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ここはどこ

 頭が痛くて身体が重たい。

 ぼんやりした意識の中でまず思ったのはそんなことで、目を開けてしぱしぱと瞬きを繰り返した後、見える光景に覚えがない事に気がついた。

 ここはどこだろう。家ではないようだし、見覚えも無い場所なのだけれど。


「ホー」

「あ、キヒカ……」

「ホー」


 キヒカがくつろいでいるから、危ない場所ではないみたいだ。

 なんて思いつつ、出した声があんまりにも掠れていることにびっくりする。なんだか喉も痛い気がする。

 よいこらせ、と身体を起こそうとしたらキヒカに押し戻されたので、大人しく寝転がってキヒカを撫でる。


 身体だけじゃなく腕も重たい。でもキヒカを撫でるくらいの動作は出来そうだ。

 なんだかいつもよりキヒカが甘えてくる、なんて思いながらベッドから見える範囲を見渡していたら、扉の開く音がして誰かが歩いてきた。


「あ、起きてる」

「えと……」


 顔を出したお姉さんに見覚えは無く、どうしたもんかと言葉を探す。

 その間にお姉さんはキヒカに目線を向けていた。キヒカもしっかりお姉さんを見ている。

 ……知り合い?私が知らないキヒカの知り合いとか、居るんだろうか。


「良かったね」

「ホー」

「……えっと……?」

「貴女、熱出してこの子に運ばれてきたの。覚えてない?」

「全く……」


 熱。熱出したのか、私。

 なるほど言われてみればこの身体の怠い感じは風邪を引いた時の怠さだ。頭の痛みものどの痛みもそのせいか。

 キヒカに運ばれてきた、ということは、ここはいつもの町なのだろう。


 キヒカがいつもより甘えてくるのもそのせいか。心配をかけてしまったらしい。

 ちょっと身体が怠いなぁと思ってベッドに入った記憶はあるので、夜中に発熱してキヒカに運ばれたのだろう。この感じ、多分一日も経っていないだろうから、キヒカは今日ほとんど休んでいないはずだ。

 再度身体を起こそうとしたら、今度はお姉さんが手伝ってくれたので止められなかった。


 身体を起こして、背中側にクッションを挟んでもらって寄っかかる。

 至れり尽くせりだなぁなんて思いながら膝の上にいるキヒカを撫でて、とりあえず言うべきことを言うことにした。


「心配かけてごめんね」

「ホー」

「運んでくれてありがとう」

「ホー」


 キヒカが居なかったら、一人家の中で寝ているしか出来なかっただろう。

 キヒカがとても賢くて魔法も使えるフクロウだから、熱を出して寝ている間に町に運ばれていて、目が覚めた時には身体が怠い、程度まで回復しているのだ。

 これはしばらく大人しくしつつ、ちゃんと回復したらキヒカのやりたいことをやらないと。とりあえずは狩りだろうか。


「さて……大分熱は下がったみたいだけど、まだ安静にね」

「分かりました。……あの、ここ、病院ですか?」

「ここは町の小さな診療所。私はただのお手伝いだから、後で先生も呼んで来るね」

「はい」

「あと、レイラさんが後で来ると思うから」

「分かりました」

「ホー」


 診療所の場所は知らなかったから、キヒカがレイラさんを頼ったんだろうか。

 流石キヒカ……と膝の上のキヒカを撫でて、部屋を出て行くお姉さんに促されて水を飲む。

 言われるまで気付かなかったけれど、結構喉が渇いていたようだ。汗もかいているし、水分はしっかりとらないといけなさそうだ。


 ちまちま水を飲んでぽけーっとしながらキヒカを撫でていたら、再度扉が開いて今度はお爺さんが入って来た。

 白衣だし、この人がお医者さんだろう。

 テクテク歩いてベッドサイドの椅子に座ったお爺さんが、キヒカを見て小さく頷く。なんだか分かり合ってる感じだ。私が心配かけたからだろうか。


「起きれるようにはなったみたいだね。痛い所は?」

「頭と喉が痛いです」

「うん、うん。熱は下がったね。食欲は?」

「……あんまり」

「なら少しだけにするけど、持ってくるから少しは食べなさいね。薬も出すから、食べたら飲んでね」

「はい」


 ポケットから取り出したメモに何かを書いていたお医者さんが、膝の上のキヒカを見てふむ、と小さく呟いた。

 そして、私の方に向き直る。

 なんだろうかと首を傾げたら、キヒカも同じ方へ首を傾げていた。大体左へ首を傾げるから、同じ動きになるんだろうか。


「その子は何か食べるかな?」

「お水と木の実とかがあれば……」

「ならそれも持って来よう。二人ともちゃんと休むようにね」

「はい」

「ホー」


 メモを追加して、お医者さんが去っていった。

 キヒカの事も気にしてくれて、とてもいい人だ。

 ちゃんと休んで、と言われた通り、クッションに身体を預けて脱力する。私は今まで寝ていたけれど、キヒカは今日休んでいないだろうし、寝られるならちょっと寝てほしい。


 膝の上でキヒカがくつろいでいるので、そのまま寝るかな、とゆっくり撫でていく。

 うつらうつらし始めたキヒカを撫でつつ、今何時くらいだろうかと考える。

 昼間なのは分かるけれど、私はどのくらい寝てたんだろうか。私が寝てた時間がそのままキヒカの起きていた時間になると思うので、どのくらい無理をさせたのかを把握しておきたいところだ。

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