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《全面改稿中》リーンカーネイション・オブ・ダイアリー  作者: 古石セツナ
第一章 『召喚』
8/71

⒍ お困りの人々

 どうも、古石です。


 執筆中にクロアシナガバチが降臨しました。その時、古石は静かに部屋を出ました。そして叫びました。ホイットニー・ヒューストンばりに叫びました。

虫全般を苦手とする私にはつらいものだした(泣)。

 

 それでは、どうぞ!

==== side == アリーフィアス・(レイシャル)・バシウス ====



 ウィザードワイバーンが地に沈んでからしばらくがたった。

 初めの頃、奴は明らかに苦しそうにしながらも、尻尾の先を動かしたり両足を震わせながらも立ち上がろうとしていていた。けれどもついに、少年が張ったと思われる透明な箱には勝つことが出来なかった。

 アタシの周りにある壁とウィザードワイバーンの顔にあった箱が、消失してゆく。

 戦闘は、終了したのだ。


(アタシ……生きてる…………)

 

 アタシは生き残った。あの絶望的な状況から生還したのだ。

 しかもそれだけじゃない。ウィザードワイバーンによって体中に付けられた擦り傷、打撲、切り傷、骨折が一つ残らず嘘のように完治してしまった。自分の手足の傷がみるみる治っていくのを目の当たりにして、夢でも見ているのではないか。とか、すでに死んでしまったのではないか。なんて思った。

 でも、夢じゃないはずだ……。

 頬をつねってみると普通に痛いし、



【アリーフィアス・(レイシャル)・バシウス】

種族…ハイエルフ

LV. 199

H P:   54/18690

M P:   23/58500

攻撃力:24630

防御力:12460

精神力:48600

瞬発力:33680


 〔アビリティー〕・慧眼       ・精霊の友

         ・魔法士の覇者   ・剣士の覇者

         ・魔法剣士の匠   ・起死回生



 魔法を使って消費されたMPは底を尽きかけたままだから。

 


 あら? ……防御力と精神力と瞬発力が大幅に増えている。


(あ。〝魔法剣士の才覚〟が〝魔法剣士の匠〟になったんだわ……)


 アビリティーは魔法剣士がグレードアップ(レベルアップ時の補正がかかる)しただけじゃなくて、〝起死回生〟という新しいアビリティーを獲得していた。

 でもアタシは〝起死回生〟なんてアビリティー、聞いたことがなかった。



【起死回生】

 〝背水〟の上位互換アビリティー。

 HPが二十パーセント以下になった時に発動可能。HP・MPが六十パーセントまで回復し、状態異常も回復する。加え、攻撃力・防御力・精神力・瞬発力が五十パーセント増加する。ただし、この効果は五分間しか継続しない。

 〝起死回生〟は二十四時間に一度のみ発動が可能。



「すごく、強い…………!」


 アタシはこのアビリティーでHPは1705.8まで――――小数点以下は表示されないけれども――――、MPはまで回復することになる。祈祷士が使う回復魔法、《ハイヒール》の回復量が最大1500だった気がする。MPにいたっては自然回復を除けばアイテムでしか回復出来ない。

 どうやらアタシはとてつもないアビリティーを獲得してしまったらしい。


(……絶対に他に人には黙っておこう…………)


「ヤベぇな、その〝起死回生〟ってやつ」


「………………、……………………えっ?」


 一瞬にしてばれてしまった。

 アタシのアビリティーを看破してのは言わずもがな、助けてくれた灰色の髪の少年だった。危険度Sランクのモンスターを圧倒するようなお化け……、つまり彼は、今は誰も持っていないRランク以上の実力をそなえているということになる。


驚愕過ぎるそんな事実をつきつけられて常識の感覚が麻痺してしまったらしい(落ち着くなり日を跨ぐなりすれば元に戻ると思う)。だからか、アビリティーを看破というイレギュラーでも先刻ほどのショックは受けなかった。 

 

 少年はこちらに向かって歩きながら、その漆黒の瞳で真っ直ぐにアタシを見ていた。

 アタシは、助けてもらったお礼を言おうとして慌てて立ち上がった。


「あ、あにょ!」


 かかか、噛んだぁ……! 

 ああっ、すっごい恥ずかしいっっっ! 顔から火が出ちゃいそう……!!

 

 少年はアタシが言葉を噛んだことにまるで気付いていない素振りをしてくれている。

 ……し、紳士だわ…………。

 

「一つ、頼みがあるんだが」


「は、はひ」


 ……………………もう、ヤダ……。


「あのワイバーンは、いきなりもがきだして、そのまま死んだ。――――いいな?」


「――――――――」


 コクコクコク


 公表しようとしないなんて……! なんて謙虚なの!


「それから、オレをアリーフィアスんとこで匿ってくれ。医者の類は絶対にやめろよ」


 あう……、名前までばれてる。プライバシーって一体何だっけ……。

 ああ、でもそんなことより、今は!


「匿うって、どういうことで――――」



 ドサっ



「――――!?? ぅふええ?? ど、どうしたんですか! 大丈夫ですか!?」


 言うやいなや、突然少年は倒れた。

 肩を叩いたり揺すったりしても反応はない。アタシは慌てた。慌てたけど、こんな時こそ落ち着かなくてはならない。そう自分に言い聞かせて無理やりに落ち着いた。

 やがて、ただ眠っているだけなんだと分かった。

 なぜ分かったか。

 それは、アタシが〝慧眼〟を使ったから。



【ヤトミネ・チアキ】 

LV.241

HP :100%

MP :  0%



 少年――――ヤトミネ君は、魔力枯渇で倒れたんだ。

 

 そっか。Sランクモンスターを一回で葬る魔法がMP消費量、莫大じゃないわけないものね。今だから思えたけど、都市に逃げ込んできたのもその魔法を使うのにかなりの時間と集中力が必要だったからに違いない。でなければ、あっちの野原で戦えたはずだもの。

 お化け戦闘力かと思ったけど、そうでもないみたいだ。よかった。




        ◇ ◇ ◇




 一日目。

同学年次席のグラウダ・ジオーラウが倒された。なんでも態度が生意気だとか言って殴りかかったところ、あっさり躱されてお腹にパンチをもらったらしい。グラウダは格闘術の達人だ。教授騎士たちを相手にしても互角に渡り合える実力を持っている。それを一撃で倒したのだから、彼女は相当な達人であるということになる。ボクは格闘技が苦手だから、彼女と模擬線をすることになってしまったら相手に触れるのは禁止のルールを設けてほしいものだ。もちろん、ルールなしでも近づかせる気は全くないけどね。

 

 二日目。

 無属性魔法科騎士教授が倒された。あ、いや。倒されたといういい方は少し違うかもしれない。座学中に睡眠をしていた彼女に教授騎士はいい加減にしろ、と、体を麻痺させる魔法の《パラライズ》を放ったんだけど。彼女に当たった瞬間、威力が跳ね上がって教授騎士に跳ね返ったんだ。ひそかにトイレを我慢していた教授騎士が威力の高い《パラライズ》を食らってどうなったかはご想像にお任せするよ。ボクは自分の席が一番上(後ろ)で良かったとあれほどまでに思ったことはないね。それから、見事に最後まで目を覚まさなかった彼女をある意味で尊敬するよ。でももしかしたら、まだ小さいからお昼寝しないと体がホントに持たないのかも。


 三日目。

 彼女は学院に来なかった。どうやら不登校になりかけ始めたようだ。

 よく図書館にいるのをみかけるけれど。




        ◇ ◇ ◇




「――ょ――――」


(ん、んん……)


「おじ――――――ん」


「………………ん、」


「おじょーちゃん!」


「はっ、アテネさま!?」


「…………おじょーちゃん、オレっちに『アテネ様』はアテネ様に対する侮辱になっちまうぜぃ」


「…………あなたは誰ですか?」


「誰って。オレっちはここ、西門の門兵だぜぃ」


「門兵さん? 嘘ですね。門兵の人たちはウィザードワイバーンに殺されていしまったハズです。エルフの人は知りませんが」


「オレっちは、ワイバーンが強襲してきてすぐに騎士団に救援を出すように言いに行ったんだ。でも、別に仕事があって今は誰もいけないって言われてすごすご戻ってきたんだぜ。それと、エルフじゃなくてハイエルフだぜ、その女。オレっち、戻ってきたらワイバーンも含めて死体しかない上に、そのハイエロフがいなくて絶賛困り果て中だぜ」


「………――――?」


「おう? おじょーちゃん、どうしたんだぜぃ」


「いない…………」


 うるうる


「親とはぐれちまったのか? ならオレっちが一緒に探してやるぜぃ?」


「うぅ…………チア゛ギざま~~~~!!!」


 だぁ――――


「うぇ――――!? ほ、ほぉらおじょーちゃんアメ玉だぜえぃ!」


 パシっ コロコロ がりッ ごっくん――――


「速ッ!!?」


「ふうぅぅぅぇぇええええええええっっっ!!!!」



「災難だぜ――――――――――――――――!?」



 

 


=1=



 ニケは泣き虫ですね。信頼できる人がすぐ近くにいればそうでもないらしいですが。

 あ、それからその男。チアキの言葉とは違って逃げたわけではありませんでしたね。しかもちょっといい人でした。

 古石もいい人でありたいと思っています。

 

 感想を頂けますと嬉しいです。誤字かな? と思えわれましたら遠慮なくお願いします。


 夏バテの症状が如実に表れ始めた今日この頃…………。

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