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異世界孔子伝 〜End Of The World?〜  作者: さいたまのそよかぜ
第2篇 故事成語の章
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千万人と雖も吾往かん

 これは八王子秀が異世界へ行く10年ほど前の話。



 「今日がその日か、任務の遂行には滞りなし」


 血気盛んなこの男はパララ・リラリラ・ラパパッチ、当時50才だ。



 先代四天王、龍飼いのゲリーが死去して以来、空席だった席が遂に募集されることとなったのだ。


 周りを見ると国中から血気盛んな若者が集まっている、名も知られた男も多い。


 しかしこの中でも一番有名なのはやはり目の前にいる男、キョクボーだろう。

 千人殺しのキョクボー、男はそう呼ばれていた。


 それは千人同時に相手にできるだとか、千人を殺してきたとかそういう理由ではない。

 彼はただ千人の戦士を再起不能にしたのだ。


 精神破壊の呪詛、今ではもう廃れてしまったそれを彼は完璧にマスターしていた。

 そして、相手のミスに合わせて心を折っていくという戦闘スタイルを確立していたのだ。



 兵士長が笛を鳴らす、開戦の合図だ。ルールは簡単、フィールドはこの城の指定された領域全て、最後まで立っていた1人が四天王の4席になれる。



 どんな手を使ってもいい、ただし殺すまではしないでというのが兵士長の説明だった。



 開幕当初、20人もの男がキョクボー狩りにむらがる。キョクボーはよっぽど色んな人から恨まれてるらしい。

 キョクボーは叫ぶ。こんな大人数で襲いかかってきて恥ずかしくないの、と。


 6人程の男が脱落する、皆地面に倒れ込みうずくまっている。おそらく、キョクボーの煽りに耐えきれず精神が崩壊したのだろう。

 間抜けな絵面だがこれが精神破壊の呪詛だ。まあ数日したら回復するはずだ。


 キョクボーは敵の攻撃をかわしながら、こんな攻撃当てられないとかお前マジヤバいよと煽りを入れていく。

 すっかり全員の注目の的だ。それでいい彼には目立ってもらえれば俺がやりやすくなる。


 俺の目的は四天王の座でも、ましてやキョクボーの命でもない。


 そう、第一王女カエデ、彼女の命だ。



 テヌグイ・マッセマッターそれが俺の入ってる組織だ、そこでは国家の転覆を狙っており、四天王募集のこの日城が開かれのを待っていたのだ。


 しかもだ、王と四天王その他多くの兵士が隣国に出陣してるとらしい、まさに願ったり叶ったりだ。



 そろそろフィールドの外に出る、城の中の王族の居住区はフィールド外となっているのだ、衛兵2人が静止に来る。


 「ここから先は立ち入り禁止となってます」



 刀を抜き、1人に詰め寄りそして首を切り落とす。その間僅か0.3秒、殺された衛兵も何されたか分からないだろう。そして、もう一人の男に速攻で切りかかる、そして殺害すると荷物を漁った。


 これでカエデの寝室までたどり着けるだろう。



 衛兵の荷物に地図が入っていたため難なく寝室の前にたどり着く。


 とその時、後ろを振り返ると男が立っていた。彼は……兵士長。



 「逆賊よ、よくここまで来れたものだ」


 先程の説明の時とは違う、明白な敵対者に対する態度を取っている。



 会話の必要はない、雄叫びを上げさっそく切りかかる。

 が、そこは歴戦の兵士長、なんなく刀で受け止める。


 そして、鍔迫り合いが始まった。


 初めは兵士長が有利だった。だが、経験ではこちらも負けていない。次第次第に間を詰めていく。


 そして、刀を突き刺した。兵士長は倒れる。


 「やったか……」


 とその時、左足に鈍い痛みが走る、そこには刀が刺さっていた。

 おそらく、兵士長は最後の力を振り絞ったのだろう。



 思わずドアへ倒れ込む。

 部屋へ入ってしまう。



 そしてその中には、目の前に幼女が1人立っていた。彼女がカエデか。


 「まあ大変どうしたんですかそのお怪我」


 カエデはこちらを不安そうに見つめている。


 「今すぐお母様を呼んで参りますわ」


 「それだけは止めてくれ」


 ここで傷がある状態で他の人間を呼ばれたら命の危機だ。それに倒れている兵士長を見ることになるだろう。



 「では私が治療しますわ」


 そう言うとカエデは俺の治療を始めた。

 そして応急手当が終わると



 「これで大丈夫ですわ」


 そういい一息ついた。



 カエデが今ここで簡単に殺せる状況にいる。なのに刀を抜けなかった。


 思えば俺は女の子の子を殺したことなかった、それに加え怪我を治してもらったのだ。情が移ったのだろう。



 葛藤をしていたそんな時、ドアが開く。そこにはネロットが立っていた。

 迅風のネロット、組織のトップ3の男だ、彼も来ていたのか。



 「よくやったな新入り、ここでこの女を殺せばお前は晴れて最高幹部の仲間入りだぜ」


 そう言っているが、しかし刀がなかなか抜けない、葛藤は尽きない。


 「早く切れよ」「こいつを殺せば幹部なんだぜ」


 催促をしてくる、いい加減イライラしてきた。



 「知ってるんだよ」


 そう言い刀を抜く、そして切り落とす。




 ネロットの方を。

 ムカついたのだ、こいつは弱いくせに幹部だし愚痴愚痴不満ばかり言うし。


 切り終わってから大変なことをしでかしたと気付いた。


 騒ぎを聞きつけて女の人が入ってくる、彼女が王の妻なのか。また、周りには何人もの屈曲な兵士がいた。


 「詰んだか」


 死を覚悟した。





 その夜、王城ではパーティが開かれた。

 新四天王レイジング・インパクトの就任式そして、

 王女を刺客から守った恩人への表彰だった。




 どうやら、兵士長そして切られた衛兵達の死体はネロットが殺したものとして処理されたらしい、さらに俺はどういうわけか刺客の存在に気付き、ペナルティを覚悟しフィールド外に飛び出し刺客を討ち果たした恩人となっていた。




 「今日からラパパッチさん、あなたはカエデ王女直属の執事に任命します」


 どうやらここで働くことになりそうだ、まあ結果オーライだろう。





 「というわけで私はカエデ様に使えることになったのです」


 「すげぇーーー」



 ここは王城の談話室だ。暇だったからラパパッチさんに話を聞きに来たわけだが、初めは若い時のカエデの可愛らしいエピソードを話していた。そして、エスカレートし今に至る。


 「この話は異世界人であるからあなたに話したわけで、他の人には秘密ですよ」


 八王子秀は驚いていた。だって、今ではこんな物腰の柔らかいとお爺さんが十年前まではそんな血気盛んで、一人称が俺のおっさんだったのだ。


 「お転婆なカエデ様の世話をしていたら老けてしまいまして」


 なるほど、先程のカエデの幼少期のエピソードを聞けば納得できる。



 と、その時ドアを開け誰かが入ってくる。


 カエデだ。


 「ちょっと待ってラパパッチ、まさか私はの恥ずかしいエピソードを喋ったんじゃないでしょうね」


 カエデの顔を見ると、思い出し笑いをしてしまう。



 「やっぱり話したわけね」



 烈火の如く怒り出すカエデを他所にラパパッチは切り出す。


 「では私がカエデ様の命を狙って組織が作り出した1千万体のミュータント軍団と戦った話をしますかね」


 「聞かせてください」



 かくして異世界の夜は更けていった。

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