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石窯を作るぞ

 町から帰ってきて、作業場の中央、柱と柱の間に買ってきた机を入れて位置を調整する。

 ちょうど中央に入れるよりもどちらかに寄せて隙間を通れるようにした方がよさそうだ、と結論が出たので、今後石窯を作る予定の方に寄せて置いておき、今まで雑に屋根の下に入れるだけ入れていた丸太椅子を机の下に収めていく。


 大分すっきりしたな、と満足の息を吐いたら、家の中に入って食料品をパントリーにしている食器棚の下の部分に入れていく。

 特に冷やしておきたいものは前に冷蔵庫に改造した陶器の器の中に収めて、全てしまい終わったら他の荷物を置きにリビングと寝室に足を向けた。


 そして荷物を置き終わったら、夕食の準備を始める。

 町に行ってきた日はそのままお惣菜を買ってくるのが定番になっているので、パンを薄く切って軽く表面を焼いてお皿に乗せれば、これで準備は完了だ。

 一人でのご飯はちょっと寂しい、なんて思いながら食事を済ませて、寂しくても美味しいのに変わりはないな、とぼんやり考える。


 食べ終わったら食器を洗って、お風呂の準備をしてお風呂に入り、髪を乾かしたら寝支度を整えてさっさと寝てしまうことにした。

 ベッドに入れば、すぐに眠気がやってくる。一日あれこれ動きまわった後だと、やっぱり眠気が来るのも早い。いい具合の疲労感は大事だ。

 なんて考えている間に眠りについて、夢も見ずにぐっすり眠る。


 そして翌朝、朝日に目をこすりながら身体を起こして、とりあえず顔を洗いに行き、服を着替えて髪をまとめた。夏は、髪が暑いので。

 キヒカはいつ頃戻ってくるだろうか、と考えながら麦わら帽子を被って外に出て、花壇と畑に水を撒く。畑には籠とはさみも一緒に持って行って、実った野菜を収穫した。


 朝ごはんの分はこれくらいでいいだろう、と道具を抱えて家に戻り、さっそく収穫してきた野菜も使って朝ご飯を作る。

 そうしてもそもそご飯を食べていたら、リビングの方からカタンと小さな音がした。ような気がした。

 もしかしてと思ってキッチンのキヒカ用通路に視線を向けると、ちょうどキヒカがそこを通り抜けてくる。


「キヒカ」

「ホー」

「お帰り、早かったね」

「ホー」

「何か食べる?」

「ホー」


 食べるらしい。多分、先輩に手紙を届けた後、すぐに戻ってきてくれたのだろう。

 つまりはご飯も食べていないと。普段は夜の間に森で狩りをして食事を済ませているキヒカだが、今日は夜通し飛んでいたのだろう。それならお腹もすいているはずだ。

 というわけで、昨日町で買ってきた食材の中の一つである立派なブロック肉を小さく切って小皿に盛る。


 それと一緒にお水も小皿に入れて、いつも通りちょっと大きくなって椅子に座っていたキヒカの前に置いた。

 キヒカが食べ始めたのを見届けて、私も朝ご飯の続きを食べることにする。

 寂しくてもご飯は美味しい、と昨日の夜に思ったことは嘘ではないけれど、キヒカが目の前にいるだけで朝ご飯が美味しくなった気がするので、嬉しい方が美味しいのも確かだ。


「ホー、ホホーホー」

「うん、分かった。ありがとう」

「ホー」


 キヒカから先輩が日時について了承してくれたと聞いて、ほっと小さく胸をなでおろす。

 断られはしないだろうと思っていたけれど、もしかしたら何か外せない用事がある可能性もあったので。

 何せ先輩は忙しい人だ。基本的に自分の用事は自分で決められるだけの権力を持った人でもあるけれど、それでもずらせない用事というのは存在する。


 なのでほっと一安心だ。そして、安心ついでにご飯を食べ終えたので、お皿を洗って外に作業に出ることにした。

 キヒカも食べ終わっていたので、お皿を下げて洗っておく。お水を入れた小皿はそのままにして、肩に乗ってきたキヒカを撫でる。


「寝てていいよ」

「ホー」


 眠いことには眠いらしいので、キヒカには昨日買ってきた机の上に居てもらうことにした。

 私は、今日から石窯作りに精を出さなければいけないので、キヒカを机の上に乗せたら道具と材料を用意する。

 そして設計図を広げて、さっそく石窯を作り始めた。


 石窯も、やっぱりレンガ同士をくっつけるためのセコトが乾くまでの時間はひたすら待つしかなくて暇である。

 なので、その隙間時間はマニキュアの材料作りに精を出すことにした。

 元々このために先にかまどを組んでおいたわけだし、予定通りだ。


 マニキュアの材料作りももう終わりに近いので、そろそろマニキュア本体を作り始めることになる。

 こちらはこちらで細かい調整が必要な作業なので、作業中は他の事を見てはいられない。なので、作業は雨の日を選んで行おうかと思っているところだ。

 雨の日はセコトの乾きが悪いから、別の作業をして過ごすのもいいだろう。


「……よし、乾いてる」


 マニキュアの材料を一つ作り終わって、石窯の状態を確認する。

 うん、しっかり乾いている。なので、次の段を積んでいこう。

 最近何かとレンガを積んでいるな、なんて考えながら作業を続けて、積み終わったらマニキュアの材料作りに戻る。

 途中、息抜きがてら寝ているキヒカを観察したりもしながら、作業は順調に進んでいった。

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