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魔法のマニキュア

 ヘルミーナと一緒にロヒ・レメクまで移動して、ルルさんに声をかける。

 とりあえずいつも通りお守りを買い取ってもらってから、ヘルミーナを紹介して、彼女が町に来た理由からマニキュアの話になった。


「へぇ、そんな物も作れるのね」

「フィフィーリアは色々作ってたよね」

「うん。あの時は道具も揃ってたし、材料も色々あったから」


 学生時代にあれこれと作って遊んでいたのは、道具と材料が申請さえすれば好きに使っていいという状況だったのが大きいのだ。

 こういうのが作りたい、と思いついたときに、先生が実現のために何が必要か考えるのを手伝ってくれた、というのも、色々作っていた理由の一つだった。

 単に、それが楽しくて仕方がなかったから、暇さえあればやっていたのだ。


「それで、マニキュアね。それなら売れるだろうし、うちに卸してくれるなら大歓迎。わざわざ人が会いに来るくらいには綺麗なものみたいだしね」

「気に入るかどうかは、結構人に寄ると思いますけど……魔力の色なので」

「魔力の色なんて、私は初めて聞いたわ。ヘルミーナの魔力はどんな色なの?」


 やっぱり魔法使い以外は気にもしないし、魔力に個人差のある色がついている、なんて思いもしないのだろう。

 アルパは魔力の流れを制御する練習の過程で、色味の違いをちょっと認識出来るようになってきているようなので、練習次第というか、魔法の練習をしていると、分かるようになるものなのだ。


「私は、緑っぽい色です。白の混ざった明るい緑で……でも黄緑っぽくはなくて。本当に他で見つからない色なんですよ」

「へぇ……普通に興味出てきた。フィフィーリアの魔力は?どんな色?」

「私は黄色です。黄色と、オレンジの間くらいの色で、淡めです」


 髪も目もそんな感じの色なので、爪まで塗ると私は中々に黄色い女になる。

 ちなみにキヒカは深い茶色だ。木の色。木目みたいになってて、綺麗なのだ。

 そう、このマニキュア、人の魔力で色がつくので爪に均等に乗せてもちょっと濃淡が付いたり、微かな色味の変化があったりする。ヘルミーナはそこも含めて気に入ってくれているらしい。


 そんな話をして、ロヒ・レメクで売ってもらえることになったので、具体的な話をしていくことになった。つまりは値段だ。

 学生時代にはいくらで売っていたんだったか……と考えていたら、ヘルミーナにあれは材料費も含んでない値段で、学生の作ったものだからって安くされているから、あれよりも高くしないといけないと言われた。

 そっか、あの時は、材料は学校側が持っててくれたから。なるほど。


「じゃあ、材料費と、手間代と……?」

「技術料、あと作ったものを入れる小瓶の値段もね」

「そっか……えーと、えーと……」

「ホー」


 材料、ざっくり思い出せるだけ思い出してみてるけど、そこまで特殊なものは使っていないはずだ。

 多分全部、ヒヴィカのインクで手に入る。あぁ、でも、鍋がいるか。ロープを煮込んだあの鍋は、ちょっとでっかすぎて今回は使いにくい。

 でもまぁそれは別にして考えて、瓶。小瓶。……小瓶って、どのくらいの値段なんだ……?


「あなた、買う側なのに値段高くするようなこと言っていいの?」

「買い叩いたのがバレたらアデラに捕まるので……それに、高くても欲しいし、フィフィーリアが作り続けてくれる方が大事なので」

「なるほどねぇ」


 私があれこれ考えて頭の中をぐるぐるさせている間に、ルルさんとヘルミーナが何やらおしゃべりしてちょっと仲良くなっていた。

 ともかく、キヒカと話し合ってざっくり材料の値段を割り出したので、暫定の金額は伝えることが出来そうだ。

 最終決定は実物を持ってきたときにするけれど、とりあえずの基準はあった方がいいからね。


「どのくらいで出来そう?」

「とりあえず、ひと月以内を目標に。……ふた月以内には、確実に」

「分かった、じゃあ来月買いに来る!ありがと~!」


 手を取って上下にぶんぶん振っているヘルミーナに、どういう形の小瓶なら使いやすいかなども聞いておき、ルルさんから小瓶を大量に買うのなら、とガラス工房の場所を教えてもらって、ロヒ・レメクを後にした。

 ヘルミーナはとりあえず一回王都に戻るらしい。往復もそれなりに大変だろうに、身軽ですごいな。


「……とりあえず、材料探しにいこうか」

「ホー」


 去っていったヘルミーナを見送って、私とキヒカはヒヴィカのインクに材料を探しに行くことにした。

 ついでに、材料の値段をメモして値段の参考にさせてもらおう。

 というわけで荷物の中からメモ帳とペンを取り出して、ヒヴィカのインクへと向かった。


「お、いらっしゃい」

「こんにちは」

「この間嬢ちゃん以外に魔石買ってった奴がいたよ」

「そうなんですか?」

「おう。嬢ちゃんが作った道具を動かすのに必要だからって」

「あ、大工さんだ」


 この町で魔石の入手先はこのお店しかないので、回転魔道具を動かすために買いに来たのだろう。

 売り上げに貢献できたようで何よりだ、と思いつつ、店長さんに今回買いに来た材料を伝えて、在庫の確認をしてもらった。

 ついでに値段もメモさせてもらって、材料を買って少しおしゃべりしてからお店を後にする。さぁ、次は小瓶を買いに行かないと。

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