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カーテンを作る

 作業台の上に置いた布を広げる。ちょっと大きすぎて机の上には収まらなかったので、空中に浮かべてどうにか広げた。とはいえ、全てを広げてもいないけれど。

 長さを測って、布を切る。魔法で浮かせたついでに、魔法で裁断した。

 出来た布二枚を手元に浮かべて、まだまだ大きい元の布ロールは作業台の上に戻した。


 今日は、カーテンを作るのだ。

 そのために気に入った布を纏めて買ってきた。まずはリビングからやろうと思い、リビングの窓に合わせて布を切ったので、今度はこれの四方をほつれないように縫い留めていく。

 糸も買ってきたので準備は万端だ。


 杖を両手で握って、目を閉じて集中する。

 浮かせた布をピンと張って、端を二回ほど織り込んで固定する。糸も浮かせて、糸の先を針のように鋭くしたら、直接布に刺して、しっかりと縫っていく。

 糸を切ってもいないから、四辺ぐるりと縫い終わるまで糸を止めたり新しく付け替えたりしなくていいのだ。


 普通に縫っていれば時間もかかるだろうが、魔法でやればあっと言う間。集中力は必要だし、慣れていないとむしろ時間もかかるだろうが、私は城勤めの時に散々やったのでこのくらいはちょちょいだ、ちょちょい。

 何せ物の修理のついでにカバーも付けといてくれ、とか、ついでに全体直しておいてくれ、とか、そんなことを散々言われて編み出したのがこの魔法である。


 あの時に比べたら、あらゆるものが足りている。家の窓全てにカーテンを付ける分くらいの縫物なんて軽い仕事だ。

 一枚目と同じように、二枚目も空中でピンと張って、端を二回織り込んで糸を通す。

 角はより丁寧に折って、しっかり丸くない角を作って、向きを変えて丁寧に。最後は最初の糸と最後の糸を合わせて結んで余った分を切る。


「……うん、よさそう」

「ホー」


 出来上がった二枚の布を重ねて、特に大きなずれもほつれも無い事を確認したら、続いて小さな縦長の布を何枚か切り出して、これも端を縫っていく。

 全部縫い終わったら、次の材料。纏めて置いておいた木のパーツを浮かせて並べる。

 とあるお店で見つけた、木の輪っか。ちょうど良さそうだったから沢山買ってきておいたのだ。


 輪っかに先ほど作った縦長の小さな布を通して、その先端をカーテン本体に縫い付ける。

 それを五回ほど繰り返して、完成したらもう一枚も同じように。そうして木の輪っかをつけ終わったら、同じく買っておいた円柱形の木の棒を作業台の上から浮かせてきて、輪っかを全部通した。

 問題なく通ったので、今度は別の木材を浮かせてきて窓の上部、角の部分に合わせて木材を固定しでっぱりを作る。そのでっぱりの内側に先ほどの木の棒を合わせて、これも釘でしっかり固定した。


 布を引っ張って問題なく開閉が出来る事を確認して、出来栄えに大きく頷いた。

 思いついたままざくざく作ったカーテンだけれど、結構いい感じだ。動くし閉じるし、問題は無さそう。強いて言うなら端っこは固定出来た方が良さそうだから、また後で何か考えよう。

 まずはこれを、残りの窓にも作っていく。


「よし、次は寝室だ」

「ホー」


 道具を浮かべて次の目的地、寝室へと移動したら、同じ作業を行っていく。

 窓の長さを測って、布を切って、縫って、帯を作って、木の輪っかに通して、縫って、窓の上に木材を固定して、カーテンを固定する。

 これが一連の流れで、寝室が終わったら続いて隣の空き部屋にもカーテンを付けて、キッチンにもカーテンを付けに行く。こっちはキッチン部分と言うより、ダイニング部分の窓に、ということになる。


 そんな感じでカーテンを作ってまわり、全てが終わる頃には昼過ぎになっていた。

 作業に集中していたから気付かなかったが、いつもお昼ご飯を食べる時間は既に過ぎているようだ。

 意識した途端にお腹が空いてきたので、余った材料は作業台の上に置きに行ってお昼ご飯を食べることにした。


 午後からは、カーテンの端を固定する何かを考えるか、編み物をするか。

 のんびり考えるのも楽しいなぁ、なんて思いながら料理本を開いて、家にある材料で作れそうなものを探してやってみることにした。

 やってみたいなぁ、作ってみたいなぁと思ったものは結構あるのだけれど、材料が無かったり調理器具が無かったりするので、作れない物があるのだ。


 調理道具、もうちょっと揃えるべきだろうか。

 とりあえず買ってみても困らないかもしれない……いや、その前に食器棚を買うのが先か。食器棚を買ったら、その中にでも置いておけばいいので、置き場所には困らないだろう。

 となるとやはり食器棚。ずっと探してはいるのだけれど、何となくピンとくるものがないのだ。


 次に町に行ったら普段は行かないあたりにまで足を延ばしてみるべきかもしれない。

 そんなことを考えながら昼食を作って、テーブルに運んで手を合わせた。

 向かい側に座ったキヒカが眠そうにしているのを眺めながら食事を取って、一つ思い出したことがあって思わずあ。と声が出る。


「ホー?」

「寝室の暖房、魔法陣書かなきゃね」

「ホー」


 午後にやることは確定したので、さっさと昼食を食べきることにする。

 寝室の暖房問題をどうにかするために、その材料もしっかり買って来てあるのだ。

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