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床の状態

 町に買い物に行って、帰って来た次の日。

 昨日買ってきた本棚はリビングの一角に置かれ、持ってきた本たちが納められている。まだほとんど埋まっていないので、これから徐々に埋まっていくのが楽しみだ。

 蒸し料理の本は最初に買った料理本と一緒の場所に置いた。昨日は疲れていたから何もしなかったけれど、今日は蒸し器も使ってみる予定だ。


 やりたいことは多いのだけれど、まずやらないといけないのは天井と床の修理である。正確には、自力で修理が可能かどうかの確認、になる。

 とりあえず床を引っぺがすところからだろうか。なんて考えつつベッドを降りてクローゼットから着替えを取り出した。

 寝室に暖房器具を置いたことで、朝まで部屋はそこそこ暖かい状態を保てるようになっている。


 最近はもう日中でも暖炉に火を入れておきたいくらいの気温になってきているから、これが無ければ私は寒さに負けて布団の中から出てこれなくなっていたかもしれない。

 なんて思いつつ着替えをすませて、杖を片手に寝室を出た。

 洗面所に寄ってからキッチンに向かうとキヒカがいつもの椅子に座っていたので、頭を撫でておく。


 私が起きたことを確認して移動したのでどっちに行ったのかと思っていたのだけれど、こっちに居たらしい。

 特に冷える日は先にリビングに行って暖炉に火を入れていることもあるので、どこに居るかはキヒカ次第だ。大分自由に動けるようになって楽しそうなので、キヒカ用の通路を作ってよかったなぁとしみじみ思っている。

 あと単に部屋の保温力が段違いなので。やっぱり扉は閉めるべきなのだ。


「キヒカも何か食べる?」

「ホー」


 要らないらしい。多分夜のうちに森で狩りでもしてきたんだろう。

 最近森に行くときにキヒカと一緒だと明確に周囲から生き物の気配が薄くなるので、キヒカはあの森の主になった可能性がある。

 少なくとも力関係の頂点近くに名を連ねたらしいのは確かだ。キヒカは魔法も使えるので普通に強いし、動物たちから恐れられていることも別に初めてではない。


 学生時代もいつの間にか校内の動物たちから尊敬されるフクロウになっていたし、王宮魔術師時代も、王城の中の動物たちから逆らえない相手として扱われていた。

 キヒカは凄いのだ。シンディが言うには、相手を威圧するその圧が凄いらしい。私はそれをやっている所を見たことが無いから知らないのだけれど、シンディとテルセロは見たことがあるんだとか。

 見てみたいなぁとは思っているのだけれど、キヒカは見せるつもりが無いらしいので多分今後も見られないのだろう。


 まぁ、見せたくないのなら仕方がない。たまに戦闘中にそれらしき圧を発している事はあるので、あれの延長線だと思って納得している。

 なんて、キヒカが森の主になった可能性について考えつつ簡単な朝食を作って食べ、食べ終わったら食器は洗って置いておく。

 そして向かうのは、寝室横の空き部屋だ。


 キヒカも肩に乗ってついてきたので、一緒に向かう。

 雨漏りしていた後のある部分を揃って観察し、杖の先でちょっと床をつついてみた。……一応、今すぐにでも崩れてしまうような状態ではなさそうだ。

 とはいえ弱っているのは確かなようで、ちょっと踏んでみるとここだけ床が柔らかい。


「のこぎり持ってこようか」

「ホー」


 物置からのこぎりを取って来て、弱っている床を切って剥がしてみる。

 ちょっと暗かったので魔法で灯りを付け、しゃがんでじっくり観察することにした。

 私が床を覗き込んで前傾姿勢になったので、キヒカは肩から降りて向かい側に移動して同じように床を覗き込んでいる。可愛い。


「下は……大丈夫そう?」

「ホー」


 ひとまずここから見える限りは、床材以外が朽ちている感じはない。家の基礎から直さないといけない、という状況ではなさそうだ。

 なので床の弱った部分を少し大きめに、変えたい部分は全部切って剥がしていく。

 床板を固定できる基礎の部分が見えるようにしっかり剥がし、その基礎が問題ない事を改めて確かめる。


「大丈夫みたいだね」

「ホー」


 しっかり確認しても問題は無さそうだったので、このまま新しい床板を張ることにした。

 木材の自然のゆがみなのか、少しずつズレがあるのでどうにかこうにかそれに合わせて木材を削りつつ隙間を埋めて行き、全てが埋まった時には既にお昼近くになっていた。

 思っていたよりも時間が掛かる。やはり、初めてやる作業というのは思っている以上に時間が掛かる物のようだ。


 とはいえ、無事に床を張る事には成功した。

 上に乗ってみても違和感は無いし、ギシギシ言っていたのも少しマシになったのではないだろうか。

 床板の色がここだけ違うのは目立つけれど、それはもう仕方が無いので諦めよう。これも味だ。どうしても気になるのなら、この部屋を何かに使う時にでもカーペットか何かを敷こう。


「天井は……お昼食べてからにしようか」

「ホー」


 元・床板を纏めて浮かせつつ天井を見上げて、疲れたしちょっと休憩を入れることにした。

 時間が掛かるのは床で分かったから、お昼を食べた後にじっくり時間をかける方がいいだろう。

 そんなわけで空き部屋から撤退し、元・床板は暖炉に放り込んで火をつけた。寒い部屋で作業していたから、普通に身体が冷えた。ちょっと温まりつつ休憩して、温まってからご飯を作るとしよう。

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