいは書かないと困りますよね。


 確かに、それは私も聞きたい。どちらかと言うとボーイッシュで女の子にしかもてない私を好きになった理由を聞いてみたい。初めて人から好きと言われた理由を是非とも教えていただきたい。とりわけ健君が好きになってくれた理由を是が非でも聞いてみたい。


 え〜っと、何だろう・・・。なんだっけ。う〜ん(考え中)。


 おい、そんな事まで書かなくて良いから。てか、悩むな。悩まないで。悩まないで下さいお願いします。


 分かりません。と言うか、理由なんてありません。


 そんな・・・。そんなのないですよ。こんな事言われたらさすがに怒りますよ。何なんですか人のこと好きって言っておいて。て言うか、へこみます。すっごいへ込みます。お願いだから、適当で良いから、お世辞で良いからなんか書いてくださいよ。


 あ、あ、すいません、別に良い所がないとか、探しても魅力が見つからないとか、逆に悪いところの方が目に付くとか、そんなんじゃないです。僕の表現能力が足りないばかりに不快な思いをさせてしまっていたら重ねてごめんなさい。違うんです、そうじゃないんです。説明します、説明しますから、どうか、どうか、どうか。それは、そのですね・・・。

 

 いや、はい、すいません。

 かなりへこみました。

 良いですよ、私なんてどうせいいところないですよ。

 女の子らしさのかけらもないですよ。

 可愛いとか色っぽいとか言うものとはと〜く離れた存在ですよ。

 でっかいですよ。

 ぺったんこですよ。

 おバカさんですよ。

 どうせ、どうせ、どうせ・・・。


 つまり、その、確かに、優しいところとか、変な僕にもわけ隔てることなく接してくれた事や、何に対しても真剣で、スポーツ上手で、活発で、面白くて、輝いてて、可愛くて、でもそこらの男子より男前で、でもどこか女の子してる部分もあって、抜けてることも数え切れないくらいあるけど、女の子の弱点は魅力だし、一緒にいるだけで僕を幸せにしてくれる素晴らしい人なのは恐らく間違いないんですけれども、


 あ、どうも。ありがとうございます。一杯理由あるじゃないですか。早くそれを言ってください。悩んだり考えたりするところまで中継しないで下さい。そんなくだり要らないです。

 しかし、いきなりそんなに良く言われると、なんか、えっと、どうもです。そこまで誉められると照れちゃいます。けれどもの続きが気になるけど、嬉しいです。ありがとう。ありがとうございます。とってもとってもとってもとってもありがとうございます。あと、抜けているとこが数え切れないくらいあってすいません。反省します。でも、やっぱり嬉しいです。ありがとう、健君。


 けれども、本当は違うかもしれません。


 なんですと!!!

 

 そんな僕の中の勝手なイメージで草野さんを束縛しているとしたら、それは良くないことです。

 草野さんが僕の中の理想の人である必要はありません。本当は優しくないところがあっても、女の子っぽいところがあっても僕の気持ちが変わる事はありません。また、時を重ねるうちに性格や考え方が変わって行ったとしても僕の気持ちは変わりません。

 優しいから好きなのではありません。可愛いから好きなのではありません。あるいは、他に優しい女の子がいたとしても今のこの気持ちのように好きになる事はできません。

 あえて言うと、今まで少しですが学校生活を一緒にすごし、言葉を交わし、草野さんにとってはなんでもないことかもしれませんが貴方との時間が好きになった理由でしょうか。


 お・・・おぅ。そうか。なんか意外に説得力あるな。ちゃんと考えてるね、えらいよ。考えすぎな気もするけど、真剣さは伝わったぞ。うん、すげーな健くん。なんか、色々考えてくれてありがとう。ここにたどりつくまでに私心が何度も折れかけたけど、感動したよ。うん、早くそれ言ってくれたらもっと良かったんだよ。でも、それでも感動したよ。


 だから、僕の思う草野さんと本当の(何が本当かと言われれば答え辛いのではありますが)草野さんが違っていても僕はあなたのことが大好きです。


 また告られた。まどろっこしいぞ。でも今回は普通の好きじゃなくて大好きにしてるのは良いと思うよ。うん、凄く良い。素晴らしい。


 あ、でも、再度確認しますが、

 これはラブレターではありません。

 というのも、こういうことは直接お伝えした方が良いと思ったからです。


 そう言うことですか。ここまで言われて改めてってのも微妙な気もするけど、直接ってのはとっても大事だよね。それはとっても分かります。とってもとっても嬉しいです。


 いや、でも、僕なんかに手紙をもらってるだけでも否なのに直接会うなんてもっての他と思われているかもしれません。そもそも、草野さんの気持ちも確認しないまま一方的に伝えたいことだけ伝えてしまう手紙と言うのは言葉の暴力です。

 ああ、僕はなんてことをしてしまったんだ。ごめんなさい、ごめんなさい、僕なんかに会ってもらわなくてもいいんです。嫌ならそれで。

 いやいや、もうここを読む前に破り捨てられていて何も知られずに終わっているかもしれません。それならそれで良いのですが、いや、そうじゃなくて、会ってもらいたいのは本心で、伝えたいことがあるのも確かなのですが、それが草野さんに嫌な思いをさせているとしたら僕は、僕は・・・。


 暴走です。

 おかしくなってますね。

 ご乱心ですね。

 暴力で結構、男らしくしてください。

  

 あ、そうだ。こう言うのはどうですが。


 あの、いきなりなんでしょう??


 試練です!!

 

 ・・・はい?


 やはりそうですね。僕みたいな下々の変態が何のリスクもなしに、何の障害もなしに草野さんに気持ちをお伝えしようなんてことがそもそも間違っているのです。それに草野さんは僕のことなんて何とも思っていないだろうから、僕のことをほとんど知らないかもしれません。もしかしたら無意識に視界に入れないようにしていたために、存在すら知られていないかも知れません。 

 と、言うことで、心行くまで、草野さんが満足するまで僕を試してください。かぐや姫が迷惑な調子に乗ってる花婿候補をけちょんけちょんにするように、一休さんがとんちを聞かせて悪党を懲らしめるように、無理難題で僕を試してください。


 気持ちを伝えるのに間違いなんてありません。健君の事はずっと気にかけてました。無意識に健君のこと見てました。

 試したりしなくても分かります。そんなに私Sじゃないです。どっちかって言うとMなんです。


 試練を乗り越えてこそ男です!

 逆境で力を発揮できてこそ男です!

 ここぞというときに頑張れてこそ男です!!

 

 こんなところで男らしくならないで下さい。

 

 そして、試練に打ち勝ったときはじめて僕は草野さんと同じ空間にいる権利を与えられるのです!そうです、そうに違いありません!! 

 さあ、僕に試練をおあたえください!!!

 良いお返事を待っています。

 

 いや、どういう返事を期待しているのでしょうか。



 と、言うお手紙をもらっちゃったんです。

 私にはどうしたら良いのか分かりません。

 助けてくださいお願いします。

 

 

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