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《全面改稿中》リーンカーネイション・オブ・ダイアリー  作者: 古石セツナ
第二章 『アイオライト騎士学院 ~上~ 』
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⒈ 「ボクが遭遇した事件」

 どうも、古石 セツナです。

 活動報告には土曜日くらいになるかも的なことを書かせていただきましたが、何とか時間を作れたので、投稿します。


 第二章.~アイオライト騎士学院~  第一話、始まります。


 それでは、どうぞ!

 迷宮、というのを聞いたことがあるだろうか。


 平たく言えば、危険度Dランク以上の魔物が大量に闊歩している、大きな宝箱のようなものである。

 危険度Dランクと言えば単独撃破にはCランクが必要とされるレベルだ。

 つまり、迷宮に潜ることが出来るのはその道のベテランのみということになる。


 ――――なる。の、だが……………………、



「今何階だっけかなぁ……」


『『『『ガウウ゛! グオゥウ! ギャイギャィ!』』』』


「しっかし、MP一ミリたりとも減らねえな。自然回復8倍さまさまだな」


『『『『ガウウ゛! グオゥウ! ギャイギャィ!』』』』


「……、…………。

 しかしこれ、結界解いたらオレ、死ぬんじゃね……?」


 そう呟きながら、駆け出し冒険者、チアキ・ヤトミネは自身の周囲を見た。ちなみに今の呟きの『死ぬ』は肉体的なことではなく精神的な話のようである。

 

 今回はアリーフィアスはいない。二日前から千暁は単独での行動である。何でも彼女は〈トライデント〉のメンバーとワイバーンの卵の採集クエストに向かったらしい。成功すれば、〈トライデント〉はAAランクからSランクに昇格するんだそうだ。


 そして、千暁はというと。

 腰に安物の鉄剣を下げてアッティカの西の麓にある『パラスの迷宮』に挑んでいた。

 

 初めのころはすべからく順調であった。なぜかまったくモンスターと遭遇しなかったので、一度も停止することなく階層を跨ぐ魔方陣にの所まで行けたのだ。

 しかし、そんなピクニック状態は長くは続かなかった。


 十階層を過ぎたあたりで犬型のモンスターたちに囲まれたのだ。


 涎をだらだらと垂らして輪を狭めてくるたくさんの犬の魔物。

 はっきり言ってとても気持ちが悪かった。


 千暁は反射的に自身の周囲に結界を張った。ウィザードワイバーンの時にアリーフィアスに張ってあげた結界の回復なし版を、祈祷魔法で行ったのだ。イサナミを使わなかった理由としては……、イサナミは二つ以上を同(・・・・・・)時に使うと(・・・・・)MPの消費量が飛躍的に上がるので避けたかった。と、いう事にある。それに、せっかくギルドカードに祈祷士で登録したのだから、祈祷魔法は使えた方がいいに決まっている。熟練度だって上げたいところだ。

 使えなかったら、

『君は本当に祈祷士かい?』

 なんて言われてしまうかもしれないのだから。

 だから、練習をするに越したことはないはずだ。


「うっわ……、ダメだって。オレ、黒光りのあのお方はスプレーで討伐出来てもそこから先は出来ないタイプなんだからさ…………。妹と一緒に悲鳴あげてオカンに知らせるのが役目だったんだぜ……!?」


 それでも男か。そしてそのスプレーもどうせ遠くまで届くのが売りのヤツであろう。


「あの涎、ぜってぇくせぇよ。刺激臭だな」


 いつぞやのウィザードワイバーンの様に、窒息しはしたくないので結界はいつまでも張っているわけにいかない。


「とりま刺激臭と涎の付着は避けてぇなぁ…………」


 わがままな男である。






        ◇ ◇ ◇




==== side == クラリス・(シール)・ファイサリス ====



お昼を早めに終えたボクは、単身パラス迷宮に潜っていた。あっ、正式には『パラスの迷宮』って言うんだけど、言いやすいからってボクを含めて皆パラス迷宮って呼んでる。


 一週間に一回のペースこの迷宮に潜り始めて、今日は記念すべき五十回目の潜伏だ。


 ボクは五十回目ということで、レベルも50に到達したことだし今回から十一階層に足を踏み入れた。

 もちろん、準備だって怠りはないよ。

 行商人のおじさんから二十階層までの地図だって買ったし、MP回復のため魔法石も買った。

 実はこの魔法石、尊敬してやまないボクの師匠が討伐した(冒険者ギルドで受付のお姉さんが言ってた)クリスタルビヒーモスの体から大量に獲れた内の一つらしい。クリスタルビヒーモスは四十四年ぶりに討伐されたということで、とてもすごい快挙なんだ。ボクは師事を仰ぐ人の選択を間違えていなかったよ。うん。


 えー……、こほんっ。

 

 ――――それから、短剣も研いできたし、軽食も準備した。

 ランタンはいらないのかって?

 うん。実はいらないんだ。

 迷宮っていうのは基本的にどこも主が――――――――つまり最終回層のボスモンスターが健在な限り、昼間のように明るいんだ。

そうだ、忘れそうになってたけど、時計が必要なんだ。これがないとどれだけ時間がたったか分からなくなっちゃうからね。

 今、さらりと時計って言ったけど、実は時計ってものすごく高いんだ。家に置くような大きな時計は半月くらい迷宮に潜ればなんとか買えるけど、持ち運べるようなコンパクトタイプは一番安いのでも二千万ティミー位普通にするんだよ。笑っちゃうよね。時々チラっと見るだけの嗜好品が白金貨に百枚だよ?


 ユニコーンの角粉(つのごな)が四つも買えちゃうじゃんさぁ(泣)!

 フェニックスの灰が二個も買えちゃうじゃんさぁ(泣)!!


 でも買ったよ! しょうがないから買ったよ!!

 また帰宅が遅れて父上にお尻ペンペンされたくないしね!! 赤いお尻なんてフレイムモンキーだけで十分さまったく!!


 ……おかげで迷宮でためてきたお金が大半吹き飛んだよ。

 でも大丈夫! 十一階層からはモンスターのから獲れる魔石も、時たま見つけることが出来る鉱石も、一段階優秀になるハズだからね。


「…………、………………」


 ところで、少し前から思ってたんだけど。

 魔物の気配というものが全然しないんだよね。

これじゃあ、十一階層からは危険度Cランクモンスターが出てくるから用心しないと。――――って思ってたボクがおバカみたいじゃないか。

 拗ねて足元の石ころを蹴ってみる。


「――――――ッ」


 瞬間。突然大きな気配がして、ボクは太ももの短剣(マインゴーシュ)を抜き放って構えた。

 そして、誰にも教えていないボクの秘密のアビリティー、〝心眼〟を発動させて広範囲にわたって周囲を警戒する。〝心眼〟は、結構MPを持っていかれるけれど奇襲を受けるより遥かにマシましだ。


「…………――――いたっ」


 ボクの随分前にあるT字路を左から右へモンスターが走ってゆくのが見えた。


「ラグジュアリシープだ!?」


 右へ走って行ったモンスターは多分ラグジュアリシープだ。

 ラグジュアリシープは、状態異常魔法と高い瞬発力が厄介なCランクモンスターだ。父上の書斎の本に書いてあったよ。でも、ラグジュアリシープの毛皮は高く売れる(だいたい百万ティミー位)! うまく剥げばガッポガッポさ! ウハウハなのさ! 


「待て!」


 このチャンスを逃す手はないのさ! あのラグジュアリシープはボクの物だよ! 良いよ! さすが十一階層だよ!

 ボクは走った。そして走りながら自分自身に祈祷魔法エンチャントの魔法をかけた。走る速度と視界、聴覚が高まる。逃がさないさ、ラグジュアリシープぅう。

 そう。ボクは上級ジョブ、祈祷士なのさ!

 祈祷士は基本的に他人にしか《エンチャント》を掛けられないと思われがちだけど、実はそうじゃない。例外がある。それは、〝祈祷師の匠〟を取得していることさ! 大抵の人は普通のジョブでも上級ジョブでも〝〇〇の才覚〟までしか取れないけど、ボクは一人で迷宮に潜るようになってから間もなく、〝祈祷士の才覚〟を〝祈祷士の匠〟にグレードアップさせることが出来た。いやー、魔法士と治癒士が中々 匠 までいかなかったから、気休めのつもりで放置してた祈祷士にスタイルを乗り換えたんだけど。――――うん、正解だったね! ボクの天職は祈祷士だったんだよ。


 うん!? あ、音を捉えた!


「逃がさないさ! ウハウハ羊ぃ! ――――――――んっ!??」


 あれぇ!?

 ラグジュアリシープは確かに左から右に走って行った。だから、ボクはそれを追いかけて右に曲がったした。でも、ボクが捉えていた音は右折したボクの後方から聞こえて来る。

 つまり、ボクはあのラグジュアリシープじゃなくて、別の何かの音を捕まえちゃったわけだ!?

 右手に持った杖を突き出しながら勢いよく振り返ってみる。

 そしたら、大変心臓に悪い光景を見てしまった。


『『『『『ガウウ゛! グオゥウ! ギャイギャィ!』』』』』


「………………………………せめて涎がなきゃなぁ……」


 グレーの髪の少年が危険度Cランクモンスターの代表格、マッドネスドックの群れに襲われていた。 



(ウソぉぉぉおおお――――――――――――!!?) 






=12(日目)=



 いやー、出てきましたね。名前を明かさずに突き進んでいく人。

 『ボク』って言ってますけど、男かな? 女かな?


ニケ「ていうか、なんか聞いたことあるようなしゃべり方ですよね?」


 分かった、ごめん次こそは出すから(←あやしい)。普通の後書きの回に飛び入り参加しないで!


ニケ「そうやってまた騙す気なんですぅ……(泣)!」


 わ、私を信じなさい。幼女よ。



 お友達とくら寿司に行った今日この頃…………。

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