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《全面改稿中》リーンカーネイション・オブ・ダイアリー  作者: 古石セツナ
第二章 『アイオライト騎士学院 ~上~ 』
17/71

⒊ 訪問、伯爵家

 どうも、古石 セツナです。


 活動報告通り、何とか今日に投稿することが出来ました。

 疲れからか、コメントが湧いてきません!


 それでは、どうぞ!

 ――――寝ていてくれて良かった。


 そう、夜十峰(やとみね)千暁(ちあき)思った。


 傍観の責任を感じて少女を背負ったはいいが、なにぶん千暁は道に迷っていた身分である。案の定、あの階層で二回も同じ道を通ってしまった。

 颯爽と背負って道に迷う。……最悪だ。

 それに、少女の傷を治すときに使った〝イサナミ〟の回復結界は……、というか、〝イサナミ〟自体はなるべく隠しておきたかったので、本当に助かったのだ。

 ステータスについては問題ない。

 アテネに〝情報偽装〟というステータスを好きなだけ低くいじくれる能力アビリティーではないを貰ったから。これで、〝慧眼〟、〝心眼〟対策はバッチリだ。ちなみに、〝神眼〟で見られた時は本物のステータスが露呈してしまうようだ。残念!


「あっ。……剣置いてきちまったなぁ。モンスターの魔核石の回収もしてねーじゃん」


 魔核石とは、言わば魔物の心臓である。中に魔力が詰まっていて、その魔力は各魔物の種類で大体固定されている。火を熾したり、湯を沸かしたり、部屋を冷やしたりで人々の生活に欠かせないこの魔核石は、常に需要が高い生活室所品である。

 それに、クエストの完了をギルドなどが確認するためにも必要だ。

 例えば、ゴブリンの討伐クエストがあったとする。冒険者たちは指定された数のゴブリンを狩る。そして、ギルドにゴブリンから獲った魔核石をカウンターに持ち寄って、〝鑑定〟で見てもらう。すると、ギルド職員が使った〝鑑定〟には『ゴブリンの魔核石』と出るのである。

 ちなみに、ギルどの職員のほとんどはこの〝鑑定〟のアビリティーを持っている。

 入社資格と思ってもいいかもしれない。


 千暁が、なんとかパラス迷宮を出て迷宮の出入口から徒歩二分の所に建っているパラス迷宮支店冒険者ギルドに到着した頃にはもう日がかなり傾いていた。

 背負っている少女はまだ起きない。


「ど、どどどどうしたんですかヤトミネ様!?」


ギルドに入った直後、千暁と千暁の背中ですぅすぅと眠っている少女を目にした受け付け嬢がカウンターから出て詰め寄ってきた。

名前を呼ばれて怪訝に思ったが、その受け付け嬢は朝迷宮に入る前、初潜伏の千暁にあれこれ世話を焼いてくれた受け付け嬢と同一人物だった。

 それにしても凄い慌て様である。

 心配性なのだろうか。


「何だ?」


「何だって、ヤトミネ様! 伯爵家ご令嬢が担がれてきたのですよ? どうして平常でいられましょうか!?」


 伯爵、と言えば貴族の中で三番目に地位の高い階級ではなかっただろうか。


「ほー。いいとこのお嬢様が単身、迷宮で何やってんだか」


 ……そんな反応でいいのか、平民千暁。


「と、ともかくこちらにいらして下さいっ」


「――――落ち着けよ。

 よく見ろ。怪我一つ負ってないだろうが。

 てかアンタ、この女の家分かるか?」


「この女!? 不敬罪で首を飛ばされますよ!? 運良く今はこの場に私とヤトミネ様しかいませんが、絶対に大衆の中でそのような発言は控えてくださいね!?」


「いやいいから。質問に答えろよ」


「なっ……………………!」


 結局、千暁が興奮した受け付け嬢から少女の家の場所を教えてもらうことが出来たのは、それから十分後の出来事だった。




        ◇ ◇ ◇




==== side == クラリス・(シール)・ファイサリス ====



 目が覚めた。

 すぐに目に入ってきたのは、自分の家のだった。

 自分の足で帰ってきた記憶はない。

 

 マッドネスドックと戦って…………、よく分からないけど、全滅させることに成功した。そのあと、…………あの灰色の髪の少年におんぶさせて……、…………睡魔に襲われたんだっけ。


 結論。

 ボクは、どうやらあの少年に屋敷まで運んできてもらってしまったようだ。

 首をちょっと傾けると父上と少年が、ボクのすぐ横で会話をしているのが見えた。


「今食事を準備させてる。その間にヤトミネ殿は風呂にでも入って来ると良い。

 それから、剣は弁償させてくれ」


「いえ、せっかくですが自分は帰らせて頂きます。

 剣はオレの不注意ですので、お構いなく」


 え? 帰っちゃうの? ていうか、貴族側から言い出した奉仕を断るのって無礼なことだよ!?



「恩を着せそう、っというわけではないのだがなぁ。…………貴族に口頭上でそんなこと言われても信用できないか。

 分かった。なら、せめて門まで(わし)が送ろう」


「いえ、ホントに結構で――――――――」


 よく分からないけど、なんか寂しい感じがした。

 自分でもとても驚いた。



「いかないで! お風呂入ってって! 夕ご飯も食べて行ってよ! 迷惑じゃなかったら今日は泊まってって!」



 ボクは気付いたら彼を引き留めていた。


「ぬぅ!?」


「アンタ、……起きてたのか」


「ねっ? 泊まってって?

 ――――――いいでしょ!? 父上!!」


「あ、ああっ。勿論儂は構わない」


 儂はって父上の家でしょ!!



「はぁ…………(詰んだな、こりゃ)。

 じゃあ、お言葉に甘えさせて頂きたく思います」



 恥ずかしさと引き換えに、ボクは少年を引き留めることに成功した。

 勢いがなかったら無理だったと思うよ……。 




        ◇ ◇ ◇





「では何だ、娘が聞いたという自分の体に魔物の牙が食い込んだ音は、実はヤトミネ殿が投擲した(つるぎ)に魔物が串刺しにされた音だったのか!?」



「うっ、うぅ……っ」


「そうみたいだな」


「く、くっ、くククk……!

 クハハハハハハハハハハハハハハハハ――――――――ッ!!」


「ち、父上ぇ!」


「それよりこれうまいな」


 夕食後の茶の席で、伯爵が爆笑していた。

 顔を赤くしたクラリスが諌めてはいるが、効果の有無はご覧の通りである。


「いやー、笑った。こんなに笑ったのは久方(ひさかた)ぶりだ。ヤトミネ殿は語り上手であるな」 


「笑いすぎさぁ! ボクの身にもなってよ!」


「そう言われると、悪い気はしないな」


千暁はそう言ってカップを傾けた。

 一見、微笑みながら会話に花を咲かせているように見える千暁だが…………その薄皮一枚の下に隠れた本当の表情は、かなり苦いものであった。


 この屋敷に入ってからというもの、千暁にはずっと気になっていた事があった。


 それは――――――詮索をされない、ということである。


 伯爵とクラリスは、千暁個人の事について探りを入れて来ないのだ。

腕を噛まれて怪我をしたクラリスは、まるで怪我など無かったかの様に傷が癒えている事に関して、千暁に質問すらしないのだ。

アリーフィアス曰く。痕が残らずに綺麗に治るというのは、(奇跡的なものを覗き)減ったHPを一度で完全に回復させたという事らしい。そして、そんな事が出来るのは、ただでさえ数が少ない治癒士のほんの一握りだそうだ。そういった稀少な逸材は、力のある組織に取り込まれるのが世の流れだ。


 具体的には、――――――千暁がどこかの王族や貴族などのお(かか)えであり、この伯爵家を探りにきた、……などと考えていいはずなのである。


クラリスの服の右腕部分には、歯形の穴が空いていたし、彼女自信の血に関しては決して少なくない量が付着していた。


 千暁は、バランスの関係で、クラリスの両腕を前にだらりとさせて背負っていた。 言わずもがな、血に染まったボロボロ右袖は目立った。

 見知らぬ男に、眠った状態で背負われて帰宅した娘。


 伯爵は確実にクラリスの右袖を認識していたハズだ。千暁は、ポーカーフェイスに努めていた伯爵の目が動揺でブレる瞬間をしっかりと捉えていたのである。


(頭を打った影響で)記憶がありません。――――――などといった戯れ言では片付けられないハズなのだ。クラリスも、伯爵も。そして千暁も。


 ……。

 …………。

 ……………………。


考えても、答えは出てこなかった。



「――――――――ヤトミネ殿は、娘の部屋で眠ってくれ」


「ちょっ、父上!?」



 ……。

 …………。

 ……………………。




(…………………………………………………………………………………………は?)








=13=



古石「ニケは…………、次の次くらいかなぁ」


ロンバルディ「ニケ、――――いえ、ニルケさんと言えば、最近実技の成績がよくなってきたんですよ。やっぱり若い人は違いますね」


古石「あ、それは千暁の神格から力が供給されて衰弱の度合いが軽くなってきたからですよ。と言っても今多分87%マイナス位だと思いますけど」


ロンバルディ「は? 衰弱、ですか?」


古石「分からないならいいです。はい」



  感想を貰えると嬉しいです。ペコリ。



 祖母が異様にスイカを食べさせたがる今日この頃…………。

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