第一話【出港用意】
海洋術科総合学校のクラス替えは年に二回行われるが4月に
行われるのが大移動であるため移動が大変なのである。
「よっ佐々部」
「なんだ、お前か」
「そういう反応するなよ」
肩をたたきながら声を掛けられ振り返ると、
一年の頃同じクラスだった神坂が
(お前元気にしてるか?)と言わんとばかりの表情で
見ていたがあきれ半分で返事をした。
その返事に少し不満を持っていそうな顔をしていた。
「そういえばお前、クラス表のやつ見たか?」
「いや.....まだ見てなかったな」
「なら一緒に見に行こうぜ」
「しかたねぇな」
佐々部と神坂はクラス表が張ってある二階の中央に向かっていった。
そこには大勢の学生が居た。
ぱっと見数百人は居ると思われるところに次々と向かってくるため
大混乱になっていた。
「ちょっ....と....ちょっとどいて」
「佐々部早くこいよ」
「え....もう少し....待ってくれても」
「人が多いからちゃっちゃと見るぞ」
「はいはい、わかりましたよ」
普通のクラスではA組や1組のが一般的なのだが、
なんとなく混乱が起きているのも納得できることが
書いてあった。
「なぁ佐々部、なんだこれ」
「各航洋練習艦 乗員一覧表って書いてあるよな」
「そりゃ〜見たらわかるよ」
「んで、俺たちはどこに居るんだよ」
「えっと、航洋練習艦....「峰風」だね」
「まじあの旧型なのか〜なんかいやだな」
「まぁまぁそんなことは言わなで移動しよ」
乗員一覧表に記載されてあった人数は千人を超える
数であったため各場所に分散させていたためたまたま運がよく
人が少ない場所にあった。
その後、教室ではなく実際は峰風の甲板に全員集合という
形をとる異例なことが起きていた。
それは伝統なのか、そうではないのかまだわからない
「でかいよな〜近くで見ると」
「そりゃ〜この学校にある艦船でトップ3に入るんだから
でかいのは当たり前だと思うけど」
「そんなピリピリするなって 早く乗りこもうぜ」
「ほいほい」
学生の流れに反して移動して目的の艦の搭乗する場所に、
近づき改めて見上げるとビル何階建てか?と思うほど
とても高くて立派な船であった
甲板にいざ立ってみるとまたもや数百人もいる学生が居たがその場所は
離れることを決め後部甲板で艦内放送を聞く形で立っていた
「この話は、艦内に居るすべての者たちに聞こえる。
君たちにはこの艦ですばらしいものを手に入れてほしい
すばらしいものは多く存在するが自分が求めているものを探してもらいたい」
理事の話を長々と聞かされグッタリとしているのが増えたときに話を
終えた。そのことに心の中で喜んだ
「しばらくこの艦を使わしてもらった前艦長だ。この際
俺の後継となる、艦長及び副長の発表をする」
発表と聞こえた瞬間に甲板の空気が一気に冷たくなった
下を向きながら誰の名前か聞いていた
「艦長!佐々部隆太 副長! 藤井かなえ 以上解散」
艦長と副長の発表の後の解散の合図によりバラバラになって、
自分の場所へと移動をはじめ艦の幹部となった学生は艦橋の
会議室に集まった
「いいよな佐々部は艦長で」
「いやいやお前だって砲雷長の役職に就けたんだからいいじゃなか?」
「俺だって艦長にかりたかったから.....」
「何か言ったか?」
「いや、別に」
「なんか前から走ってくる人居るんですけど」
「あぁそうだな」
「あっ艦長!おはつ〜」
「というかきみ誰?」
「ちょっと言い遅れました。機関長の小野徹也ですので〜〜
俺はちょっと機関室に急いでいるのでそれでは〜」
「あいつテンション高くないか?」
「まぁ気にするなって」
佐々部と神坂が艦内を歩いていると前方から走ってきた小野が
目の前に立ちそのまま立ち去っていった。
それを見ていた二人は見てないふりをして艦橋へ上った
「全員そろっているか」
「はい!」
「自己紹介は後でしよう、まずは出港準備だ」
「全員配置についています 艦長」
「艦長ではなくて気軽に佐々部と呼んでくれ
いいなみんな」
「わかった」「はいはい」「了解」
「準備に取り掛かれ、気を引き締めてな」
佐々部の合図とともに艦橋にいる班長が返事を行い出港準備に
取り掛かっていった
「錨をあげ〜」
「錨をあげぇぇぇ」
艦長が言った後に船務長が復唱して言った
「ラッパ用意」
「出航用意!」
艦長が言った後マイクの近くにラッパ員が配置した
パパラパ、パパラパ、パパラパララッパラ〜
出航ラッパが吹奏された
艦内マイクで
「しゅっこうよ―――――いっ」
それに続いて砲雷長が
「一番離せ〜」
見張り員が岸壁に向かって手先信号を使って
「舫離せ〜」
岸壁からある程度はなれた後艦長から
「行進の機械を使う。両舷前進微速」
「これより本艦は海洋160kmへ向かう」
「この後は航海長に操作を任せる」
「受け取りました」
峰風は岸壁から離れ汽笛を鳴らして出航をした
出航から4時間半たった14:24
海洋160km目標まで後20km
「艦長、目的地まで後20kmです」
「後何分ぐらいで到着? 航海長」
「えっとですね、後20分ほどですね」
「ほうほう、了解」
艦橋にて最後の確認が行われた
「今日の天気あたりじゃありませんか」
「俺たち外の天気とか見えないくせに」
「あはは、バレテシマイマスカ」
「俺の隣に居るくせに何考えてるんだよ」
「別に何も」
第二艦橋では電子関係の操作をしている者たちが
外の天気の動向を楽しみにしていた
「レーダーとかホント役に立つんですかね」
「ぐちぐち言わずになんとかしなさい!」
「え〜そんなコトイッテモデスネ」
「見張りなんてホント暇なんだからな」
「なんかなんかすみません」
「のどかな艦隊ですよね。敵とか来たら面白いのに」
「やめろ!それフラグや!」
相変わらず初対面なのに会話に弾みがあるものたちであった
「艦長、さっきから気になっているんですがその服はいったい?」
「あぁこれ?実はね「海軍のものを少しアレンジした」ただそれだけ」
「はあ、そうだったんですか なんか.....納得しました」
「まぁそれはそれで考えておこうな」
「はっはい」
平凡な会話だから何か詰まっている空気がさまよっていた
「第二艦橋から艦橋!」
「なんだね、こんな時に」
艦内通信の音が鳴り通信機のを取ると焦っている声が聞こえた
「レーダーに艦が......」
「俺たちの艦隊のだろ」
「いいえ我々の艦隊のではありません」
「は? いったい何を.....」
「国籍不明艦がレーダーに映りこみました!」