子曰く 道行われず、桴に乗りて海に浮かばん
「何はともあれ墜落先へ行かなくては……」
そして俺は走ろうとしたその時、後ろから鋭い殺意を感じる。
「お前は……」
そこには孔子本人が立っていた。墜落先から転移魔術でここまで来たのだろう。
「良くやってくれてな、影60万体分も焼き払うとは」
「これでお前の計画も終わりだ、孔子」
後はこいつをぶちのめすだけなのだ。負ける気はしない。背負ってるものが違う。
「これを見てもそう言えるかな」
そう孔子が言うと頭にビジョンが入ってきた。これは壁での戦闘の映像だ。
目の前に大きな壁が映し出される、あれが集合場所になっていた壁だろう。しかし様子がおかしい。
「なんだよこれ……」
壁の外は更地になっていた。そして立っているものは一人もいなかった。
影の巨人は前身する、もはや誰も障害にはならない。
壁の壁上を見渡しても誰も立っていなかった。数体の影の巨人に蹂躙されていた。
「壁を守る、人類最後の部隊は極一部を除いて全滅した。 いや君たち異世界人は元の世界にベイルアウトしたみたいだし、ゴキブリのようにしぶとく生き残ってるのも何人かいたが、まあそれはどうせ世界の滅亡と共に消える命だ」
「そんな馬鹿な……」
初めに倒されたのはレンカだった。弾切れになり攻撃手段の無くなった彼女は体に爆弾を付け特攻した。
壁上が影の龍に襲われたのを見たラパパッチはカエデを助けに行こうと向かうが、壁を登る最中にブレスに撃たれ死亡した。
壁上ではテトラが奮闘した。彼は自らかつて王国を滅ぼすために作った兵器その全てを余すとこなく利用し敵の侵攻を15分送らせ、カエデを初めとした数人の要人を逃がした。
「嘘だ嘘だ嘘だ」
また、王の死を目の当たりにしたレイジングとズキュエイマーはやることは決まっていた。彼は敵に突っ込み、カトモンとそれにお供していたカザンが逃げる時間を稼いだのだった。
王が死に残ったカエデを支えられるような人材は彼しかいないことを2人は分かっていたのだ。
武器を振り回し、武器が使えなくなると素手で戦いやがて倒れた。
すなわち、カエデ、カトモン、カザンの三人を除いて壁での戦闘部隊は壊滅した。
「嘘だ嘘だ嘘だ、あいつらが俺のクラスメイト達はどうしたんだ」
権能で銃を作り発砲する。孔子の体に命中するがそれも弾かれた。
「え……!?」
「これが答えだよ。 なぁに簡単な話だ、魔術と物理な効かなかった影の巨人をさらに権能が効かないように改造したのさ」
「そんな馬鹿な」
だとしたら俺のクラスメイト達は何も抵抗出来ずに蹂躙されたというのか?
「そしてこの私も権能は効かない、よってお前達に私を攻撃できる手段はない。 今までお疲れ様、八王子君、君はこの世界の滅びを眺めながらゆっくり休み給え」
そう言い孔子は姿を消した。
こちらへ少しの哀れみを向けて。
もう終わりだ。立ち向かえる手段はない。
魔術、物理、そして権能その全てを利用してもダメージを与えることが出来ないなんて……
俺は深く絶望していた。
そんな時後ろから声が聞こえる。
「昔からのお前の唯一の長所、それは諦めなかった事じゃないのか?」
誰だこの声は
「まあ私達は初対面なんだけども」
「はぁ!?」
人がこんなに落ち込んでる時にふざけたことを言うやつは誰だ。その顔を見ようと思い振り返るとそこには見たことのある男が立っていた。
「お前は…… 首の長い人」
そう、俺が初めて首都に来た時に見た首の長い人だ。どうしてこんなところに?
「ワシのこと知っていたのか? なら話は早いワシの名前は首永井頸一、この世界の元神にして、全てを置いて逃げ出したおおうつけじゃ」
なんだよそれ。
だが落ち込んでいて動けない俺はこの老人の話を聞くことにした。




