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《全面改稿中》リーンカーネイション・オブ・ダイアリー  作者: 古石セツナ
第一章 『召喚』
13/71

⒒ つまづく者とのり越える者

 どうも、古石 セツナです。

 相変わらず暑い日が続きますね。


 アテネと千暁の対話。レベッカの正体。クリスタルビヒーモスを倒した時に使っていた千暁の技。

 まだ完全に解明されていない事柄が増えてきましたね。

 いつに解明されるのやら……、ふふふふふ。


 それでは、どうぞ!

「クリスタル種……!? ビヒーモスの!?」


 応接室でオルバが茶を零した。



 五日間に及ぶBランククエストを無事に終えて、南部統括冒険者ギルドに帰還した千暁とアリーフィアスは受け付け嬢にクエスト完了の報告をした。しかし、その際Sランクモンスターを成り行きで討伐したことを伝えると、彼女はふらふらとのち気絶してしまった。

アリーフィアスは苦笑いをしながら自分も被害者です空気を出していたが、千暁は気付かないふりをした記憶はまだ新しい。

 

異変を察知して奥から出てきたのがオルバで救われた。 

 でも。個室で零したお茶が机を伝ってオレのつま先に落ちたことは頂けないな。

 なんて、千暁は思った。


「アリーフィアスが〝慧眼〟で見たし、オレも〝神眼〟で見たから間違いないな。

 とは言っても、オレはクリスタル種がどれだけのものか知らないわけだが」


「〝真が……!?」


 やはり〝神眼〟が〝真眼〟と勘違いされてしまっていることに千暁は気付かない。


「と、とにかく! すぐさまAAランク以上の冒険者を集めなければ!!」


「もう倒したぞ」


 都市から百キロメートル圏以内にSランクモンスターが出現した緊急事態を前に、半狂乱してしまったオルバの聴覚には千暁の声を拾う余裕はなかった。


「騎士団ギルドにはまだ話してないな!? 奴らに先を越されるわけにはいかん!」


「オルバ、落ち着いて。よく聞いて。既に討伐は完了しているわ」



「        」



「おおスゲー。マンガみてぇな絶句」


「オルバー? オルバ―?

 ……ダメね。ギルドマスターのくせに」


 マイペースな千暁に若干毒されつつあるアリーフィアスであった。


「        」


「ギルマスだったのか。ダメマスだな」



 結局、千暁たちは放心したオルバを置いて応接室を出た。三分待っても復帰しなかったオルバがいけない。――――と、千暁が思っていり一方で、アリーフィアスはただ平謝りしていた。もちろん、心の中でではあるが……。




        ◇ ◇ ◇



 

 おでこが赤く腫れていた。


 ニケのおでこは赤く腫れあがっていた。フェニックスの灰はもうない。アレは元々、アッティカに来る途中に使って一つしか無かったのだ。

 というか、今だから説明しておくが、フェニックスの灰はネクタルやユニコーンの角、エリクサーと並ぶ希少かつ高価なアイテム(代物)である。売却すれば二億ティミーはくだらない。それを尾てい骨に使用するなど…………。

 ダ女神を否定しずらくなってきたのは……、気のせいではないようだ。


 それを自らが肯定するかのように、現在――――女神さまは泣いていた。


「ううぅ~~~~」


 えっぐ えっぐ……


「よしよし、痛かったね~」


 第二訓練場の隅のベンチで、クラスリーダーのクラリス・(シール)・ファイサリスはニケを抱いてあやしていた。

 黄金の髪と白銀の髪の少女同士が絡み合うその光景は……、なんというか男女問わずそそるものだった。幻想的な美しさになにとなく、直視する行為に罪を感じた生徒たちは一人、また一人とその光景から視線を逸らすのだった。


 今は近接戦闘の訓練中だ。

 二人一組となって葉を潰した武器での模擬線をひたすら繰り返す。その様子を教授騎士が見て回り、悪い点を指摘してつくシステムである。

 ニケのペアはレベッカだった。――――だったのだが、レベッカはただいま教室にて絶賛爆睡中である(例によって叱責する教示騎士は現れなかった)。だから、今回はクラスリーダーのクラリスが代役を務めていた。

 

 しかし、ニケとクラリスは一合も打ち合うことがなかった。ニケが彼我の距離を詰める前に戦闘不能となったからである。

 あの時の状況をダイジェストでお送りしようか。



「い、いきます」


「うん。いつでもいいよ」


「てぇ――――――ぃ゛ッ」


 べちゃ!


「え゛!?」



 と、いうものである。

 駆け出してわずか三歩目。地面にこれといった障害が見受けられないにもかかわらず、ニケはまるで関節という機関を忘れさせるかのような倒れ方をした。 

 その姿たるや、まさにドジっ()の申し子であった。

 いやはや。いつの世にも天才の類いは存在するものである。



「うぅ……………………」


 くすん……


「だいじょぶ、だいじょぶ。ボクは祈祷士だけど、治癒士を志した経験があるから初級回復魔法も使えるのさ」

 そう言ってクラリスはニケの赤く腫れたおでこに魔法を施行した。

 淡い光が患部をやさしく覆うようにして……消えた。あとにはきれいなニケの額があった。とてもよく、極限まで洗礼された回復魔法だ。平均的な初級回復魔法であれば傷跡が残ったり、完治しなかったりとするものである。

 

 この日、レベッカ・サタナスと同じく、クラリス・(シール)・ファイサリスは、ニケにとって千暁とレベッカに次ぎ安心できる人となった。




        ◇ ◇ ◇




 一晩休んだ千暁は一人で薬草採集のクエストに来ていた。

 とはいっても、薬草二十五本なんてとうに採り終えて現在は、――――とある永続的システムの練習をしている。



 昨晩にオルバを訪ね直したら、商会ギルドの人間を三人も呼ばれて大変だった。ギルドの地下に行って《アイテムボックス》からクリスタルビヒーモスを出すと死体の全身をくまなく調べ上げられた。


『とりあえずですね。……これ(・・)でいかがでしょう?』


『三千万か?』


『いえいえ! めっそうもない! 三十億ですよっ』


 あの時は、立てられた三本の指に付く位に予想をはるかに上回る桁がついて言葉を紡げなかった。表情なんて全く追いついていなくて、無表情のまま沈黙していていた始末である。

 しかし、商会ギルドの男は千暁の沈黙を不満と取ったらしく、


『で、では三十四億ティミーではいかがでしょうか?』


『………………………………』


『さ、三十六億ティミーですっ』


『…………いいだろう』


 彼は一夜にして大金を手に入れたのだった。


 オルバいわく、クリスタル種は高位の魔物にしか現れない変異種なんだそうだ。最もメジャーなのがクリスタルドラゴンであり、その他はまちまちらしい。ビヒーモス事態討伐されるのがアッティカではなくパンセリノス皇国全体で十一年ぶりのことであり、クリスタルビヒーモスにいたっては四十年以上ぶりのようだ。

 無論。バカみたいな値が付いたの理由はそれが全てではない。

 クリスタル種というのは、名前から連想できるかもしれないが体中に魔法石やら鉱石やら宝石やらを生やしている。何もかもが純度が高く、希少性が高い代物だ。お偉いさんたちが競い合って価格が倍々に跳ね上がる様が容易に想像できていまう。そういうところは、……つか基本的に地球の人間達と何ら変わりがない。違うのは世界観のみと言えよう。




「イサナミ……」


 千暁は人に見られないように張っていたイサナミの結界を解いた。本当、イサナミさまさまである。

 ちなみに、今彼がわざわざ声に出したのは、その方がなんとなく操作しやすいからである。


 さて。突然だが、MPは一日で全快するものらしい。つまり、一時間で4.16666……%回復するわけだ。

 千暁のアビリティーには〝覇王の神髄〟と〝魔法士の覇者〟と〝祈祷師の匠〟がある。MPの自然回復量3倍と5倍と3倍になるやつだ。

 彼は期待に胸を膨らませ実験してみたのだが、自然回復量は45倍ではなく11倍だった。しかし、それでもかなり規格外である。

 実際、彼のMP総量457600÷24×8で、一時間に152533.()回復する計算になる。一秒であっても42.()()も回復するのだ。


 そこで千暁はこの素晴らしい回復を有効に利用すること――――残念ながら、今のところ内容を他人に明かすつもりは皆無のようだが――――を考えた。それが今行っていた練習の正体だ。


 

 そして、それはたった今完成したのである。



「無敵の二文字に手が届きそうだな……」



 彼は空に手を伸ばし、そう呟いた。






=2~8=



古石「やあ教授。今回お休みだから出したげるよ」


ロンバルディ「はぁ」


古石「早速だけど、貴方のレベルとジョブは?」


ロンバルディ「魔法士、LV.87です」


古石「MP総量は?」


ロンバルディ「9000弱です」


古石「ということは一時間で375弱。一秒で0.104ほどの回復ですね」


ロンバルディ「自然回復の話ですか。〝魔法士の匠〟と〝魔弓士の才覚〟を持っているので、実際はその3倍で、一秒で0.312くらいですかね」


古石「はーい、千暁がいかにお化けかというお話でしたー」


レベッカ「感想よろしくお願いします、のじゃ」


ロンバルディ「レベッカ君。敬語出来たんですね……」


古石「それより突然現れたことに驚きましょうよ!?」



 かき氷はレモンシロップ! な今日この頃…………。


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