外の作業場
町に買い物に行ってから二日ほどは畑の植え替えや手入れに時間を取られていたけれど、それもひと段落したので、いろいろやろうと思っていたことに手を付けることにした。
廃村を更地にして封印するのに関しては、封印のやり方について詳しく考えて図案を作っているところなので、それが完成するまでお預けだ。
日が暮れてから寝るまでの間に考えているので、まぁそのうち出来る。
なので、今日からやっていく作業は、家の外に作業場を作ろうというものになる。
とりあえず土台を作って、そこに柱を立てて、屋根を付けていく感じにする予定だ。
この土台の上に石窯を組むのである。ついでに、外で魔道具の材料とかを煮る時用に簡易的なかまどみたいなものも作るつもりでいる。
かまどと言っても鍋を乗っけられて、薪を入れられる隙間を作る程度だけれど……まぁ、あったら便利だと思うので。
今後もし狩りなどすることがあったら狩った動物を解体する場所にもしたいので、結構広めに作っておくことにした。作業場は広くて困ることもないだろう。
「まずは枠を作るんだよね」
「ホー」
やり方は大工さんに聞いてきたので、多分大丈夫なはずだ。
雨で濡れないようにするために、地面よりちょっと高くする。そのためにセコトを流し込んで固まるまで放置しておけるように枠が必要なのだという。
枠用の木材はしっかり買ってきたので、範囲を決めて板を置いていく。
そして、その中をちょっと掘り返してある程度平らに均し、周りを少し掘り下げておく。
そうして準備したところに枠を組み立てたら、セコトを練って流し込む。これまでの比にならない量が必要なので、ここからはもうずっとセコトを練っては流し込む作業の繰り返しだ。
このために追加で買っては来たけれど、それでも足りるのかちょっと心配になるくらいには量が必要である。
「広くし過ぎた……?」
「ホー……ホー」
「まぁ、そうだよね」
いろいろやるのにこの広さが必要だったのは確かだ。なので仕方がないことではあるのだけれど、それでも不安になるくらいには入れても入れても足りない。
もしかして買い足さないといけない……?と不安に思いつつもセコトを練っては流し込む。
練るのが結構な重労働で、私の腕では力が足りずにちょっと休憩を挟んだりもしながら作業していたのだけれど、結局午前中では全く終わらなかった。
午後の作業でも終わる気はしない。数日掛かりの作業になりそうだ。雨とか降らないといいけれど。
なんて考えながら、いったんお昼ご飯を食べに家の中に戻る。
今日は、簡単にサンドイッチを作るつもりだ。町で買ってきたパンを四枚ほど薄く切って、バターを塗って炙る。
そしてそこにまずは収穫しておいた最後のロピュを乗せ、その上にカリカリに焼いたベーコンを乗せ、最後にトマトを乗せたらパンで挟む。
出来上がったものをお皿に乗せて、続いてのパンには昨日パンに乗せて食べたけれど余った卵ソースを乗せてパンで挟んだ。ソースと言っても具沢山で、液体っぽくはない。これが美味しいのだ。
出来た二つのサンドイッチを持ってテーブルに移動し、キヒカの前にはカリカリに焼いたベーコンをおすそ分けする。
ちょっとだけならキヒカも食べるのだ。やっぱり果実よりもお肉が好きなあたり、ちゃんと肉食である。なぜか木の実も食べるけれど。
まぁ可愛いからいいか、といつものように考えるのをやめて、サンドイッチに手を付けた。
「うん、美味しい」
「ホー。ホホー」
「そうだね、美味しくできることも増えたね」
「ホー」
キヒカと話しながら昼食を食べて、ちょっと量多かったな……と満腹のお腹をさする。
ちょっとだけ休んでから洗い物をして、お茶を淹れてもうちょっと休憩。しばらく休んでから、作業場作りを再開した。
しっかり休んで腕の疲れはある程度復活したけれど、それでもやっぱり力不足を感じる。
……もう、魔法で微調整を出来るようになる方が早い気がしてきた。
物を浮かせたり乾かしたりの力加減は出来るわけだし、物を混ぜることも可能なんじゃなかろうか。
それとも、何か混ぜる用の道具でも作るか。私は道具作りの魔法使いなわけだし、やっぱり道具を作って解決するっていうのが、何よりもいいんじゃないかと思うわけだ。
「……自動で回転するくらいなら作れる……範囲指定と、ちゃんと混ざるかが問題……?」
「ホー……ホーホホー」
「……うん、頑張る」
キヒカになだめられてしまった。もし二度目があるのだとしたら本気で道具を作るけれど、今日のところは自力で頑張ろう。
……樽か何かが自動で回ったら、使い道は結構あるだろうか。後でメモしておいて、何かに使えないか考えてみよう。
なんて、ちょっと現実逃避をしながらセコトを練る。そして流し込む。
「……終わる気がしない」
「ホー」
やっぱり何か道具でも作ろうかな……一定の範囲内だけをかき混ぜ続ける棒とか、どうにか作れないだろうか。
調整が面倒くさいのは想像がつくのだけれど、それでも一回暇なときに作ってみるべきかもしれない。