柱を立てる
町に一泊してから家に戻ってきて、日課の畑と花壇の手入れを終わらせた後。
今日は何をしようか、と少し考えた結果、いよいよ外の作業場に柱を立てることにした。
もう土台はしっかり乾いているし、今日は天気もいい。これはもう、今日作業するしかないだろう。
「柱の準備は出来てるし、後は立てるだけだね」
「ホー」
防水塗料を塗ったり、土台に固定するために柱の土台らしいパーツを取り付けたりという作業はすでに終わっている。
なので、もう本当にいよいよ立てて固定するだけだ。
重くて私では持ち上げることは出来ないので、魔法で浮かせて位置を調整していくことにした。
今作っている作業場に立てる柱は八本。四隅と、長辺の中央に一本ずつ。そして作業場の内側に二本。これで計八本になる。
なのでまずは土台の長さを改めて測って、柱を立てる位置に印をつけていく。
中央の二本は、外側の柱の隙間になるように立てたいので、そこもしっかり距離を測って印をつけていった。
「これで大丈夫、かな」
「ホー」
キヒカにも確認してもらって、問題はなさそうだったのでその印に合わせて浮かせた柱を置いていく。
細かい調整はキヒカに指示を出してもらって、微調整を繰り返しながらすべての柱を仮置きした。
これだけで、なんだかすごく建物感が出てくる。……まぁ、別に建物にはしないのだけれど。壁は作らないから、建物ではない、はずだ。床と屋根があったら建物になるんだろうか。
なんて考えながら、位置が問題ないことをもう一度確認。
それでも問題がなかったので、土台に柱を固定していく。柱の土台パーツに穴が開いているので、そこに合わせて作った土台に穴をあけて、専用の棒で固定するのだ。
その棒を通す用に、すべての土台の分の穴をちまちまあけていく。最初からこの部分だけセコトが流れ込まないようにしたら楽だっただろうか、とも思ったけれど、その作業の方が何倍も手間になりそうだ。
だったら最初からセコトに土台用の棒を刺しておいて固めた方が楽だったか、とも考えて、そっちは明らかにその方が楽そうだったので、もしも次回があった時の参考にすることにした。
次回なんてないだろうけれど、とのんびり考えながら穴をあけて、思ったより時間がかかったので昼休憩をとったりしながら作業を進める。
思ったよりかかったけれどそれでも日の高いうちに終わったので、今度は練っておいたセコトを持ってきて、柱を少し浮かせてその下にセコトを流し込み、柱と土台の接着剤とした。
ついでに棒の方にも流し込んで、余分に開いた穴を塞いでいく。
こちらはそこまで時間もかからず、作ったセコトがちょっと余って困ったので対処を考えるくらいの余裕もあった。
「レンガみたいに固めておこうか」
「ホー」
余ったセコトは、適当に作った長方形の枠の中に流し込んで固めておく。
これで、まぁそのうち何かしらには使うかもしれないし、とりあえずそのまま固まってしまって困ることもない。
セコトレンガは三つほど出来たので、何かしらの使い道も考えておこう。
「さて……これで、固まるの待ちだね」
「ホー」
柱が立ったことで一気に雰囲気の変わった屋外作業場を眺めつつ、満足の息を吐く。
今日はこのままずっと天気がいいようだし、明日も天気が良かったら明後日には接着剤のセコトも乾ききっているだろう。
そうしたら次の作業に入れるな、と予定を組み立てつつ、今日はここまでにして家の中に戻る。
外で作業をしていて汗をかいたから、まだ夕方手前くらいの時間だけれどお風呂に入ってしまうことにした。
そしてその後のんびり夕食を作って、ついでに明日の朝ご飯の仕込みをしたりする。
夕食を食べた後はちょっとお守りを作って、夜が更けきる前に眠りについた。
そして翌朝。畑と花壇に水をやって、畑で熟した野菜を、花壇から綺麗に咲いた花を一輪持ってきてそれぞれ処理をしてから朝食を食べる。
そんな日課を終えてから作業場の確認に行ったら、なんだかもうセコトは乾いていそうな感じだった。
ので、土台から飛び出している棒を削って周り、それが終わったら土台の上に立って上を見上げた。
「次は屋根だね」
「ホー」
屋根まで出来れば、もう作業場としては完成と言っても良くなる。
まぁ、私の本命はその後に作る石窯なのだけれど、それは一旦置いておく。今は、とりあえず屋根の事を考えないと。
屋根を作る前に、立てた柱の間を繋いで一つの大きな枠を作らないといけないので、その準備をしていくべきだろう。
念のため今日もセコトを乾かす時間としたいので、その間にやっておくことにする。
柱の上の部分はこれから作る梁と繋ぐために削ったりしてあるので、それに合わせて木材を削っておいて、防水塗料を塗っておくところまでが今日の作業になりそうだ。
それが終わったら、ちょっと畑の方を見に行くことにする。今日は暑くなるらしいから、もう一回くらい畑に水をやった方がいいかもしれない、という話が、昨日の夜キヒカから出てきたので。