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浴室破壊活動

 町に買い物に行って、今日からいよいよ浴室を直していくことになる。

 今回まずやることは、今ある浴槽を破壊して外に放り出すことだ。今回の修復は破壊から始まるのだ。

 これがあると新しい浴槽が置けないから壊す。魔法でせっせと壊して、開けた窓から外に壊した浴槽を投げていく。


 感覚としてはかまどを直していた時と同じ感じだ。壊しては投げ、壊しては投げ。魔法が使えなかったらと思うとぞっとする作業を再度繰り返して、要らなくなった浴槽を排除する。

 窓の外ではキヒカが何かをしているようだけれど、怪我をしないように出来れば離れていて欲しい。

 何度か声を掛けたけれど戻ってこないあたり、注意はしつつ余程やりたいことがあるらしい。


 なので呼び戻すのは諦めて、私は浴槽の破壊に集中する。

 魔法で壊しているけれど、力加減を間違えると壁まで壊してしまいそうだから地味に集中力が必要になるのだ。中々疲れる。

 休憩を挟みながらもどうにか半日ほどで破壊作業を終わらせて、午後からは浴槽を使えるように頑張ることにした。


 浴槽があったところは床が無くなっているので、まずはそこに下地を撒いていく。多分必要になるからって大工さんが教えてくれて、あらかじめ買っておいたのだ。

 砂利のようなそれを露出した地面に撒いて、その後高さを出すために余っていたレンガを持ってきて地面に並べる。


 そこまでやったら次はセコトを流し込んで固める必要があるので、このために買ったでっかい器の中でせっせと大量に練っていく。

 お風呂の床を直すとなると、かまどを組むのとは比べ物にならないくらいの量が必要になる。面積も違うし接着剤と床材では必要な量も違うからそりゃあそうだとは思いつつ、結構な量にちょっとビビっている。これ本当に、こんなに使うんだろうか。


 ビビりながらもセコトを練って、それを流し込む前に浴槽の位置を決めて浴槽を置いておく。その下にもしっかり接着剤として少量のセコトを敷いておいた。

 これであとはもう、空いている隙間を埋めていくだけだ。まだ床との段差がとんでもなくあるので、まずはそこを平たくしていく。


「……あ、足りない」

「ホー、ホー」

「そうだね、もっと作らないと……思ったより必要だ……」


 これからも家を直していくなら何かと使えるから多めに買っておけ、と大工さんに言われ、そこそこの量を買ったつもりで居たのだけれど、思いのほか消費が早いかもしれない。

 そうか、床を新しく作らないといけないってなったら、こんなに使うのか。ちょっとびっくりする量がいるな、これ。


 なんて考えながらせっせと新たなセコトを練って、地面を床へと変化させていく。

 とりあえずある程度段差が埋まるくらいまで敷き詰めて、風を吹かせて乾燥させて明日の作業に移りたいのでそこまでは頑張らないといけない。

 作っては流し込み、作っては流し込み。外でキヒカが呼んでいるので何かと思ったら外にちょっとセコトが流れ出していたので、先ほど投げた浴槽だったものを使ってどうにかこうにか塞いだり。


 そんなこんなでどうにか床と呼べる位置までセコトを盛り終わって、これが乾くのにはどれくらい時間が掛かるんだろうかと考えながら以前かまどを乾燥させるのにも使った魔法陣を持ってきて風を送っておく。これ、結構便利だったから追加で何枚か作って、キッチンの換気にも使っていたりする。


「……よし、ご飯にしよう」

「ホー」


 キヒカを肩に乗せて、キッチンへと移動する。移動のついでに風で軽く身体の表面についた埃や汚れを吹き飛ばしておき、風を浴びて楽しそうにしているキヒカに風を吹かせ続ける。

 翼まで広げてご機嫌だ。けど、肩の上で翼を広げられると前が見えないから出来れば閉じてほしい。



 ご飯は色々道具も食料も買ってきたから、前よりも色々出来るようになった。

 今まではそのまま食べられるし保存が利くように乾燥させたパンばかり買って食べていたけれど、今回の買い出しで主に煮込んで食べる主食の穀物を買ってきたから、これはもう野営料理の延長ではなくなったのだ。


 これならキヒカもそのままの状態で食べるので、ウキウキで買ってきた。

 普通フクロウは穀物とか食べないと思うのだけれど、キヒカは何故か食べる。木の実も食べているのを見るし、好みなのかもしれない。

 まぁ、キヒカは特殊な魔法も使うフクロウだから普通のフクロウとは何か違うのだろう。キヒカ以外のフクロウと触れ合ったことないから、普通がどうなのかとか分からないけれど。


 なんて考えながら小鍋を取り出して水を入れ、かまどの上に乗せて薪に火をつけた。

 お湯が沸くのを待ちながら他の食材を取り出して、切ったり何だりが必要な物は下処理をしていく。

 正直野営の知識を元に何となくでやっているのだけれど、そこそこ美味しく出来ているのではないだろうかと思っている。


 そのうち、町でレシピ本なんかを探してみてもいいかもしれない。

 スローライフをするのだ、やっぱり手間のかかる料理もやってみたい。二時間煮込むとか、そういうのをやってみたい。

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