第7話 出直し
「ふわぁ~、終わったぁ~」
午前の授業の終了を告げるチャイムと共に、欠伸まじりに背伸びをする。
あのあと総悟に電話して謝った私は、今日も総悟と登校―― は、してない。
さすがに彼女がいるんだから、それはまずいからね。
「ちょっと紗雪ぃ、どうしたのよ?」
お弁当を持って頬を膨らませる唯ちゃんは、なんだか可愛い。
「どうもしてないよ。きのう謝って、許してもらっただけだよ」
「うーむ、それだけじゃない気がするんだけどなぁ...」
ギクリ。
唯ちゃん、勘が鋭いなぁ...
親友なんだし、きのうの決意を全部話すことにした。
「...ってことは何よ、諦めたってこと?」
「うん... そうかも」
「そうかもって、あんたねぇ...」
結局恋より友情をとった私。
告白して今の関係が壊れるよりも、ずっと幼馴染で仲良くする方を選んだんだ。
「紗雪っ、そんなんじゃ――」
「紗雪ちょっと」
唯ちゃんの勢いを遮ったのは、まぎれもなく総悟。
なんというタイミング。
少し悔しそうにしながらも、小声で「行っておいで」なんて言う唯ちゃんは、やっぱり大好きだ。
「分かった。ごめんね、先に食べてていいから!」
「早く行くぞ」
総悟に急かされながらついてったその先は、屋上だった。
...この1,2ヶ月でどんだけ屋上にお世話になったことか。
仕方ない。人気がない場所なんて、屋上くらいだもん。
扉を閉めて総悟と向き合うと、やっぱり好き、なんて気持ちが出てきてしまいそうで、そっぽを向いていた。
そんな私を無理矢理向きなおさせる総悟。
「お前さぁ、なんか勘違いしてるだろ」