第1話 幼馴染
「窓際の席」とはずいぶん設定や内容が変わってしまいましたが、無事スタートです
中学3年生の3学期。といえば、やっぱり´受験´ って単語が出てくるよね。それが今の最大の悩み。
私と総悟は家も隣の幼馴染で、幼稚園、小学校、そして今までずっと一緒に育ってきた。
「おはよう総悟」
「はよー・・・」
当然通学路も同じ。だから、毎日一緒に学校に行ってる。
「眠そうだね? 夜更かししたの?」
「紗雪は早寝すぎるんだよ」
そうかな? 10時に寝たけど・・・。
子供の頃はなかなか眠れなくて、遅くまで総悟と遊んでた。両親が共働きで兄妹もいないから、家にひとりぼっちで寂しかった。夜になると暗くなって、もっと寂しくなって、いつも泣いてたっけ。
そんなとき、必ず総悟が来てくれて、私が眠りにつくまで一緒にいてくれた。
今ではそんなこともなくなっちゃったけど、受験が近いこともあって、おバカな私に総悟は遅くまで勉強を教えてくれるようになった。超難関も余裕で合格圏内の総悟。私は中の中くらいの成績で、総悟と比べたらそれこそ月とスッポン・・・いや、太陽とアリくらいじゃないか。
「紗雪バカだから教えてやるよ。これから毎晩地獄だから、覚悟よろしく」
偉大な太陽様の超スパルタ特訓のおかげで、今じゃ何とか中の上くらいまで上がったんだけどね。
私の目指すのは、その超難関校で総悟の志望校でもある高校。高望みなのは分かってる。身の程知らずだって思う。
だけど、だけどね。
総悟と一緒の学校に行きたいの。
無愛想だけどとっても優しい、そんな総悟が小さい頃から大好きだった。離れたくない。
「紗雪。今日何の日か分かる?」
「え? 何かあったっけ? えーと・・・」
誕生日? ううん、総悟の誕生日は7月だ。それに私は3月だから1ヶ月先だし。
バレンタインデー? ううん、今日は1日だ。それに総悟はチョコをねだるような性格じゃない。まして期待すらされてない。
「バカ、テストだよ。返却日じゃん」
「あ゛」
「先が思いやられるねぇー」
そうだった。そうでした。私が2番目に嫌いな日。(一番は体育祭。理由は運動オンチだから)
でもでもっ、毎日遅くまで総悟と特訓したもん、大丈夫だよね!
何て思ってたけど。
――惨敗。 嘘でしょ? 数学に至っては平均にすら届いてないなんて・・・。
「紗雪どうだった?」
私のもうひとりの先生である、親友の唯ちゃん。総悟とは反対に、毎日放課後残って優しく教えてくれたのに。申し訳なさ過ぎる。
「うぅ・・・っ。唯ちゃぁーん!!」
抱きつく私をよしよし、と頭を撫でてくれる唯ちゃんも、総悟と同じくらい頭がいい。察してか何も聞かない唯ちゃんは大人だ。
「どうしよう。あと1ヶ月なのに。間に合わないよ・・・」
「大丈夫よ。永瀬くんだけじゃなくて私だって教えるからさ」
永瀬っていうのは総悟の苗字。この2人が協力してくれるなら心強いこと山の如しだ。うん、大丈夫!
総悟もきっと、「大丈夫」って言ってくれるはず。
早く家に帰って、総悟に慰めてもらおう――
私の幼馴染は女の子ですが、紗雪に似てます、私w
性格が乗り移っちゃってますね;