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異世界孔子伝 〜End Of The World?〜  作者: さいたまのそよかぜ
第2篇 修己治人 End Of The Worldの章
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子曰く 六十にして耳従う

「メイド、執事、そして兵士のことごとくを宝物運びに回せ」


 王は叫ぶ。



「そして、儂と四天王は外に出て調査だ」


「それがその……」


 シロは申しわけないなさそうに呟く。


「なんじゃ」


「今城にいる四天王は私とカトモンさんだけなんです」


 王は一瞬動揺するがすぐに平静を取り戻す。


「なんじゃと…… まあよい、カトモンはこういう時にうってつけだ。 すぐに偵察へ行かせろ、こちらもすぐ追いつく」


「はい」


 そう言いシロは部屋を出ていく。


 カトモンがいるのか。会ったことはないが話には聞いたことがある。四天王で唯一武力で選ばれなかった男、諜報や暗殺、潜入と言ったことで王の信を勝ち取った人間とも聞いている。



「さて、お主らはどうするか」


「偵察したいです」


「よかろう、お主らはまだ城の内部も完全にわかってないから邪魔になるだけだしのぉ」


 かくして、俺たちも外に出ることになった。



 廊下では慌ただしそうにしているメイドや執事とかなりすれ違う。

 大変な事になってるというのが伝わってきた。




 そして外に出ると、そこには黒いドーム状のようなものがこの城の周囲一帯を覆っていた。


「ふむ、これがアペイロンか。 初めて見る」


「報告書とかは無かったんですか?」


「アペイロンからの生存者は存在しないからのぉ……」


 今このおっさんサラッと衝撃的な事を言った。



「大丈夫なんですかそれ」


「うむ、ここには王国の精鋭兵やら四天王の2人やら戦力が充実しておる、万が一にも全滅することはないはずじゃ」


 アペイロンとは天災のようなものであるはずだ。いくら強くても人間にどうにかなるのか?


「先輩、ここら辺一体のマナ密度が低下しているのを感じます。 大魔法はほとんど行使できないかと」


 顔回がそこまで戦力として勘定できないということか。


「どうやらあのドーム状の何かが触れた空気からマナを奪っているようだの」


 王は刀を抜く、臨戦体制だ。とその時、奥から声が聞こえる。



「カトモン、シロ大丈夫か」


 黒い大きな影の巨人のようなものが奥で暴れている。カトモンとシロは孤軍奮闘していた。


「王よ、ここは危険です」


 カトモンが警告する。その時


「高級雷魔術ライトニング・エグゼキュージョン」


 顔回が魔術を発射、巨人の頭部にクリーンヒットする。


「やったか……!?」


「いえどういうわけが知りませんが、全てのマナが吸収されました。 ノーダメです」


 あの影の巨人もドームのようにマナを吸収する力があるのだろうか。



「物理で殴ってはダメだ」


 カトモンが警告する。どういう事なのか。



「あの影に触ったら最後その全てが飲み込まれる。 さっきまで何人ものメイドや執事が飲み込まれてきた」


 なっ…… 触れない魔法が使えないならどうやって倒すのか。というかこれは人の手に倒せるものなのか?


 影の巨人はこちらに近づいてくる。



「えいやっ」


 シロが地面を砕き、岩盤を巨人に投げつける。少し後退するがやがてそれも取り込まれてしまった。


「どうやら魔術は全く効かないけど物理なら、少しダメージが入るらしいです」


 シロは得意げに語る。とはいえ、物理攻撃を遠距離でやらなくちゃならないとなると近代兵器がないこの国では限度があるだろう。



 と、その時矢が飛翔し巨人の膝に突き刺さる。


 振り返るとそこにはカエデがいた。


「父様達大丈夫?」


 巨人は一瞬よろめいたが影響のない。



「このままじゃジリ貧だ」


 カトモンが叫ぶ。


 カトモンは疲労していた。当たり前だ、さっきからカトモンは攻撃のほとんどを引き受け、その全てを回避していたのだ。


 カトモンは攻撃を一つ回避する度に持っているダガーナイフで2発影の巨人に攻撃している。しかし、ダメージが入らないどころかダガーナイフが影に吸収されていってる。


「攻撃の回避には四天王で一番自信のある俺だがそろそろ限界だ。 防戦一方では確実に負ける」


「そんなこと言っても……」


 後ろを振り返る。既に家財道具や財宝を運びえたのか大きなリアカーを持ったメイドや執事、兵士達が集まっていた。



「もしあの体がマナを吸収しているというのなら

吸収限界を上回る魔術をぶつければ、あるいは……」


 ボソッと呟く。それを顔回は逃さなかった。


「それですよ先輩、おそらくこのドームの中では一回しか撃てませんが」


「いきます。 最上位雷魔術ビリビリドーン」


 初めて出会った時に使っていた大技だ。それを惜しげもなく顔回は使った。


 発射された雷により巨人の周りは爆炎ができ、煙で何も見えなくなる。



「うそ……」


 煙の中から出てきたのは無傷の巨人だった。


 巨人は全力疾走してくる。



「このままじゃ全滅だ」


 振り返るとそこにはさっきまでいたメイド達が誰もいなくなっていた。


「みんないなくなってます」


 顔回が叫ぶ、他の面々も気付いたようで皆驚愕している。


「逃げるぞ」


 王が叫んだその時



「動かないで」


 どこからともなく声が聞こえる。幻覚なのか?周りを見ると他のメンツにも聞こえているようだ。


「馬鹿いえ目の前から巨人が近づいてきているんだぞ」


 カトモンが叫ぶ。


「どうせ逃げても死ぬんだ、声に従うぞ」


 それに対して王は言った。

 こうして俺たちは動かないでいた。すると目の前から巨人が突っ込んできた。視界が暗転する。






「ここは……」


 目を覚ますと自分達がどこかドームの外にいることに気付いた。


 周りを見ると王やシロ、カトモン、それにメイド達全員が揃っている。助かったのか?


「これは高位の転移魔術? それもあのマナがない空間の中で……?」


 隣で顔回は訝しんでいる。


 すると人混みの奥から兵士がやって来る。兵士は言った。


「先程の報告によると複数の村にて同時にアペイロンが発生、国の西部において20を越える村が全滅しました」

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