ドキドキ!? 転校生は虹色インコ
一方、その頃ワタリービはカザンの治療をしていた。
「どうしてボクの治療をしてくれるの?」
カザンは問いただす。暗殺組織のトップである彼女にとって無条件に良いことをしてくれる人は今までいなかったのだ。
「昔仕えていた人間に君と同じ名前がいたんでね」
ワタリービは思い出していた、花山天皇のことを。
「全く別の人間なのは分かってるけどほっとけなくてね」
「ありがと」
カザンは恥ずかしそうにボソッと呟いた。
治療しながらワタリービは思う。
「こんな時に他のやつは何をしているのかね?」
四天王達はやることは決まっていた。任命されたその時から世界のために死ぬことは覚悟していたのだ。
ズキュエイマーは筋トレをしていた、レイジングはけん玉の糸を研いでいた、そしてカトモンは敵を倒すための策を最後で練ろうとしていた。
そしてシロは壁の外のとある山へ向かった。
「ここがセンダガ山、私のルーツ」
シロは孤児だった。親はいなかった、赤ん坊だった時この山に遠征に来た王国の兵士に発見されたのだ。
この世界全てを照らす王国の威光、それでも唯一照らすことが出来ないと言われているのがこの山だ。
険しい地形に数多くの魔獣、それらがこの山を前人未到の地にしていた。それゆえに生きられるわけが無いのだ、年端もいかぬ子供が。
王国の調査団はシロが獣人の子供だから魔獣は仲間意識を持って攻撃しなかったのだろうと結論付けた。しかし、それは違うとシロ本人が分かっていた。
魔獣が敵意を抱くのは人間だけでないと。
魔獣はマナを利用して生きる生物群である。それゆえにマナを使わないで生きる『正当な』進化の系譜で進化をした全ての動物に敵意を持つ。狼の獣人である自分が攻撃されないはずである。
よってシロは自分を育ててくれた誰かがこの山にいると想定した。そして、自分のルーツを確かめるためにこの山に来たわけである。
当然山も歓迎してくれるわけでない、多くの魔獣が押し寄せてくる。それを蹴散らしシロは山頂へ向かっていた。
八王子秀と顔回は光の中を歩んでいた。
「顔回、道が見えないよ」
「道は必要ないんです、先輩が思うことで道が開けます」
「つまり、行きたい座標と時間を浮かべればいいのか」
場所は決まってる学校、そして時間は始業式。この時間ならクラスメイト全員揃ってる、そして彼らを説得してこの世界へ転移させる。
「チャンスは1回だけなんだよな」
「はい」
目の前が光に包まれる、光が収まるとここは教室の前だった。
「着いたか」
思えば俺は夏休みの半からあの世界に飛ばされた。夏休みは半分しか味わえなかったのだ。
ドアを開ける。そこには驚愕な光景が広がっていた。
「俺死んでるやん」
自分の机の上に花瓶が置かれていた。そしてクラスメイト達はといえば
「お前生きてたのかよ」
「どこいってたんだ?」
「夏休みの間家出とはお前なかなかやるな」
皆好奇の目で詰め寄ってきた。
「えっえっーと顔回さん」
「先輩が始業式の日に戻ってしまったせいで、先輩が夏休み半ばからこの日まで世界から消えていたという事象が確定されたみたいです」
「そんなーーーーー」
大変な事になったぞ。しかし事態は一刻を争う。クラスメイトを説得しなければ。
かくして世界の命運をかけた一大交渉がスタートした。




