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屋根の下地

 板張りが終わった屋根は、もうすでに大分屋根らしくなっている。とても良い感じだ。

 上に乗せる予定の屋根材も木とそこまで色味が違うわけでもないので、完成形もこんな感じなんだろうな、という想像が出来る。

 とても良い感じだ……と満足しつつ、今日はこの板の上に屋根の下地を張っていく。


 家の屋根を直していた時に買った下地が結構あるので、それを使って下地を作ることにしたのだ。引っ張り出したら割と残っていて、足りそうな気もするので下地材は追加で買ってはいない。

 なので、張ってみて足りなかったら買い足しに行く感じになりそうだ。

 その判断をするためにも、とりあえず張れるだけ張ってみないといけない。


 そんなわけで今日もしっかり帽子を被って、工具と下地材を持って屋根の上に上がった。

 昨日張った板の上に下地材を広げて、しっかり端まで覆うように気を付けながら伸ばした下地材を固定していく。

 これも釘でとんかんとんかん打ち付けていって、隙間が出来ないように慎重に作業を進めていく。


 ……家の屋根を直していた時に比べて、すごく作業がやりやすい。あの時は雨が降ったら家の中がびしょ濡れになってしまうから、と少しずつ剥がしては張り替えて、と作業をしていたけれど、それがかなりの手間だったようだ。

 こうして一気に出来るとなると、作業の進みもだいぶ早い。

 やり方でこんなにも差が出るのか……と感動しつつ、半分にちょっと足りないくらい下地を張り終わった屋根を眺める。これで、下地を張った部分はある程度防水が出来るはずだ。


「よし、明日は買い出しだね」

「ホー」


 手持ちの下地材はこれで全部使ってしまったので、同じものを追加で買ってこないといけない。

 多少余るくらいならば雨漏りした時対策として持っておいてもいいと思うので、足りないことがないように買って来よう。

 なんて考えながら、前に雨漏りを直すのに小さく切って使っていた分で発生した切れ端を持って地上に降りた。これをもって、明日は資材屋さんに買い出しだ。



 というわけで、昨日は他の作業をして早寝して、今日は早めに起きて畑と花壇に水をやって、熟れた野菜を収穫してきた。

 朝ごはんも食べたし、荷物も持った。なので早速杖にまたがって空に上がり、町へと向かった。

 ぴゅーんと飛んで移動して、町の外に着地し、門番さんに会釈をして町の中に入る。


 さて、それでは今日はルルさんのところに行ってから……と考えていたら、なにやらすごい速度でこちらに近付いてくる人が居ることに気が付いた。

 避けた方がいいだろうかと思ったけれど、その人はこちらに……明らかに、私に向かって歩いてきている。なんだろうかと考えて、キヒカが威嚇しないから悪い人ではないのだろうか、とそのまま足を止めた。


「居た!フィフィーリア!」

「わ……あ、ヘルミーナ?」


 名前を呼ばれて、しっかり顔を見たら誰だか分かった。学生時代の友人、同級生だった子だ。

 卒業以来会っていなかったし特に連絡も取っていなかったけれど、どうしてここにいるんだろうか。私を探していた……のだろうか。反応的に。

 何故?と首を傾げていたら、ヘルミーナは息を整えて改めてこっちを見た。


「急にごめんね、王宮魔術師やめて、この町で魔道具師やってるって聞いて……」

「間違っては……ない、かな?」


 この町に住んでいるわけではないけれど、この町でお守りを売ったりしているし、最近では自動回転魔道具作って売ったりしたし。

 道具作りの魔法使いに用があったのだろうか、と再度首を傾げる。

 だとしたら、王都にも沢山居ると思うのだけれど、そちらには頼めない何かだろうか。


「あの、本当に、無理ならいいんだけど、ちょっとお願いがあって……」

「なぁに?」

「……フィフィーリアが学生時代に作ってくれたマニキュア、販売とかってしてないかな……?」


 言われて、はて……と記憶を探る。

 ……そうだ、確かに学生時代、マニキュアを作ったことがある。普通の物と違って、それ自体には色がついていなくて、爪に塗るとその人の魔力で色が変わるマニキュア。

 自然に漏れ出す魔力を指先に集めて色を変えるから魔法の使用にも問題はなくて、人によって魔力の色が違う、という魔法使いの感覚を目視できるようになったら面白いかなと思って作ったもの。


 実際は魔法使いの感覚が分かって面白いかな、という目的では使われず、女の子たちがおしゃれのための道具として結構気に入ってくれていた記憶がある。

 あの時は……作った分は、アデラに手伝って貰いつつ、先生に許可をもらって欲しい子に売っていたんだったか。懐かしいな。


「あれなら、レシピを他の魔法使いに……共有、してないんだった。アデラに怒られて」

「うん。一から作ったものの権利を簡単に手放すなって怒られてたね」

「ホー」

「そっか、あれ私しか作れないのか」

「そうなの!私あれの色が本当に気に入ってて、他で似た色も探してみたんだけどあんまり納得いくのがなくって!フィフィーリアが王宮魔術師やめたって聞いて、もしかして今ならまた頼めるんじゃ……って!」


 なるほど、それでわざわざ私を探していたのなら、本当に気に入ってくれているんだろう。

 レシピはたぶん家にあるので、作ろうと思えば作れるはずだ。問題は販売の仕方だけれど……ちょうど今からルルさんのところに行くし、ちょっと相談してみようかな。

 ヘルミーナにも一緒に行くか聞いてみたら頷かれたので、二人でロヒ・レメクへ向かうことにした。

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