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これからの予定

 布団の中でもぞもぞと姿勢を変える。布団から出ている顔が冷たい。

 ゆっくりと目を開けると、視線の先にあるドレッサーの椅子の上にキヒカが座っていた。私が起きたことに気付いたのか、こっちを向いてホーと一声。


「……おはよう、キヒカ」

「ホー」

「寝過ぎた……」

「ホー」


 太陽の位置を見るに、既に昼前。うっかり寝過ぎたようだが、まぁ困ることも無いのでいいだろう。

 起き上がると冷たい空気に身体が震えた。もう昼前だろうに、ここまで冷えているとは。冬が近付いてきている気配をひしひしと感じる。

 震えながらベッドを降り、クローゼットから着替えを引っ張り出す。冷たい服に着替えるのは中々辛いが、かといって着替えない訳にもいかないので大人しく着替えをすませた。


 着替えを終えたらベッドを整えて、脱いだ寝間着は軽く畳んで脱衣所に置きに行く。

 そこまでやって、肩に乗ってついてきたキヒカを撫でつつぼんやりと、これから何をしようかと考える。

 暖炉の修理は終わったので、今急ぎでやらないといけない事というのはないのだ。なので、次にやることを決めないといけない。


「……それにしても寒いな」

「ホー」

「暖炉、使ってみる?」

「ホー」


 寒さに負けて、というのもあるけれど、直して以降まだ使っていないから試運転も兼ねて暖炉に火を入れてみることにした。

 薪は既に用意がしてあって、一番最初に作った分を家の中の薪棚に移し終えてある。暖炉を直しながら薪も準備していたから、その影響で結構いい感じに乾燥が進んでいたのだ。


 リビングに入って薪棚から薪を数本取り出し、暖炉に積んでいく。

 積み終わったら魔法で火をつけて、しっかり薪に火が移ったら魔法は消して火が大きくなっていく様子をぼんやりと眺めることにした。

 ぱちぱちと音を立てて燃えている薪は、なんだかすごく落ち着く。


 まだ寝起きなこともあってうっかりするとまた寝てしまいそうだ。暖かさと心の落ち着く音があいまって、とんでもない安眠効果がありそうである。

 まぁ、睡眠時間は足りているから、流石に床で寝落ちることは無いだろう。

 なんて思いつつ、暖炉の前に腰を下ろす。まだ家具は何もないから、床に直座りだ。


「やっぱりまずはソファが欲しいね」

「ホー」

「あとキヒカの止まり木」

「ホー……ホー」


 ずっと言っているから、キヒカもいい加減別に要らないと言わなくなってきた。ただ、呆れたような目をしている気がする。

 椅子の方が好きなら椅子でもいいけれど、キヒカは何だかんだ止まり木があったらそっちにずっと居るのを知っているから、用意したいのだ。

 どうせなら私もキヒカも快適に住める家にしたい。だから、止まり木も探す。


「あとは、ソファの傍にちょっと物を置ける場所が欲しいね」

「ホー。ホー」

「そうだね、編み物も習いたいし……」


 火を眺めながらやりたいことを声に出して、何となくでも把握していく。

 こうして脳内を整理する時間も大事だ。やっとここまでのんびりした時間を持てるようになって来たか、とちょっと感動していたりもする。

 一応暮らしていくだけなら問題が無いくらいに家を直し終わったというのは、心の余裕に繋がるものだ。


「ホー」

「そうだ、食器棚。中々いいのが見つからないね」

「ホー」

「他?他は……冬服探さないと」

「ホホー」

「ちゃんと探すよ、クローゼットも用意出来たし」


 キヒカに釘を刺されつつ、次に欲しいものを考えていく。冬服は急ぎで探さないといけないかな、もう既にこんなに寒いのだから、真冬は耐えられない可能性が出てきた。

 ひたすら仕事しかしてなくて気付いていなかったけれど、やっぱり王宮内って快適だったんだなぁと、そんなことを思うくらいには寒い。


「あとは……寝室をあっためたいね」

「ホー。ホー?」

「作ってもいいけど、入れ物はちゃんとしたのが欲しいな……」


 暖炉を新しく作るなんてことは私には出来ないし、それをやったらしばらく寝室が外と繋がることになるのでやりたくない。

 なので、別で設置する暖房が必要だ。欲しいのは熱を周りに発散して、部屋中を暖めてくれるようなものだろうか。ついでになるべく暖かさが長持ちするのがいい。


 そうなると、魔法陣でやろうと思うと二、三種の魔法陣を掛け合わせて作ることになりそうだ。

 作るのは、まぁ問題ないだろう。どうやって作るかにもよるけれど、器が用意出来ればそこに色々刻んでいけばいい。

 なんであれやっぱり器は別で、ちゃんとした作りの物を探すことになりそうだ。


「キッチンはかまどを暖炉代わりにしようね」

「ホー」


 なんて、色々話している間に薪が燃えて火が徐々に小さくなってきた。

 どこかから煙が漏れるとか、変に燃えるとかそういう事も無く暖炉の使用も問題ないことが分かったので、そろそろ火を消してもいいだろう。

 寒いけれど、まだ耐えられないほどではないし、何よりもお腹が空いてきたのでそろそろキッチンに移動してご飯を作りたい。


 キッチンで料理をしていれば暖かいし、と火を消して立ち上がり、キヒカと一緒にキッチンへ移動した。

 キヒカ用に出してあったお水の皿を一度洗い、新しくお水を入れておく。

 そのまま自分のご飯の準備を始めて、朝食兼昼食を食べるのだった。

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