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マニキュア納品

 朝、いつも通りのんびり準備をして、朝ご飯を食べて片付けを終えた後。

 私とキヒカは昨日のうちに準備しておいた荷物を持って、家の外に出て空に上がった。

 向かう先は町だ。先輩との約束の日は明日なのだけれど、バタバタするのも嫌なので今日のうちに町に行って、他の用事を済ませてしまって宿に泊まることにしたのだ。


 そんなわけで、ふわりと空に浮いたらいつも通り町へ向かう。

 今日は日帰りではないし予定の本命は明日だから、いつもよりのんびり準備をして家を出た。

 なので、ちょっとだけいつもより日差しが強い。暑いな、と思いつつ、そこそこの速度で進んでいるので風が気持ちよくて、そこまで不快ではない。


 キヒカも杖の先に相乗りして、風を受けて楽しんでいるようである。

 なんでも楽しめるのが一番いいよね、なんて思いつつ飛んでいき、いつも通り町の外で地面に降りて肩にキヒカを止め、門番さんに会釈をして町の中に入った。

 町に入ったらそのままルルさんのところへ向かい、ロヒ・レメクの扉を開ける。


「こんにちは」

「あらフィフィーリア、いらっしゃい」

「マニキュアが完成したので、お届けに来ました」

「出来たんだ、気になってたから嬉しい」


 話しながら、荷物の中からマニキュアを引っ張り出す。

 それを並べながら、小筆も取り出して一つだけ中身の少ない瓶の蓋を開けた。

 最後に入れた分が足りなくて、他の半分くらいの量しかなかったから、お試し用にしてもらおうかとおもったのだ。


 そんなわけで、ルルさんの爪にちょっと塗らせてもらう。

 気に入らない色が出る可能性もあるので、とりあえず一本だけ塗って様子を見ていると、じんわり爪の色が変わり始めた。


「……青」

「あら、綺麗な色」

「そうですね。綺麗です」

「ホー」


 ルルさんの魔力は、綺麗な青色だ。流れる水のような、空のような色である。

 中々綺麗に色が出た、と満足しつつ、ルルさんも気に入ってくれたようなので許可を取ってすべての指に塗らせてもらう。

 透明だったマニキュアが魔力でじんわり染まっていくところは、何度見てもいい物だ。


「これならいくらでも売れるよ」

「よかったです。これ、よければお試し用に使ってください」

「いいの?ありがとう」


 話しながら、マニキュアの数を数えて代金を貰う。

 手間がかかるからと値段も調整した結果、お守りとは比べ物にならないくらいの金額になった。そこそこ量があったのもあるが、やっぱり単価の違いは大きい。

 なんて思いつつ、そのまま少しルルさんとおしゃべりをしてからお店を出た。


 その後は少し町の中を探索して、早めに宿を取ってふぅと小さく息を吐いた。

 まだ夕食時まで時間もあるし、少し暇だ。どうしようか。

 膝の上に乗ってきたキヒカを撫でながら相談してみた結果、とりあえず町の中を散策するか、という結論が出たので、一度宿を出る。


「何か欲しい物ってあったっけ」

「ホー……」


 今欲しい物、特に思いつかないな。なんて考えながら、あまり行ったことのない方を選んで進む。

 あれこれとお店を見て回った結果、特に何か買うことはしなかったけれど、そういえば家の玄関扉をちゃんと鍵のかかる扉に変えようと思っていたんだったか、と忘れていたことを思い出した。

 扉って自力で作れるんだろうか。鍵は自力で作れるから、そこだけ今度確かめておかないと。


 と、そんなことを考えている間にいい感じにお腹も空いてきたので、夕食を食べて宿に戻ることにした。

 明日の朝は町に泊まった時にいつも行くカフェに朝ご飯を食べに行く予定なので、今日はさっさと寝てしまう。

 まぁ、王都を飛び出してから夜更かしするときの方が珍しいくらいにはいつもさっさと寝ているので、今日はというか今日もだけれど。


「ホー」

「うん、行ってらっしゃい」

「ホー」


 キヒカは夜の町を探索してくるそうなので、宿の部屋の窓を少しだけ開けて眠りについた。

 夏なので窓を開けていても寒いことはなく、魔法で軽く虫よけもしたので快適な寝心地だった。



 翌朝、キヒカから夜の町で猫さんに会ったという話を聞き、夜は町に出てきてるのか……なんて考えつつ着替えを済ませて朝ご飯を食べに宿を出た。

 何度目かになるカフェでの朝食は相変わらず美味しくて、何が違うんだろうかとキヒカとこそこそ話し合い、また来ようと心に決めて店を出る。


 さて、先輩との約束までそこそこ時間があるので、昨日の探索の続きでもしようか。

 ということで、のんびり町を歩きまわり、ちょっと焼き菓子につられたりしながら時間を潰す。

 そろそろ門の方に移動するか、と思ったところで可愛い木製の小箱を見つけてしまって買おうかどうか悩んだ結果、多分何かしら入れるものはあるだろうと買ったりもした。


「探索楽しいね」

「ホー」


 時間に縛られずのんびり見て回るのは楽しいな、とキヒカと頷きあいながら今度こそ門の方へ向かい、人の出入りが見えるところに座って後はのんびり先輩を待つことにした。

 キヒカが膝の上でうたた寝を始めたのでそれを撫でつつ、小さくあくびをかみ殺す。

 穏やかな時間だからといって私まで寝るわけにはいかないだろう。

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