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異世界孔子伝 〜End Of The World?〜  作者: さいたまのそよかぜ
第2篇 修己治人 End Of The Worldの章
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子曰く 焉んぞ死を知らん

 顔回の死、八王子秀はそれを受け止められないでいた。


 事態は1時間程前に遡る。



「早くゲートを潜ってください」


 そう顔回は急かしていた、ゲートの中は大きく揺れ今にも崩れそうになっていたのだ。



「ちょっとこれ本当に大丈夫なのか?」


 そう質問するのはクラスメイトの東雲だ。

 確かにこんな様子を見せられたら誰でも疑問に思うだろう。


「はい、私の命がある限り最後まで保ち続けますので」


「顔回はまだ入らなくていいのか?」


 質問する。


「私がゲートに入ってしまうとこの世界とのリンクが保てなくなるので最後に入らせてもらいます」


「なるほどね」


 クラスメイトは続々と入っていく、そして最後の1人が入り終わった。


「さて、入るぞ顔回。 早く戦場へ行かないと」


「それなんですが、先輩」


「ん?」


「今までありがとうございました、あとは任せましたよ」


 そう言うと顔回は自分をゲートに押し出す。



「ちょっどういう事だ」







 そして今に至る。俺が目を覚ますと既にゲートは閉じられていた。



「なるほどね、おそらく彼女は行く前に死を覚悟していたのだろう」


「どういう事だよ」


「そもそも向こうの世界に気付かれないでゲートを開けるなんてはなっから出来ることではなかったんだよ」


「え」


「考えてみろ、向こうからしたら突然お腹に穴を開けられて中から血液を取り出されるようなものだ。 それは気付くし抵抗したくなる」


「つまり、彼女は初めから死ぬことを分かっていたんだよ」


 ワタリービの話は到底受け入れることが出来なかった。


「そんな嘘だ、約束したんだよ」


「先輩、ワタリービさんの言う通りです」


 顔回の声がして振り向くと、そこには顔回が立っていた。

 あれはホログラム?



「これは私の残留思念です、本体はすでに世界と世界の狭間に投げ出されてしまい今頃バラバラです」


「そんな……」


「ごめんなさい先輩お別れです。 でも気を落とさないで下さい、世界を救えるのはあなただけなんですから」


「無理だよ、俺になんてどうやって世界を……」


「先輩には既に権能を渡してあります」


 そう言い顔回は口を押える、もしや。


「そうです、先程のキスの時に権能を渡しました、と言っても一部ですが世界を救うには足るはずです」


「何だってぇ」


「さようなら私に名前をくれた人、そして私の愛しい人」


 そう言うと顔回のホログラムは消え去った。



「八王子君大丈夫かい」


「フハハ、フハハハハやってやろうじゃないか。 可愛い後輩のためのともらい合戦だ、まずはあの飛行船を撃ち落とす」


 痩せ我慢だった、しかしこうしていないと今にも涙が溢れそうだったのだ。


「その気になってくれたのか」


 そう言いワタリービは珠のようなものを取り出す。

 自分の腹から引き抜いて。



「グフっ」


「大丈夫ですか?」


「大丈夫なわけないだろう、だがあの飛行船を落とすにはこれしかない」


「これは確か……」


「ああ私の体内にある魔力炉だ。 影を一つでも地上へ落としてはならないのだから、一撃で全てを焼き払わねばならない」


「そのためにはこの火力しかないのだ」


 だがワタリービは確か自らに時間操作魔術をかけて今日まで生きてきたはずだ。


「そんなことしたらワタリービさん死んじゃうじゃないか」


 「いいんだ全てはこの日のための命、今ここに捧げよう。 八王子秀よ、権能で砲を作れ」


 「砲、ってことはこうすればいいんですか?」


 権能とは念じることだと言うことを思い出す。

 夢の中でエグゼクティブと戦った時の再来だ、砲台を出現させた。


 「凄い……」


 もしかして俺の想像力と権能、かなり凶悪な組み合わせじゃないのかな。



 「撃ち方はじめーーー」


 砲弾が発射された。







 孔子は飛行船の中でくつろいでいた。壁での戦線が拮抗しているが、もはや関係ない。この飛行船が着けばいいのだ。


 そう思った矢先、突如飛んできた飛翔体に飛行船は撃墜された。






 「やりましたよ、ワタリービさん」


 後ろを振り返るとそこにはワタリービはいなかった。


 「え……」


 足元を見るとそこには大量の砂が溜まっていた。砂は風で飛び散った。


 かくして四天王最古参ワタリービは死んだのだった。

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