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王立学院の養護教諭  作者: ボブ


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1.王子の苦悩①

こんこんこん、とドアが3回ノックされた。

今は朝の7時半。普段この時間は不在なのだが、とある人から“予約“を受けて少し早めに学園にいた。


「どうぞ。」


失礼します、と丁寧な挨拶と共に入室してきたのは、この国で最も尊ばれる人、王太子と呼ばれて周りから大層な扱いを受けている人、グランベル王国第一王子ノエルである。


「おはようノエルくん。いい朝だね。」


出勤1時間半前、普段ならば家でまだのんびりと過ごしているので、学園にきてもまだ軽装のままである。

私は普段学園内では白衣を身に纏っている。なんかそっちの方が保健室の先生みたいだし。

何よりもブラウンの制服を着た生徒たちから白は目立つので、何かあった時の目印になるし、メリットしかないので着ている。


そんな白衣姿ではない私をみて、ノエルは驚いたようだった。


「お、おはようございます…」



_______________


昨日の職員会議直前、保健室で急いで会議のための資料準備をしていた私の元へ、ノエルがやってきた。


『先生、ちょっといいですか?』


もうそろそろ出発しようとしていたからドアは開放したままで、背を向けて色々やっていたからノエルの入室に気づかなかった。

振り向くと、名前など聞かなくてもわかる、この学園内で1番の有名人が俯いて立っていた。




『悩みを、聞いて欲しくて。』




結局その日は会議があと少しで始まるところだったし今すぐは難しいから『明日の朝はどうかな』と言うと、授業直前だと皆がついてくるから早い時間にして欲しいと頼みこまれた。


別に頼みこまれなくてもそんなことなら早く出勤するくらいお安いご用だよと言って、その日はノエルと別れた。


_____そして今に至る。



「さて、ノエルくん…と呼んでいいかな。」

「ええ、ぜひそう呼んでください。」


困ったように微笑んで椅子に腰掛けるノエルは、年相応の少年に見えるがノエルは王族で王子様で、更に王位継承権がある14歳。

学園内はみな平等とは言っても、本来ならばこのように気安く話すのもおかしなことである。



気さくな少年ね、と思いながら私が冷蔵庫に入っていたアイスティーを取り出して、飲む?と尋ねた。


「でも生徒と教師で物のやり取りをしてはならないという規則があるのでは…」


真面目なノエルはそう言うと、「今は勤務時間外」と返してコップに入れて手渡した。


「まあまあ、あまり気になさんな。護衛の方もいかが?」


帯刀をした騎士が目を白黒させて無言でコップを受け取り、流れるようにそのお茶を毒味したのをみて、彼もまたこくりとアイスティーを飲んだ。


「朝は冷たい飲み物はよくないって聞くんだけど、でも目が覚めるわね。」


朝の7時半は日の出こそ見れないものの、朝の陽の光は美しく、王都の街並みを明るく照らす。

保健室の大きな窓はそれを見るのにうってつけの隠れた名所。


ノエルは「ありがとうございます。」と言いながら、向き直った。


「それで、先生。悩みなんですが…」




ノエルはゆっくりと時系列で説明をし始めた。

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