最終回 前編
「八王子君、今その刀はどこへあるかは分かるか?」
「恐らく城の消失の時に外に出されたはずです」
「なるほど確か城の宝物は第3公園に運ばれているはずだ、そこへ向かってくれ」
「了解です」
そして、俺は権能によりワープを使った。
一方、その頃壁外
ドドドドドドドド
高く積み上げられた岩盤、それを掘り起こし中から出てきた男がいた。
孟子である。
「まことに見事な一撃だった」
これは心からの言葉だった。もはや奴の操り人形になってしまった自分を殺して止めてくれる人間、それを探しながらこの戦線に参加していた自分が希望を持つ程度には……
「だが駄目だった、あの悪魔の誘いに断れなかった時点でもう私の魂は汚されてしまったのだろうな」
自分の体のコントロールは出来ないがどこへ行くのかは分かる。恐らく壊された壁を通って壁内に侵入し民衆を殺戮するのだろう。
その時、ふと右の方から物音が聞こえる。
「まだ生きていたのか……」
そこにはボロボロになった2人の男が立っていた。
一人は山崎闇斎、エグゼクティブが呼んだ異世界人だ。そしてもう一人は……
「キョクボー」
自分に膝をつかせた男だ。だが今は彼でも自分を殺してはくれないだろう、自分はもう影の巨人のように権能でも物理でも魔術でも死なないようになっているのだ。
「お前を行かせる訳にはいかない、壁の中ではどういうわけか魔獣達と影の軍勢の勢力が均衡しているらしい」
「だがそれはお互い知性がない故の均衡だ。お互い知性がなく目の前にいる相手しか狙わない、いや狙えないんだ。 もしお前があいつらを指揮したら恐らく魔獣達を迂回して壁内へ向かうだろう」
「そうしたら世界は終わりだ」
キョクボーは語る。
「俺達の他にも生き残りはいるみたいだぜ」
闇斎の言葉につられて周りを見る。
「一人二人三人、なんだこの数の気配は……」
周りを見ると先程倒したクラスメイトなる男達が何人も立っている。
「根来助かったぜ」
男のうち一人が口を開く。
「驚いているようだから説明するけど俺の能力空気抵抗は考えない、物理のテストで空気抵抗を無視できるように相手から自分の存在を思考の領域外へ送る」
「それで生き残っていたクラスメイト達を隠していたのか」
「そうだ、さあここから逆転の時だ」
「蹂躙する大根の兵隊」
「静謐なりし我が虚数」
「落墜権能」
次々繰り出される技を見て孟子は笑う。これでやっと自分を殺してくれるのかと。
「いいだろう異世界人、世界の命運をかけた大勝負と行こうじゃないか」
一方、八王子が第3公園に着くとそこには数人の衛兵が立っていた。
「どっから現れた? こいつ」
「いや待て」
衛兵の中でも偉そうな人が前に歩みでる。
「これはひょっとして転移魔術ではないかな」
「そうです、その通りです。 ワタリービさんの命である武器を壁での戦線に届けるように言われまして」
「そうかなら急いで持っていけ、昨日ここで変な男を見かけてな。 ただの盗人だと思うが、俺が見てない間に現れ、そして刀を1本盗んで逃げていった」
「それってこの刀でしょうか?」
麒麟剣を取り出す。
「ああそうそうそれだ、確か昨日の奴は真っ」
衛兵が話をしている途中で突如真っ二つにされる。
やはり来たか。
「孔子、いや違うか」
「私の正体を知っているのか」
「さっき先生に教えてもらったからな」
孔子と名乗っていた男と俺は向き合う。
「さてその忌々しい剣を渡したまえ、やっと処分出来たと思ったらもう一つあるなんてな」
「いやだね」
断る、するとみるみる奴の顔色が変わっていく。
「そうかなら、殺そう」
男が指を鳴らすとブラックホールのようなものが出現する。
「入りたまえ、そして中で最終決戦と行こうじゃないか」




