人物紹介〜
二階、職員室前。
壁と同化したその扉には【放送部】と書かれた紙が貼ってある–––
神奈川県立麻市高校。レベルは下の上。底辺ではあるもののその中では出来る方。進学率は80%、就職率は18%、残りの2%は退学など…とにかく、可もなく可もなく可もなくと言った学校である。
そんな残念な学校に通う私は現在2年生の由村 沙優。身長146cm。紛う事なきチビである。
家での扱いも、友人たちからの扱いも、等しく酷い。家族の身長はまぁ、平均的であり、私だけがチビである。何度か両親の平均DNAをかっさらっていった兄貴を呪ったが自分の身長が伸びるわけでも無いので諦めた。
そんな私はこの学校の放送部に所属している。通称ABC(Asaichi BroadCast(?)の略称)。部員は6人。2年生が4人に1年が2人。3年はログアウトしているが、まぁまぁ運営できているから、いいと思われる。
冒頭の扉を開け中に入ると既に3人の部員がいる。
「あ、よっしー!!!!!!」
この騒がしいのは2年の市井さん。
なぜか私は好かれているらしい。
「ちょっと、市井さん、静かにしてください…」
呆れたように市井さんを注意するのは2年で部長の長谷部君。
そして…
「市井先輩、いい加減にしないと俺本気で怒りますよ?」
このおめめくりくりで、先輩相手に殺気立つ1年・間村明流君が私の彼氏であり、もう1人の主人公である。